愛らしい、そして慈しみすら感じさせる笑顔がまぶしい石田ゆり子さん。新春映画「解夏」では、視力を次第に失う難病と闘う恋人を支える女性、陽子を演じ切っています。これまでとはひと味違う役作りに挑み、まさに今が旬の彼女をGET! ほほえみ返したくなるようなインタビューをどうぞ。
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―演じる「陽子」はどんな女性?
石田:ひと口で言えば、隆之が「静」で陽子が「動」。病気と闘う恋人を支えるため、明るく、前向きで、強くなければならないんです。だから目線を下げない。それにベースには母性愛があるから、手が空いていれば常に相手を支えちゃう。「こんな女性でありたい」と思い演じました。
―だから手をつなぐ場面が多かった?
石田:原作にも脚本にもなかったのですが、自然にそうなりました。恋人同士の日常的な愛情って常にそばにいることだと思うし、相手が目が不自由なら自然に手が伸びる。ただ陽子が隆之の手をとるのはここ(ひじのあたりを指す)。支えられる人は、ここが一番安心するらしいんです。
―映画の2人が伝えるメッセージは?
石田:物語は恋人が難病で視力を失うという、ものすごくつらく、特殊な設定ですが、だれにでも置き換えられる話だと思います。例えば大きな困難にぶつかっても支え合う2人。そんなカップルが作品を見てくれたら、2人で生きていくことの温かさ、素晴らしさを感じてもらえると思います。たとえ困難が特別なかったとしても…。
―長崎ロケの印象は。
石田:自分の「田舎」というものがないので、まず方言をうらやましく思いました。長崎弁って柔らかいけど何か芯(しん)がある。カッコよくて色っぽいなと思いました。それに坂の中に街があるんですね。どこに行っても階段のある坂道。高い所に上るまで大変だけど、上り着いたら良い風が吹いてる。物語を暗示するのにぴったりでした。
―女優として主演は初めて?
石田:映画はこれまで何本か出たけど、こんなにシーン数がいっぱいあるのは初めて(ここで製作関係者から『石田さんは主演です』の声)。でも、公開まで時間があるのが面白いですね。ドラマは「撮ったら出す」を重ねて終わっちゃうけど、映画は撮影が終わった後にムクムク起きあがる。それが見た人の中にちゃんと残り、生きていくんです。本当に面白いなと思います。
―もし、失明するとして最後に見たいものは?
石田:この映画に出て初めて、目が見えることのありがたさが分かりました。やっぱり大事な人たちの笑顔ですね。ただ家族とか恋人とか「誰か」ではなく、日常で会う周りの人たち。ところで、私は自分の演技がすごく気になるんですけど、今回はどのシーンがよかったですか。
―気丈を貫く陽子が隆之を車に待たせて、教会のマリア像に涙ながらに祈るシーン。
石田:隆之の前では弱音を吐かないけど、見えないところで涙を見せる。象徴的で私も好きな場面なんです。うれしい。
(貴)
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●プロフィル
石田ゆり子 本名・石田百合子。1969年10月3日生まれ。東京都出身。高1でモデルとなり、全日空イメージガール(87年)などを経て88年、NHKドラマ「海の群星」で女優デビュー。「武田信玄」「九龍で会いましょう」などテレビドラマや、映画「悲しい色やねん」「彼女が結婚しない理由」などに出演。アニメ映画「もののけ姫」などで声優も。女優石田ひかりは妹。今回主演の「解夏(げげ)」は難病(ベーチェット病)と闘う小学教諭の隆之(大沢たかお)と恋人陽子(石田)が、隆之の故郷・長崎を舞台に織りなす愛情物語。原作さだまさし、監督・脚本は「がんばっていきまっしょい」(97年)の磯村一路。17日、全国の東宝系劇場で公開。
04.01.07掲載