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連載/県チームの挑戦(下)サポーター いくつもの声援追い風に
レース中はみんな一人。しかし、自分を信じて待つ仲間がいる。温かい声援がある。チーム全員で走っているんだ
「タスキ1本の重みで自分の力以上のものを出せるのが駅伝の魅力」と目を輝かせる松田憲二(25)は、陸上自衛隊大村駐屯地の三等陸曹。持続走訓練隊、いわゆる陸上競技部の一員だ。松田は同駐屯地から14年ぶりに九州一周駅伝に出場する。
駅伝を始めた中学生のころから、県代表の赤ダスキをかけて大歓声の九州路を駆けるのが夢だった。しかし、米国の同時中枢テロ、米英のアフガン報復攻撃などで「警備強化」態勢が続く中での出場だけに「やってやるという気持ちの反面、いいのかなとも思った」。そんな松田の背中を押してくれたのは、上官や同僚の温かいエールだった。「頑張って来いよ」。みんなが笑顔で送り出してくれた。
テロへの警戒が続くなか行われた県チームの強化合宿。他の実業団ランナーらに劣らぬ力走をみせた松田は「自分は走ることでしか恩返しできない」と汗をぬぐった。
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「あいつは結婚してからググーッと記録が伸びた」と児玉泰介監督(43)=三菱重工長崎=が笑みを浮かべるのが、鷲尾優一(23)=同=だ。8月に挙式したばかり。「自分としてはあまり変わっていないつもりですが」と照れるが、夏以降、調子は右肩上がり。9月中旬の今大会県代表1次選考会では12キロ走で1位、10月初旬の2次選考会では1万メートルの自己ベストを30秒近くも更新した。
妻の真優美(24)はバスケットボールの国体県代表選手というスポーツ夫婦。「支えてもらってばっかり」だが、食事や生活面のサポートで、長年悩みのタネだった貧血を克服した。「何よりも、頑張りを喜んでくれる人がいるのが励みになる。初めての区間賞をとって妻にささげたい」と鷲尾。「いい結果が出せるといいね」との妻の声援が俊足のエネルギーだ。
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自分たちと同じように激しい練習を積んできた他県代表とのし烈なレース。孤独なランナーを支えるのは、区間ゴールで自分の力走を信じてタスキを待つチームメート、陰で支えてくれた家族や同僚、そしてチームや自分の名前を呼んで励ましてくれる沿道のファンからの熱い声援だ。
選手たちが心を一つにして挑む九州一周駅伝はあす2日、号砲が鳴る。(敬称略)
(長崎総局・坂本信博)
[ 2001/11/01 長崎県版掲載 ]

連載/県チームの挑戦(中) 走る喜び 越えられない“坂”はない
 合宿中の宿舎でチームメートをマッサージ。ハードな練習をこなし、ともに汗を流す中で連帯感が生まれるラスト100メートル。6人による混戦を抜け出し、思いきり中継所に飛び込んだ。わずか1秒差でトップの座をつかんだ。原和司(20)=三菱重工長崎=は、昨大会第6日の鹿児島―宮崎間の1区で強豪を振り切り、出場2回目にして初めて区間賞を獲得した。
 しかし、その日の夕方、原は宮崎市内の路上で車にはねられた。「うれしさのあまり、信号をよく見ずに道路に出てしまった」。全治2カ月の重傷。大会の終盤戦に出られなかったばかりか、実業団駅伝など、その後の3大会も応援組に回った。
 県チームのホープとして、期待を集め始めた矢先のトラブル。原はその年の春にもひざを故障、大会前の9月にようやく回復し記録が伸びてきたばかりだった。
 「やっと故障から回復したのに」。走りたくても走れない。面白くない日が続いたが「また思いっきり走りたい」。再起を期してリハビリに努めた。そして今夏、ついに自己ベストを更新した。
 「駅伝のコースにも上り坂、下り坂があるように、つらい時もあればいい時もある。でも乗り越えられない“坂”はないと気づきました」。きりりとした表情で原は語った。
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 4回目の出場となる三浦大二(24)=コマツ電子金属=は昨春、練習の疲労蓄積が原因でじん帯を痛めた。半年間走れなかった。昨大会は、県代表最終選考会に残ったが、思うような走りができずに代表入りを逃した。チームに迷惑をかけたという無念さだけが残った。
 「走ることで頑張るしかない」。悔しさを糧にリハビリと練習を重ねるうち「走ることの楽しさをかみしめることができるようになった」。
 約1年で完全に回復。今秋、自己ベストを塗り替えた。「チームに貢献できる走りをします」。三浦もまた自分自身の“坂”を越えた。 (敬称略)
[ 2001/10/31 長崎県版掲載 ]

連載/県チームの挑戦(上) 最古参と新人 それぞれの思い胸に秘める
 熊本県本渡市で行われた強化合宿。選手たちは、秋風がコスモスを揺らす天草の地を駆け抜けた第50回九州一周駅伝競走大会(西日本新聞社など主催)が11月2日、長崎市の平和祈念像前をスタートする。昨年、念願の3強入りを果たした県勢の今年の目標は「2位を視野に3位死守」(久田敏幸総監督)。間近に迫った号砲を前に、県チームの選手を紹介する。
 「自分が(九州一周駅伝に)初出場した時に生まれた子たちが、今年の新人さんたちなんですよ。不思議な感じがします」。チーム最年長、今年で連続19回目の出場となる土肥正幸(36)=県警=は笑顔で語った。しかし「でも年のことはあまり考えてない。この世界は数字がすべて。タイムが良ければいくら年をくってもいける」とすぐに表情を引き締めた。
 これまでで一番の思い出は、アンカーを務めた昨大会。県チーム累計3位のゴールテープを切った。「県勢は年々レベルを上げてきている。チーム一丸となって、この流れを来年につなぎたい」。土肥自身の目標は20回連続出場。「毎年これで最後と思って走ってきたけれど」とにっこり笑った。
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 その“新人さん”の一人、本田智之(18)=コマツ電子金属=は、昨年都大路の高校駅伝で大牟田高校(福岡県)が全国優勝した時のメンバー。同県飯塚市で育った本田は、学校の近くを通る九州一周駅伝を毎秋、楽しみにしていた。「僕もいつか走るぞ」。その夢が間もなくかなう。チーム最年少だが、九月の全日本実業団ジュニア五千メートル10位の期待の新人。将来の目標は「世界大会での金メダル」。その第一歩として、同じく初出場の横山美明(20)=三菱重工長崎=とともに、あこがれの舞台で区間賞を目指す。
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 駅伝の魅力は「長い道のりをみんなが一つの目標に向かって走ること」(本田)―。県勢優勝と栄光の連続出場を目標に黙々と走り続けてきたベテラン。県チームの赤ダスキをかけて大歓声の九州路を疾走する日を目標に、猛練習を重ねてきた若手。年齢や職業、経験。これまでそれぞれの道を歩んできた選手たちは「頂点」という同じ目標に向かって走り出す。 (敬称略)
[ 2001/10/30 長崎県版掲載 ]

監督の声 久田敏幸総監督
 「昨年は累計で40年ぶりの3位。ことしは2位を視野に入れながら再度、3位に挑戦したい。トラックシーズンでは若手の成長が著しく、心強い。この若手にベテランと中堅がうまくかみ合い、チームは乗っている。手ごたえは感じている」
[ 2001/10/27 運動面掲載 ]

監督イチ押し 第50回九州一周駅伝=長崎・本田智之(コマツ電子金属)
九州路初舞台に胸躍らせる本田智之 ▽あこがれ 〜故郷での力走夢見る新星〜
「九州一周駅伝は、あこがれだった。区間賞を取りたい」
長崎の新人、本田智之(18)は、目をきらきらさせた。
昨年“都大路”の駅伝で全国優勝した大牟田高(福岡)のメンバー。関東の複数の大学から勧誘を受けた。しかし「ふるさと九州で強くなろう」と心に決め、大村市のコマツ電子金属に入った。
福岡県の飯塚第一中のころは野球部員。中学駅伝大会にも駆り出された。毎秋、学校の近くを通る九州一周駅伝が楽しみだった。選手たちが「とても速かった」という風景が目に焼き付いている。「僕も、いつか九州路を走るぞ」
大牟田高から誘いの声がかかった時、胸がときめいた。陸上競技人生の始まり。レベルが高く最初のころは、ついていけなかった。「練習で毎日、びりを走った」高校1年のころを懐かしがる。しかし故障もなく、持ち前の粘りが次第に実っていった。
入社後も成長著しい。先月の全日本実業団のジュニア五千メートルで10位。14分19秒をマーク、高校時代のベストを21秒も上回った。山頭直樹選手兼コーチは「このところスピード持久力がさらについた」と評価する。本田は「来季は五千メートル13分台、一万メートル28分台入りを狙う」と希望に燃える。
念願だった九州路の初舞台が迫った。「どの区間でもいい。一生懸命走りたい。最終日の飯塚中継所は実家の近く。もしそんなところを走らせてもらえたら最高。父母と2人の妹が応援してくれる」
長崎は昨年40年ぶりに3位の座についた。本田は「そんな長崎の選手に選ばれてうれしい。1秒でも2秒でも速く先輩たちに、タスキをつなげるよう頑張る」と意気込みを見せた。
九州一周駅伝出場を重ね、国際級選手に育った選手は多い。そのことを励みに本田は、九州路力走の第一歩を踏み出す。 (井上明敏)
    ×      ×
▽久田敏幸総監督 この夏2回行った九州一周駅伝の長崎県合宿で、黙々と積極的に走り込む本田君の姿がとても印象に残った。新人だが大崩れしない、粘れる選手だと思う。大会ではリラックスして、伸び伸びと若い力を発揮してほしい。
[ 2001/10/19 運動面掲載 ]

九州一周駅伝 県代表29人決まる 諌早市で最終選考会
最終選考会で県代表の座を目指して力走する選手たち
晩秋の九州路を駆け抜ける「第50回九州一周駅伝競走大会」(西日本新聞社など主催)の県代表選手最終選考会が13日、諫早市の県立総合運動公園であり、選手24人と補欠5人の計29人が決まった。38人が出場した最終選考会は10マイル(16・0934キロ)で争われ、阿部祐樹選手(三菱重工長崎)が48分9秒で1位になった。
県代表選手は、同日のレースを含めこれまでに計3回あった選考会の成績を総合的に判断して決定。十代の選手を含む若手を主体に、ベテランを加えた布陣で、久田敏幸総監督(小長井町役場)は「レベルは昨年よりも上がっている。2位を視野に入れながら、昨年成し遂げた3位に再度挑戦したい」と話している。
九州一周駅伝は11月2日長崎市をスタート。50回の記念大会で、九州・沖縄・山口各県の9チームに、韓国チームが特別参加する。10日間にわたり、1069・5キロのコースで争う。選手たちは16日から熊本県本渡市で、最終調整のための合宿に入る。
監督、代表選手は次の通り。(敬称略)
【総監督】久田敏幸(小長井町役場)【監督】児玉泰介(三菱重工長崎)▽末吉範平(県警)▽定方次男(コマツ電子金属)▽四辻浩二(長崎北陽台高教諭)【監督兼選手】黒木純(三菱重工長崎)【選手】平石誠、阿部祐樹、堤忠之、鷲尾優一、福岡耕一郎、渡辺洋一、原和司、菅野貴夫、横山美明(以上三菱重工長崎)山頭直樹、森山昭宏、渡部明理、野口智裕、三浦大二、森勇気、江藤勝也、伊達友和、本田智之(以上コマツ電子金属)土肥正幸、沖中義明(以上県警)小柳浩二(菱重興産)木寺真吾(西海学園教諭)松田憲二(陸自大村)【補欠】小林誠治、石榮雅史、徳永考志(以上三菱重工長崎)吉岡大作(コマツ電子金属)俵屋義雄(県警)
[ 2001/10/14 長崎版掲載 ]

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