投資詐欺 狙われる20歳 誕生日 LINEで「どう?」 契約 親の同意必要なし 18歳成人 被害拡大の懸念

男から受け取った借用書の返済期限は過ぎたが、男性には一円も返ってきていない(画像の一部を加工しています)
男から受け取った借用書の返済期限は過ぎたが、男性には一円も返ってきていない(画像の一部を加工しています)
写真を見る

 大学生らを狙った投資詐欺などの被害が相次いでいる。ローン契約に親の同意が必要ない20歳を迎えた若者がもうけ話を持ちかけられ、消費者金融で借金させられるケースも目立つ。成人年齢の引き下げが議論される中、消費者教育の遅れも指摘されており、経験や知識に乏しい若年層の被害が拡大する懸念もある。

 「誕生日おめでとう。良い投資話があるけど興味ない?」

 福岡市に住む大学生の男性(20)は成人を迎えた昨秋、友人から無料通信アプリ「LINE」で誘われた。友人に紹介された30代の男は、「農業の特許を持つ会社に投資の仲介をしている。任せてもらえれば出資額の倍にできる」と言ったという。

 友人も100万円を投資していると説明されて信用した男性は、消費者金融で120万円以上を借りて男に渡したという。1カ月後、消費者金融から取り立ての電話が何度も鳴るようになったが、男との連絡は途絶えがちになり、結局「出資」した元金すら返ってこなかった。

 福岡県警によると、同じ男に関する被害相談が学生らから複数寄せられている。男は取材に対し、「ちゃんと金は返す。すでに返済した人もいる」と説明。ただ、男性には何の連絡もないという。男性は友人と疎遠になり、アルバイト代から毎月1万円ずつ返済を続けている。

 県警が今年2月に摘発した詐欺グループも、県内の大学生ら75人から計1億2千万円をだまし取っていたという。

 国民生活センターによると、友人らから勧誘され、もうけ話に出資したなどとの18~24歳の相談は、2010年度に1583件だったが、15年度には3048件と倍増。このうち、契約に親の同意が必要な18、19歳からの相談は数%にとどまっているという。

 政府は来年の通常国会にも成人年齢を18歳に引き下げる民法改正案を提出する見込みだ。学校現場で消費者教育は行われているが、消費者庁の13年度の調査では「受けたことがある」と答えたのは1割にとどまった。18、19歳への被害リスク拡大も懸念され、内閣府消費者委員会は対策を論議するワーキンググループを設置して教育が十分かなどの検証を始めた。

 若者の被害に詳しい青木歳男弁護士(福岡県八女市)は「現状では消費者教育が十分とは言えない。知識も経験も乏しい若者への被害を防ぐためには、教育の充実や、啓発が急務だ」と指摘する。

 ●23日、被害相談会 県弁護士会

 福岡県弁護士会は23日、大学生らを狙った投資詐欺などの被害が増えていることを受け、「若者消費被害110番」を初めて開く。近年、会員制交流サイト(SNS)を使って勧誘する手口が目立っているといい、「心当たりがある人は相談を」と呼び掛けている。

 弁護士会によると、投資詐欺以外にも、「起業できる」「必ず成功できる」などと呼び掛けて多額の契約を結ばせるセミナー商法や、宗教団体が「サークル活動」と称して行う偽装勧誘、身に覚えのない請求をされて電話をすると「支払わないと訴訟を起こす」と脅される架空請求-などが多いという。

 同110番は同日午前10時~午後4時、相談無料。電話番号は、092(753)6364。

この記事は2016年09月21日付で、内容は当時のものです。

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]