「当たり前」を疑ってみる アイドル・原直子さんにインタビュー

 はら・なおこ 1989年、福岡市生まれ。アイドルグループ「LinQ」(リンク)1期生として、2011年にデビュー。副リーダーを務める。今月卒業予定。
はら・なおこ 1989年、福岡市生まれ。アイドルグループ「LinQ」(リンク)1期生として、2011年にデビュー。副リーダーを務める。今月卒業予定。
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 「勉強って何のためにするんだろう」。高校生まで抱いていた、そんな疑問を晴らしてくれたのは、福岡大理学部地球圏科学科の林政彦教授です。専門は大気物理学。現象をひもとくときに、高校で勉強した数学や物理の式を使うんですよ。感動して、勉強が楽しくなりました。

 林先生は授業のたびにリポート提出を求めるんです。それも「煙突から出た煙が空気の層の影響でどう動くのか」とか。難しい問題ばかりなんですけど、透明なのに温度や密度が違う層があって…、といろいろと考えるのが楽しくて。

 優秀なリポートは講義で模範解答としてプリントされて配られるんですけど、自分の解答が結構採用されていて、それもうれしくて。どんどん大気物理学が好きになりました。

 印象的だったのは「人間の活動によって二酸化炭素が増え、地球温暖化につながっている、と世間一般では言われているが本当か」という問題。自分がどういう回答をしたのか、覚えていませんが、先生の答えは確か「分からない」だったはず。

 常識や通説として語られていることも、本当かどうかは分からないと知った時、「えーっ!」という驚きがありました。世界には分からないことがたくさんあるんだって。当たり前だと思っていることを疑ってみる大切さを学びました。

 卒論のテーマが決まらずに悩んでいると、林先生の研究チームに入れてもらい、何とか乗り切りました。私の卒論の半分は林先生の優しさで出来上がっています。大気物理学のノートは今も保管していて、時々開いてみます。

 4年生になると、周りは大学院への進学準備や公務員試験の勉強、就職活動を始めますが、私は進路で悩みました。「芸能の仕事、できるのかな。私、どうなるんだろう」って。結局、卒業のタイミングで「LinQ」に入りました。

 理系アイドルと注目されることはあっても、今の活動に役立ってはいませんね。歌やダンスのフォーメーションを考えるのは得意ですけど、ステージを盛り上げる数式はありませんし。ステージや客席の空気感、熱の高まりを感じて「今だ!」「前に!」と飛び出す…。あれ? 大気物理学に通じるものがありませんか、先生?

=2017/08/06付 西日本新聞朝刊=

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