給食のハテナ?(3)食べ残し 学校秩序との相関

児童たちが食べ、空っぽになった給食の食缶。やっぱり、気持ちがいい=11月29日、福岡市博多区の東光小学校
児童たちが食べ、空っぽになった給食の食缶。やっぱり、気持ちがいい=11月29日、福岡市博多区の東光小学校
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食欲を喚起させる指導

 学校給食の食べ残しの割合を示す「残食率」は、学校の荒れや落ち着きと関係している-。そんな情報を耳にした。残食率が高いといえば、「冷たい」「味が薄い」などの不満が相次いだ神奈川県大磯町の中学校給食が記憶に新しい。給食の味は残食率に影響するだろうが、残食率と学校やクラスの秩序に、果たして相関関係はあるのだろうか。まずは福岡市博多区の東光小学校で取材した。

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 「食欲は意欲ですからね」。梅津真里子校長(57)は開口一番、残食率と学校生活の関係をこう表現した。晴れない気持ちや悩みを抱えている児童は小食がちだという。

 東光小では11月の残食率が「米飯」0・3%、「おかず」0%。残食率は欠席者分を除き、出来上がった料理と食べ残しの重量で計算する。

 市内小学校の全体平均(2016年度)もほぼ同傾向で、その完食率の高さにまず、驚かされた。児童の食欲を喚起させる細かな指導が、背景にあるのだという。

 例えば昨年度の一時期、ダイエットブームが影響したのか、高学年女子に「ご飯は残すもの」という風潮が広がった。栄養教諭が家庭科の授業で、エネルギー源となる炭水化物の摂取が、成長に欠かせないことを説明。学級担任は意味を伝え、残ったご飯やおかずを完食するよう呼び掛けて回ったそうだ。

 「『おいしくない』という児童の一言を担任が受け流すか、それとも否定するか。『食べる』という学級の雰囲気を大きく左右する」と梅津校長は話す。

 楽しさを演出する取り組みもある。その月に生まれた児童と教員がランチルームで食べる月1回の「お誕生日給食」。ほかに、星形のニンジンを「ラッキースターニンジン」と名付けて一つだけ給食に忍ばせる月1回のイベントもある。

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 「食」を通して児童に向き合う教員たちの姿勢が、食べ残しに関係していることが分かる。一方で、新たな課題も浮かんできた。中学校の残食率が高いのだ。16年度、米飯やおかずなど全体は7・2%で、小学校の0・7%よりも随分と高い。

 福岡市の場合、小学校では学校ごとに調理するのに対し、中学校は4カ所の給食センターでまとめて作り、学校に搬送している。調理し食べるまでの時間が関係しているのだろうか。

 この見方に市教委給食運営課は否定的だ。中学校の一部は学校で調理しているが、残食率はほかと大差なく「明確な理由は分かりません」。

 他都市に聞いてみた。「残食率を把握していない」という自治体も多いが、熊本市は16年度、小中ともに1~2%台。札幌市は小学校10・1%で、逆に中学校6・5%よりも高い。

 傾向にはばらつきがあった。

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 福岡市内の中学校でも給食時間を見せてもらった。

 小学校では料理全部を一度、皿に盛りつけ、希望者が教員に減らしてもらっていたが、この中学校では配膳した段階で、既に料理が食缶(大容器)に残る学級も。減らすのも、増やすのも生徒自ら。米飯のお代わりをした女子は周りにちゃかされ、「おかずを食べるため」と反論していた。

 準備も含め小学校の給食時間は40~45分だが、中学校は30~35分。「早めに食べ終える」という雰囲気の中で、1人だけぎりぎりまで食べるのも難しいようで、何だか時間に追われているようでもあった。

 残食率と学校秩序との相関はよく分からなかったが、みんなが楽しそうに、個人差を認めつつ、給食を平らげる姿はやはり、見ていて気持ちがいいものだ。クラスの「ゆとり」を測る指標のようでもあった。

 ◆残食率 環境省が2014年度に実施した調査によると、全国小中学校の残食率の平均は6・93%。ただ回答したのは全国市区町村教育委員会の約2割にとどまる。回答した397自治体のうち、残食率が「5%未満」だった自治体は181▽「5%以上~10%未満」は113▽「10%以上~15%未満」は68▽「15%以上~20%未満」は23▽「20%以上」は12。回答数は異なるが、児童生徒1人当たりの食品廃棄物の発生量は年間17・2キロという。食べ残しが問題になった神奈川県大磯町の町立中学校の場合、今年5~7月の残食率は平均26・0%。最も多い日は55・3%だった。

=2017/12/17付 西日本新聞朝刊(教育面)=

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