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博多人形師の思いに触れる 町家ふるさと館で絵付け体験 訪日外国人にも高い人気

絵付けを楽しむ韓国人の親子にアドバイスする講師の長友さん(中央)
絵付けを楽しむ韓国人の親子にアドバイスする講師の長友さん(中央)
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素焼きの人形に絵付けする記者
素焼きの人形に絵付けする記者
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 入社1年目に福岡市博多区を担当し、博多人形や博多織などの伝統工芸を何度も取材した。あれから9年。今夏から本社・都市圏総局勤務となり、博多の伝統的な行事や産業を紹介する博多町家ふるさと館(同区冷泉町)のホームページを懐かしく見ていると、体験講座の案内が目に入った。そういえば当時は技を極める職人たちの取材はしたが、自ら体験したことはない。訪日外国人にも人気が高まっていると聞き、博多人形の絵付け体験講座に参加してみた。

 「楽しむことが大事です」。9月24日、ふるさと館の畳敷きの作業場で、講師の博多人形師、長友敬次さん(67)=同市早良区=が笑顔で迎えてくれた。眼光鋭い職人を想像していただけに胸をなで下ろした。

 この日の参加者は、訪日客家族も含め計8人。参加者は素焼きの人形に、赤や青、黄など12色の絵の具を自由に使い、大小の筆で彩色していく。20センチほどの大きさの人形は着物姿で、片手に持つ花を顔に寄せ、素朴な表情を浮かべている。

 まず髪の部分を灰色に染めていった。顔や着物の襟に色がはみ出さないよう注意が必要だ。シンプルな柄にしようと着物は白一色にし、赤色で花模様を施していった。特に難しいのは顔の彩色。極細の筆で目のくぼみに細い線を引くが、加減できず太くなってしまった。紅色で薄い唇のつもりが、まるでたらこに…。

 とにかく1時間半かけて完成。ただ、どこか埴輪(はにわ)のようにも。「初めてにしてはなかなかです」。長友さんの言葉が温かかったのが救いだ。

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 国指定伝統的工芸品の博多人形は、1600年に黒田長政が筑前に入国の際、当地に集まった職人が作った素焼きの人形が始まりとされる。

 制作は人形の型作りから、素焼き、絵付けを経て、完成まで20~60日間かかるのが通例だ。中学卒業後にこの道に入った長友さんは、型作りの段階から彩色をイメージしているといい、「それが豊かな表現につながる」という。現在は「美人物」などを中心に手掛け、「まだまだ理想にはほど遠い、多くの人を感動させる逸品を作りたい」と、博多人形作りへの情熱を語ってくれた。

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 ただ博多人形の売り上げは、1975年をピークに減少傾向が続いているという。そこに明るい兆しとして期待されているのが訪日外国人だ。ふるさと館によると、2016年度の絵付け体験の参加者は計320人と14年度と比べ130人増で、特に訪日客の姿が目立つ。

 県は今年、博多人形を含む県内の伝統的工芸品の成り立ちや技法を、日本語以外にも韓国語など3カ国語で紹介するサイトをネット上に開設した。増加傾向にある訪日客の工芸品購入や工房見学を後押しする狙いだ。

 「博多人形の着物は華やかで種類も豊富だし、大好き。いい思い出になった」。絵付け体験に一緒に参加した韓国人観光客の朱珍珠さん(40)は笑顔で語った。朱さんの娘2人も、民族衣装のチマ・チョゴリをイメージし、人形をオレンジ色やピンクなど鮮やかな色に仕上げ、楽しんだ様子だった。

 久しぶりに触れた博多人形の奥深さや人形師の思い。その魅力が、世界へと伝わる期待も感じた体験講座だった。

 博多町家ふるさと館の伝統工芸の「実演・体験コーナー」 博多人形の絵付けは金-月曜日(各日午前10時~正午と午後2~4時の2回)。講師は4週間交代。入館料に加え、体験料千円(素焼きの人形代含む)が必要。他の曜日には博多張子や博多曲物、博多独楽(こま)の絵付け体験もある。入館料は大人200円、中学生以下無料。予約可能。同館=092(281)7761。

=2017/10/03付 西日本新聞朝刊=

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