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【津屋崎ブランチに学ぶ2】移住支援 信用をつないで空き家を生かす

 福津市津屋崎への移住希望者に対し、まずその顧客が思い描く理想の暮らし方を尋ねる。それがこの地で不動産業「暮らしの問屋」を営む古橋範朗さん(33)の流儀だ。希望に添う物件が見つかると、客を家主に引き合わせたり、近隣住民へのあいさつ回りに同行したりする。「住民と移住者相互に顔が見える関係は不動産契約書だけでは生まれない」と言う。

 古橋さんは、津屋崎ブランチの山口代表らとともに空き家の処置に悩む家主のための相談窓口「津屋崎空き家活用応援団」を設け、貸し手の掘り起こしにも努める。ブランチにとって移住支援と古民家再生は開設以来の活動の柱だ。

 明治から昭和にかけての町並みが残る津屋崎千軒。約600軒の民家のうち1割が空き家という。立派な引き戸や上がり框(かまち)など日本の伝統が薫る古民家もあるが、改修費がかさむなどの理由で、その多くは不動産屋で扱われてこなかった。

 山口代表は「最初の古民家賃貸契約を結ぶまでには思わぬ苦労があった」と初期の活動を振り返る。「改修資金が払えない」「居座られたら困る」など家主側の多様な不安に応える必要が生じたためだ。そこで、例えば家主に金銭的負担を一切かけず、一定期間後に改修された家が戻ってくるような事業モデルを編み出した。改修前に借り手を探し数年分先払いしてもらった家賃を原資に家を改修。借り手に定期借家という期間限定の契約を結んでもらう方式だ。家主側に共感の輪も広がった。

 ブランチでは津屋崎の町並み保存や地域活動に自ら汗を流してくれる移住者を求めており、希望者には「ここで何がしたいのか」を丁寧に聞く。山口代表によると、これまでの活動で約100人がこの地に移住、その背中をさらに100人が追ってきたという。その顔ぶれは磁器作家や彫刻家など多士済々だ。山口代表が気に掛けているのは、これとは別に宅地開発などで移住してきた約500人の存在。「この500人と地域の関係をどう築いていくか。今後の課題です」

 移住支援を中心的に担う古橋さん自身も13年に東京から転入。先に移住していた恋人の都郷なびさん(33)と結婚し、築約80年の古民家で暮らす。「津屋崎は多様な世代の方と触れ合える風通しのいい町」。自ら実感する地域の魅力を、より多くの人に味わってもらおうと奮闘は続く。

(続)

【津屋崎ブランチに学ぶ】3

=2016/01/08付 西日本新聞朝刊=

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