【動画付き】「何もない町」魅惑の動画 群馬・下仁田町、ネットで話題

PR動画「人と町の風景」の一場面(同町提供)
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群馬県下仁田町の吉弘拓生副町長
群馬県下仁田町の吉弘拓生副町長
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 「何もない町」を売り物にした、群馬県下仁田町のPR動画がネットで話題になっている。どこにでもありそうな山あいの町で「何もない」と言いながらも楽しげに踊る町民たちの映像が人々の心をつかみ、動画投稿サイト「ユーチューブ」での再生は5万7千回を超えた。“仕掛け人”の吉弘拓生副町長(34)は、福岡県うきは市の元職員。同市で培った地域おこしの発想を生かした。

※群馬県下仁田町のPR動画(同町提供)。音量にご注意ください。

 「オ、オ、オオー 下仁田 何もない町」。温かな歌声が流れ、学校や商店街、下仁田ネギの畑、こんにゃく工場と場面が切り替わり、小学生や商店主たちが軽やかにステップを踏む。それだけの映像が4分間続く。歌詞は「歩いても人もまばらで」「見渡せば岩と山」「取り残されたような町並み」と、何もない町を自虐的に歌っているようだが、最後は「残された景色のある町」「暮らしていくよ ここで」と結ぶ。

 吉弘さんが動画制作を思い立ったのは、昨年5月。うきは市から人事交流で派遣され、着任した直後だった。町を広く知ってもらう素材にと、若手職員たちと作業を進めた。「町民たちは『ここには何もない』と言うけど、外の人間の私から見れば自然や人の優しさなど魅力はいっぱいある。当たり前すぎて気づきにくい魅力を発信しようと思った」と振り返る。

 うきは市職員時代、特産のフルーツを使ったイベントを立ち上げ、同市を通過するJR九州の豪華寝台列車「ななつ星」に手を振る活動を始めた。手法のユニークさが注目されたが、吉弘さんは「うきは市では住民の一体感づくりを大切にしてきた。地域づくりの主役は住民」と言う。下仁田の動画も出演者、撮影・編集を手掛けた人はすべて町民と「メード・イン・下仁田」にこだわった。

 動画は昨年12月に完成、「人と町の風景」と題してユーチューブで公開した。3月末にネットのニュースで取り上げられると再生回数が飛躍的に伸び、「田舎暮らしもいいと思った」などの感想が寄せられた。

 吉弘さんは「下仁田も人口減問題を抱え、消滅可能性都市とされる。動画を契機に、関心を持ってもらう人が一人でも増えたら、町の人たちも喜ぶ」と語る。続編作りも計画しているという。

 群馬県下仁田町 群馬県の南西部にある町。周囲を標高1000メートル級の山々に囲まれ、長野県軽井沢町などに接している。基幹産業は農林業で特産の下仁田ネギ、こんにゃくが有名。2015年国勢調査による人口(速報値)は7633人で、前回調査より1278人減となった。

=2016/04/05付 西日本新聞朝刊=

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