市営住宅建設を保留 日田市が小野、大鶴地区で意見交換 被災者「安全確認優先を」

日田市小野地区で開かれた意見交換会
日田市小野地区で開かれた意見交換会
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 九州豪雨被災者向けの市営住宅建設を検討している日田市は24、25の両日、小野、大鶴両地区で被災者らと2回目の意見交換会を開いた。市営住宅の入居希望が両地区で計9世帯(重複回答含む)にとどまったアンケート結果などを報告したが、入居の判断材料の提示や潜在的なニーズの掘り起こしなど、さらに丁寧な対応を重ねる必要があるとして建設可否の判断は保留した。

 意見交換は非公開。アンケートは、みなし仮設住宅などで暮らす被災者を含む小野、大鶴、夜明の各地区の計69世帯が回答した。市営住宅入居を希望した9世帯のうち、5世帯は「自宅の自主再建」なども重複して希望した。市営住宅のみを希望したのは小野、大鶴両地区で各2世帯だった。出席者によると、原田啓介市長は建設判断の目安を「少なくとも(1地区で)5世帯」と示したという。

 市などによると、小野地区では「先に川や山の安全確認ができないと判断できない」との意見が相次いだ。大鶴地区では「さまざまな事情で市営住宅に入りたくても入れないという人もいるはずだ」との声があった。このため市は今後、県などと協議して被災した川や山の復旧整備計画や安全対策などを住民に示し、さらに入居希望がないかを確認する。その上で市営住宅の建設可否を判断する方針だ。

 小野地区の自宅が全壊し地区外で暮らす山本一二(いちじ)さん(63)は「河川改修などの状況が分からないと、結論の出しようがない」。1人暮らしだった大鶴地区の自宅が全壊し公営住宅に住む男性(70)は「自力での自宅再建は年齢的に厳しい。市営住宅を造ってもらえるならそれが一番だが、自分さえ良ければいいという問題でもない」と不安そうに話した。

 被災者の中には生活再建の方法に迷う人もおり、腰を据えた意見交換が不可欠だ。しかし、行政の判断が遅れて生活再建が進まないまま、再び災害に見舞われる恐れがあるのも事実。ある自治会役員は「これまでの議論を踏まえて市が一定の時期に市営住宅を建設した上で、入居者を募るような方法にしないと話は進まないのではないか」と焦りをにじませた。

 原田市長は取材に「住民が欲しい情報を提供して改めて意向を聞きたい。住民には『災害はまた起きる』という考えで決断してほしい」と話した。

=2018/01/27付 西日本新聞朝刊=

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