被災者の心に寄り添う 支援組織が見守り活動 孤独死防ぎ生活再建後押し

公営住宅を訪問し梅原さん家族と談笑する松永鎌矢さん(中央)
公営住宅を訪問し梅原さん家族と談笑する松永鎌矢さん(中央)
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 九州豪雨で被災した日田市で、ボランティア団体などでつくる復興支援組織「ひちくボランティアセンター」(同市)が、地域おこし協力隊員らと協力して、みなし仮設や公営住宅などで生活する被災者の見守り活動を続けている。豪雨から5日で7カ月。慣れない環境での生活が長引いて被災者が孤立すれば、「孤独死」のリスクも高まる。「ひちく」は「被災者の心に寄り添い、息の長い支援をしたい」としている。

 「こんにちは」。1日夕、梅原美智夫さん(59)一家5人が仮住まいする公営住宅に、地域おこし協力隊員の松永鎌矢さん(28)ら2人が訪れた。

 同市大鶴地区の梅原さん方は豪雨で半壊した。松永さんらは雑談しながら困り事をさりげなく聞き出す。一家が近く、修繕の終わった自宅に戻ると知った松永さんはその場で「ひちく」のメンバーに電話して引っ越しの手伝いを依頼した。

 梅原さんは「気に掛けてくれていると思うだけで不安は軽くなる」と喜ぶ。その夜あった「ひちく」の会議では、把握している16世帯の被災者リストを元に支援状況を報告し合った。

 被災者の見守り活動を巡っては、2016年の熊本地震で被災した熊本県内18市町村が、東日本大震災の事例を参考に「地域支え合いセンター」を設置した。

 市町村から委託を受けた社会福祉協議会などのスタッフが仮設団地やみなし仮設などを巡回し、被災者の健康状態の把握や、生活再建に関する相談対応といったさまざまな支援に取り組む。それでも同県内の仮設団地やみなし仮設で、いわゆる「孤独死」が15人(1月末現在)に達しているという現実もある。

 九州豪雨では福岡県朝倉市も5日、同様のセンターを開設。半壊以上の被害に遭った約1100世帯に聞き取り調査をし、生活再建に必要な支援を検討する方針だ。

 一方、日田市では「ひちく」がこれに近い役割を担っている。保健師らによる被災者の見回りを続けてきた市も今後、「ひちく」との連携を強化したい考えだ。

 同市では依然、53世帯141人が仮住まいを続ける。市健康保険課によると、このうち65歳以上の1人暮らしが約10世帯、高齢者同士の世帯も別に10世帯ほどあるという。市外の親族の元に身を寄せるなどしていて、所在を把握できていない被災者も一定程度いるとみられ、こうした被災者への支援の方法も課題だ。

 「ひちく」は今後、地区外に仮住まいする被災者と地元に残った人たちの集いの場づくりなども検討している。松永さんは「丁寧に見守りをして、被災者が生活再建できるまで支援を続けたい」と話す。

 阪神大震災の仮設住宅で訪問活動をし、現在も地域の1人暮らし高齢者らの支援を続ける兵庫県姫路市の市民団体代表、岸岡孝昭さん(72)は「見守りでは被災者がどんな人なのかを知り、相手を尊重することが大事だ。服装や室内の状況など会話以外から伝わる情報も大切にして支援につなげてほしい」としている。

=2018/02/06付 西日本新聞朝刊=

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