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私の時短術 国・企業の働き方改革 待てない 無駄な作業や浪費を探せ 残業ゼロへ自分から一歩

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 安倍政権が進める働き方改革で、長時間労働の是正が焦点になっている。だが国や企業が変わるのを待つのでなく、自ら「現場改革」に取り組む人もいる。残業を減らして早く帰るための工夫を聞いた。

 福岡市の調査会社で働く杉山拓人さん(33)は1月から「18時退社」を目標に仕事を効率化することにした。自分は連日帰りが遅いのに、仕事量がもっと多いはずの先輩はほとんど残業していなかったからだ。

 杉山さんは市場調査や分析を担当し常に複数の案件を抱える。自分を客観視してみると、いろんな仕事に目移りし、資料作成中に何度も文章を直したり体裁を整えたりと、時間を浪費していることに気が付いた。

 そこで始めたのが1週間と1日ごとの計画づくり。一つの仕事に集中する日、いくつかの雑務をこなす日を分けて週の流れを決め、退社前に翌日の日程をつくるようにした。

 以前は「この仕事を終えるまで帰らない」と頑張って残業していたが、週単位で管理すると「明日に回す勇気」が持てるようになった。コンビニで使っていた夕食代は要らなくなり、子どもと食卓を囲めるようになった。「残業の削減は自分の意識一つでできる」と手応えを感じている。

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 北九州市の高橋建二さん(36)は埼玉県のスーパーで管理職をしていたころ、作業の効率化を徹底した。キャベツを段ボール箱から出す、切って包装する、箱を処分するといった工程をストップウオッチで計り、一人一人の無駄な動きを減らした。作業の流れを妨げないよう物の配置も見直した。「初めは嫌がる人もいたが、一つが1分短くなると全体で大幅に短縮できると気付いてもらえた」

 やるべき仕事は午前中に済ませ、午後は臨機応変に動けるように。使った物は元の場所に戻し、いつでも退社できる状態に。小さな積み重ねによる“時短術”を転職後も続けている。

 福岡市の認可外保育園「サンサン保育園」は保育士の「残業ゼロ」を進めていたが、当の園長が実現できていなかった。保育士の一人として自らシフトに入り、担当する事務作業は閉園後に回していたからだ。園長がシフトを一時的に外れても、他の保育士で代替できる。現場から声を上げてシフトを変え、園長の残業もなくなった。

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 現場の目線で働き方を見直し、上司や会社を触発して残業をなくす-。そのヒントにしてもらおうと、子育て世代の男性でつくるNPO法人ファザーリング・ジャパン九州(福岡市)は「部下ヂカラ10カ条」=図=を提唱している。仕事の効率化に必要な部下としての能力だ。

 作成した公務員の樋口一郎さん(39)は「10カ条を心掛けて部署全体で残業を減らし、従来以上の成果を上げられた。チーム内でも互いの業務が見えていないと無駄が生じたり、負担が偏ったりすることに気付かされた」と語る。

 1年前から週1回の在宅勤務も始めた。上司は当初「業務に支障が出るのではないか」と消極的だったが、外部からの問い合わせは携帯電話で直接応じるなど、懸念を一つ一つ解消したという。樋口さんは「長時間労働をやめたくても『上司が理解してくれない』と諦めている人が多い。部下自らが時間内に職務を全うし、上司を納得させた上で早く帰りませんか」と呼びかけた。


=2017/02/10付 西日本新聞朝刊=

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