【第18部】転職という選択<5完>筆宝 孝太さん(35) 山口 裕郷さん(31)

リクルートキャリア 九州RAグループマネジャー 筆宝孝太さん
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パーソルキャリア 九州グループ キャリアコンサルタント 山口裕郷さん
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 九州の転職市場の動向は。転職活動をする上でのアドバイスは-。大手人材サービス会社で九州を担当する2人に聞いた。

 ●九州の特徴は地元志向の強さ リクルートキャリア 九州RAグループマネジャー 筆宝 孝太さん(35)

 九州の特徴は、地元で働きたいという意識が強いことですね。転勤辞令をきっかけに動き始める人もいます。その場合、地場企業など「転勤がない」という条件が重視されます。

 転職希望者1人当たりの求人数を示す当社の転職求人倍率は、8月は前年同月比0・11ポイント増の1・9倍。ここ2年ほどは上昇傾向です。求人数は前年同月比2割増でした。

 九州で特に求人が多いのは、インターネット業界や建設業界。特にIT関連は事業を拡大している企業も多く、現場は人手不足という悩みを抱えています。即戦力人材の採用だけでは追いつかず、入社後の教育を充実させることで、未経験者を採用する動きも出てきています。

 転職者の半数ほどは社内文化や仕事の進め方の違いに戸惑ったという調査結果があります。受け入れ企業側には、彼らが活躍できるよう教育態勢を強化し、小まめにコミュニケーションを取って不安を解消することが求められます。転職者に何を期待しているのか、役割を明確化することも経験やスキルを発揮してもらうためのポイントです。

 ●自己PRは数字示し具体的に パーソルキャリア 九州グループ キャリアコンサルタント 山口 裕郷さん(31)

 転職に向けた平均活動期間は3・7カ月ほど。個人差はありますが、10~15社に応募書類を送る人が多く、うち面接に進めるのは2~3割程度の会社です。

 年齢を重ねた人の場合は、経験をどう生かせるのか伝えます。職務経歴書に「営業成績はトップクラス」なんて書いていませんか。何人中何位だったのか、予算達成率は何%なのか、数字で示しましょう。実績を上げるための自分なりの工夫もアピールします。

 そもそも、働きながら転職活動ができるのかという疑問を持つ人もいるでしょう。面接時は有給休暇を使う人もいますが、最近は午後6時以降の面接に応じるなど、柔軟に対応してくれる企業も増えています。

 職場に不満があって、何となくやる気が出ないという人は、とりあえず転職活動をしてみてもいいと思います。業界や他社について調べるうちに「隣の芝生は青くなかった」と自社の魅力を再発見し、思いとどまるケースもあります。その場合でも、何をやりたいのか、年収はいくら必要なのかと自分を見つめ直すことで、仕事に取り組む姿勢がいい方向に変わります。

 ●誰もが選べる道に

 また転職しようかな。地場企業に勤める50代の男性は、数年前の決断を悔いているようにも見えた。転職先で結果を出そうとバリバリ働いていたら「出るくいは打たれた、ですね」。周囲の反発を買い、意に沿わない部署に異動になった。

 働くことは楽しいし、生きがいになる。でも長時間労働や人間関係で追い詰められることもあれば、生活スタイルと仕事が合わなくなることだってある。

 そんなときに、誰もが職を変えるという選択ができる社会であってほしい。個人の自己実現を追求することはもちろん、働き方改革が進まない会社に労働者が「NO」を突きつける転職があってもいい。成長分野への人材移転は、人口減時代の経済成長には欠かせないという視点もある。

 昨年、全国で転職した人は306万人(総務省調査)。中には非正規雇用の雇い止めや突然の解雇で転職を余儀なくされた人も含まれる。単純に雇用の流動性が高まればいいというわけではない。望んだ人が望んだときに、転職という道を選べる。それが「働く」を巡るさまざまな問題解決にもつながると思う。

 =おわり


=2017/09/16付 西日本新聞朝刊=

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