ツバキシギゾウムシ 長い口は産卵の道具にも

長い口を使ってツバキの実に穴を開けている。頭が真円のボール状になっていて、片目(かため)がかくれてしまうくらいまで左右に回し、ときどき全身でも回りながら口を根元まで潜りこませる
長い口を使ってツバキの実に穴を開けている。頭が真円のボール状になっていて、片目(かため)がかくれてしまうくらいまで左右に回し、ときどき全身でも回りながら口を根元まで潜りこませる
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ツバキの実に取り付いて、サイズを確認(かくにん)しているところ。実が大きくなりすぎていて、口がとどかないようだと分かると、別の実を求めて飛んでいく
ツバキの実に取り付いて、サイズを確認(かくにん)しているところ。実が大きくなりすぎていて、口がとどかないようだと分かると、別の実を求めて飛んでいく
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穴を開けられた実の断面(だんめん)。何カ所も開けられたあとがあるが、うまく目標にとどかなかったために、再度開け直したものと思われる
穴を開けられた実の断面(だんめん)。何カ所も開けられたあとがあるが、うまく目標にとどかなかったために、再度開け直したものと思われる
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交尾(こうび)している。上がオスで、下がメス。産卵という目的のために、メスの口がオスにくらべてはるかに発達していることが分かる
交尾(こうび)している。上がオスで、下がメス。産卵という目的のために、メスの口がオスにくらべてはるかに発達していることが分かる
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 ゾウムシとは、その顔にゾウの鼻のように長い口がついているので付けられた名前です。

 日本に千種類以上の仲間がいて、その全部が長い鼻をしているかというと、そうではなく、ふつうの昆虫(こんちゅう)と同じようなものもいれば、このツバキシギゾウムシのように、ものすごく長い口をしているものもいます。

 長い口といえば、代表的な昆虫はチョウやガでしょう。チョウやガはストロー状(じょう)の長い口を使って花の蜜(みつ)などを吸(す)っていますが、ゾウムシの場合は同じように長くても、その構造(こうぞう)が違(ちが)います。

 ゾウムシの場合は、この長い管状(くだじょう)の口の先端(せんたん)がかむ形の口になっているのです。何故(なにゆえ)にこんなに長い形の口になっているかというと、この口はものを食べるためというよりも、卵(たまご)を産むために必要な道具の役目をしているからだ、と考えられます。

 ツバキシギゾウムシは、木にツバキの実が大きくなる季節になると、どこからともなく現(あらわ)れて、実にとりつくと、かじりながら頭をぐるぐる回し、からだ自体も回りながら、数分間かけて実の根元まで長い口を差し入れます。そして引き抜(ぬ)くと、一歩前進して、その穴(あな)に尾端(びたん)から出した産卵管(さんらんかん)を差し入れて、卵を産みつけます。

 卵から生まれた幼虫(ようちゅう)は、母虫が用意してくれたトンネルを伝って実の中心にある種にたどり着くと、まだ柔(やわ)らかい種の部分を食べて成長し、大きく育つと、抜け出してきて、地上に落下して落ち葉の下の土の中に潜(もぐ)っていってサナギになるのです。


=2016/10/18付 西日本新聞朝刊=

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