アオバハゴロモ 羽衣をまとった天女のよう

庭先のつる性植物に並んでとまっている成虫。驚くと裏側に隠れたり、飛び跳ねて逃げたりする
庭先のつる性植物に並んでとまっている成虫。驚くと裏側に隠れたり、飛び跳ねて逃げたりする
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幼虫の姿。尾端から尻尾のように出ているのが、分泌されたロウ物質で、非常にもろく、触るとすぐに折れて取れてしまう
幼虫の姿。尾端から尻尾のように出ているのが、分泌されたロウ物質で、非常にもろく、触るとすぐに折れて取れてしまう
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ロウ物質で覆われてしまった幼虫の体を背中側から見たもの。鳥が見つけても、その下に餌の昆虫がいるとは思わないかもしれない
ロウ物質で覆われてしまった幼虫の体を背中側から見たもの。鳥が見つけても、その下に餌の昆虫がいるとは思わないかもしれない
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幼虫から成虫に羽化しているところ
幼虫から成虫に羽化しているところ
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 植物の若(わか)い枝(えだ)に薄緑(うすみどり)色の平べったい小さい虫が並(なら)んでとまっているのをときどき見ることがあります。多いときには10匹(ぴき)以上が並んでいて、その様子をよく見ようとして顔を近づけたりすると、虫たちは驚(おどろ)いて枝の裏側(うらがわ)に隠(かく)れます。それよりも驚くと、ピョンと飛び跳(は)ねて逃(に)げてしまいます。

 愛らしい姿(すがた)で色もきれいなので、昔は田舎(いなか)の子どもたちがよく遊び相手にしてハトという愛称(あいしょう)で呼(よ)んでいる地方もあるそうです。

 ハゴロモという名前は、この昆虫(こんちゅう)の幼虫(ようちゅう)の姿がそれに似(に)ていることから付けられた名前だといわれています。

 成虫もそうですが、幼虫も、普通(ふつう)は木の枝にじっと止まって、その汁(しる)を吸(す)っています。そのとき幼虫は腹部(ふくぶ)の先の方から白いロウでできた糸状(いとじょう)のものをたくさん出して、それを傘(かさ)のように開いて、その下に体を隠して自分の姿が分からないようにしています。

 そして、何かにひどく驚くと、ピョンと飛び跳ね、その傘をパラシュートのようにしてゆっくり落下して行きます。

 その姿がまさに羽衣(はごろも)をまとった天女(てんにょ)のように見えるということなのかもしれません。

 この幼虫の体を覆(おお)う綿毛(わたげ)のような物質(ぶっしつ)は非常(ひじょう)にもろく、ちょっと触(さわ)っただけでも崩(くず)れて取れてしまいます。なにかに触(ふ)れてこすれて取れてしまったのか、ほとんど取れてしまった幼虫を見ることがありますが、しばらくすると、また徐々(じょじょ)に生えてきて元通りの姿に変わります。

 この体から出される白い毛の役割(やくわり)は、餌(えさ)を探(さが)している鳥の目から逃(のが)れるため、あるいは墜落(ついらく)したときにけがをしないため、と考えられているようですが、まだその理由はよく分かっていないとのことです。


=2017/11/21付 西日本新聞朝刊=

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