オオミノガ 不思議なミノムシ 絶滅危惧種

夕焼けをバックにぶら下がる2匹(ひき)のミノムシ(オオミノガの幼虫)。中の幼虫が口から出した糸でつづった丈夫(じょうぶ)なミノに守られて寒い冬を過ごすことができる
夕焼けをバックにぶら下がる2匹(ひき)のミノムシ(オオミノガの幼虫)。中の幼虫が口から出した糸でつづった丈夫(じょうぶ)なミノに守られて寒い冬を過ごすことができる
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夕方、メスが出すフェロモンの匂いに誘われて飛んできたオス。メスがいるミノにとまると、すぐ下から腹部を差し込み交尾(こうび)する
夕方、メスが出すフェロモンの匂いに誘われて飛んできたオス。メスがいるミノにとまると、すぐ下から腹部を差し込み交尾(こうび)する
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ミノから頭を出して柿(かき)の若葉(わかば)を食べている幼虫。成長にともない、狭(せま)くなったミノをその都度、改造(かいぞう)して大きくしていく
ミノから頭を出して柿(かき)の若葉(わかば)を食べている幼虫。成長にともない、狭(せま)くなったミノをその都度、改造(かいぞう)して大きくしていく
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オスの成虫の姿。メスは成虫になってもミノから外に出てこない
オスの成虫の姿。メスは成虫になってもミノから外に出てこない
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卵から生まれてすぐミノを作り始めた幼虫。体の周りに糸を張(は)り、そこにかじり取ったものをくっつけていく
卵から生まれてすぐミノを作り始めた幼虫。体の周りに糸を張(は)り、そこにかじり取ったものをくっつけていく
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 ミノムシは日本に40種類ほどいるミノガと呼(よ)ばれるガの一種、オオミノガの幼虫(ようちゅう)に付けられた名前なのです。昔、農家の人たちが雨の日にシュロの皮やワラを編(あ)んで作った雨衣(あまぎぬ)を着て作業をしていましたが、それに似(に)ているということで付けられた名前のようです。

 ミノムシという虫がいることは誰(だれ)でも知っていますが、どんな昆虫(こんちゅう)であるかを知っている人は少ないのではないでしょうか。ガの幼虫だということが分かれば、成虫は夜に飛び回るガであることが想像(そうぞう)されます。まさに普通(ふつう)のガの姿(すがた)をしています。

 ただし、それはオスだけで、メスは成虫になっても同じ昆虫とはとても思えない姿をしています。脚(あし)も羽も触角(しょっかく)もなければ、目も口もないウジ虫状態(じょうたい)で、一生を通してミノの外に出ることがありません。夕方になると、ミノの下から頭を少しだけ出して、そこからフェロモンといわれる匂(にお)いを放出してオスを誘(さそ)います。

 そのころ飛び回っているオスは、その匂いを嗅(か)ぎ取ると、何百メートルも離(はな)れたところからでも飛んで来てメスと交尾(こうび)をするのです。交尾が終わったメスはその場で卵(たまご)を何百個(こ)も産み、しばらくすると地上に落ちて死んでしまいます。

 オオミノガはこのように不思議な昆虫ですが、今から30年ほど前に突然(とつぜん)いなくなってしまったか、と思われるほどに姿が見られなくなってしまいました。大陸の方から入って来た天敵(てんてき)のハエの一種に寄生(きせい)されたのが原因(げんいん)といわれています。

 葉が落ちた街路樹(がいろじゅ)のサクラやケヤキの枝(えだ)にぶら下がり、その様子は冬の風物詩ともいえる情景(じょうけい)だったのですが、今では絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ)になってしまい、残念なことに、気をつけて探(さが)しても時々見つかるくらいになってしまいました。


=2017/12/19付 西日本新聞朝刊=

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