【ワクワク 種子島】<上>宇宙センター編 実物ロケット 宇宙が間近

H2ロケット7号機が分解(ぶんかい)されて展示されていた
H2ロケット7号機が分解(ぶんかい)されて展示されていた
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 九州本土から約40キロ南にある鹿児島県・種子島。ロケットの打ち上げや鉄砲伝来の地として知られるこの島を4人のこども記者が、2泊3日の旅をしながら取材しました。3回に分けて紹介します。

 種子島は「日本で一番宇宙に近い島」とも呼ばれる。島の南端に日本最大のロケット発射場「種子島宇宙センター」があるからだ。こども記者たちは、ロケットの実物や発射地点などを見て回り、“宇宙の入り口”であることを実感した。

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 ●TDL20個分の広さ

 「うわー、すっげー広い」「リゾート地みたい」。センター内の展望台に立った4人は歓声を上げた。背中側には真っ青な海、目の前には砂浜と芝生広場が広がる。発射地点にある鉄塔も遠くかすんで見えた。時津記者は「“世界一美しいロケット発射場”と言われる理由が分かる」と息をのんだ。

 敷地は東京ディズニーランド(TDL)20個分の広さで、島全体の約2%を占める。センターによると、赤道に近い場所からロケットを打ち上げた方が遠心力が働いて燃料を節約できるという。沖縄県が返還される前だったので、発射場がここに建設されたそうだ。

 ●スカイツリーみたい

 私たちは見学バスツアーに参加した。まず向かったのは、かつてロケットの整備場だった「大崎第一事務所」。中には、打ち上げが中止になったH2ロケット7号機が保管されていた。直径約4メートル、長さ20メートル以上もある機体の一部は東京スカイツリーを横たえたみたいだった。こんなに大きなロケットを打ち上げる発射地点を早く見たくなった。

 センターには、打ち上げる場所が3カ所ある。その一つ「大型ロケット発射場」に向かった。高さ60メートルを超す鉄塔が2本並び、その間にロケットを設置して打ち上げるという。

 幼い頃、体が弱かった豊田記者は「宇宙が膨張を続ける強さ」をたくましいと感じてきた。鉄塔の先に宇宙への近道があると想像したら、「もっと宇宙に近づきたい」という思いが強くなった。

 最後に、打ち上げを指示する「総合指令棟」を訪れた。テレビでよく見る、パソコンがずらりと並ぶ一室だ。アトキンソン記者は、発射直後の室内は「(ロケットの)音がだんだん小さくなって、(その後、関係者の)歓声が響くのだろう」と想像した。

 ●発射1回100億円

 バスツアーを終えた夕方、センター敷地内にある展示施設「宇宙科学技術館」に行った。国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」の実物大模型などが並ぶ中で、おなかが減ってきた私たちは宇宙食が気になった。おにぎり、ラーメン、くりようかん…。納豆はねばねばが漂ってしまうから無重力の宇宙へは持っていけないそうだ。納豆の糸が宇宙船内を漂う様子を思い浮かべて、みんなで笑った。

 館内の劇場では、打ち上げる時の大音量を体験できる。発射地点から約3キロの場所で録音した実際の音だ。スクリーンに映し出されたロケットが打ち上げられて数秒後、ゴオーと地鳴りのような音が響いた。山口記者が「1回の打ち上げにいくらかかりますか?」とガイドさんに質問すると、約100億円と教えてくれた。音も金額も想像をはるかに超えていた。

 取材後、豊田記者は新聞社に寄せた記事に「(宇宙に)挑戦し続ける努力と情熱に心を動かされた」とつづり、センターで「パワーをもらった」と締めくくった。

 ●打ち上げ成功「よっしゃ!」 JAXA職員 春木彩さん

 種子島宇宙センターでは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の職員約80人が働いている。私たちは、ロケットの打ち上げを左右する気象の観測をする春木彩さん(25)に仕事のやりがいなどを聞いた。

 -なぜJAXAに入ったのですか?(アトキンソン記者)

 「インターネットでロケット打ち上げの映像を見て、中学2年の時からJAXAに憧れていました。航空宇宙工学を学べる大学を受験しましたが、落ちてしまって、別の大学の海洋学部に行きました。それでも絶対にJAXAに行くぞと諦めませんでした」

 -やりがいを感じるのはどんなとき?(時津記者)

 「宇宙に関われる仕事はそんなに多くない。それに携われていることがうれしいし、打ち上げが成功したときは『よっしゃ!』という気持ちになります」

 -打ち上げがない日は何をしていますか?(山口記者)

 「ロケットに載せる衛星は打ち上げの3カ月前にはセンターに届きます。年に4~5回打ち上げるときもあるので、常に打ち上げに向けて準備している感じですね。米航空宇宙局(NASA)の人と一緒に仕事をするときもあります」

 -春木さんにとってロケットとは?(豊田記者)

 「JAXAに入る前はロケットは花形だと思っていたけれど、実は衛星などを宇宙に運ぶための脇役。私も縁の下の力持ちになれるよう頑張りたいですね。そしていつか、まだ日本にはない有人ロケットを開発したいなと思っています」

 ●わキャッタ!メモ

 ▼種子島宇宙センター 1968年、センターで初めてロケットを打ち上げた。人工衛星打ち上げの日本の中心的な施設で、敷地面積は約970ヘクタール。ロケットの組み立てから打ち上げ後の追尾までを行っている。国内の打ち上げ施設は、ほかに内之浦宇宙空間観測所(鹿児島県)がある。

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=2016/04/16付 西日本新聞朝刊=

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