【きょうのテーマ】命の大切さ 考える 動物慰霊祭に参加 福岡市動物園 ありがとう、忘れないよ

園内にある慰霊碑「どうぶつたちのおはか」に手を合わせるこども記者たち
園内にある慰霊碑「どうぶつたちのおはか」に手を合わせるこども記者たち
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獣医師(じゅういし)でもある佐藤園長(左)は動物の健康を第一に考えている
獣医師(じゅういし)でもある佐藤園長(左)は動物の健康を第一に考えている
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園で死んだ動物の一部は、はく製や骨格(こっかく)標本にされ園内の動物科学館に展示(てんじ)されている
園で死んだ動物の一部は、はく製や骨格(こっかく)標本にされ園内の動物科学館に展示(てんじ)されている
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「ビンドン」の死で園にゴリラはいなくなり、ゴリラの獣舎(じゅうしゃ)は地図から消えた
「ビンドン」の死で園にゴリラはいなくなり、ゴリラの獣舎(じゅうしゃ)は地図から消えた
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ツシマジカの飼育員・米崎さん(左)の指導(しどう)でえさやりも体験
ツシマジカの飼育員・米崎さん(左)の指導(しどう)でえさやりも体験
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約20年園で飼育され、来場者に愛されたツシマジカの「ハナコ」
約20年園で飼育され、来場者に愛されたツシマジカの「ハナコ」
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 動物を見せ、ふれあう場をつくって、私(わたし)たちを楽しませてくれる動物園。その主役である動物たちもいつか寿命(じゅみょう)を迎(むか)えます。福岡(ふくおか)市動物園(同市中央(ちゅうおう)区)で9月25日にあった「動物慰霊祭(いれいさい)」をこども記者4人が取材し、命の大切さについて考えました。

【紙面PDF】命の大切さ 考える 動物慰霊祭に参加

 ▽動物園の役割

 動物慰霊祭は毎年9月の動物愛護(あいご)週間に合わせて、1年間に同園で死んだ動物たちへの感謝(かんしゃ)の気持ちを込(こ)めて行う。倉橋凛子(くらはしりんこ)記者が1年間で死んだ動物の数を聞くと、佐藤広明(さとうひろあき)園長(53)は「現在(げんざい)116種564の生き物が飼育(しいく)されていて、昨年の慰霊祭から数えると哺乳類(ほにゅうるい)8頭、鳥類6羽(わ)、爬虫類(はちゅうるい)1匹(ぴき)が死んだ」と答えた。

 佐藤園長は動物園の役割(やくわり)として(1)貴重(きちょう)な動物を繁殖(はんしょく)させる(2)繁殖のための研究をする(3)自然や環境(かんきょう)の大切さを発信する(4)動物を見て楽しんでもらう-ことを紹介(しょうかい)し「全国の動物園と協力し、雄雌(おすめす)を貸(か)し借(か)りして珍(めずら)しい動物を増(ふ)やす努力をしている。だから動物の死は本当に悲しい」と話した。永田莉子(ながたりこ)記者は「動物園は人を楽しませるだけでなく希少な動物を絶滅(ぜつめつ)から守る役割もある」と感心した。

 ▽「死」から学ぶ

 2月に雄キリンの「キーボー」が急性(きゅうせい)心不全で死んだ。永田記者が「どうやって死因(しいん)を調べるのか」と尋(たず)ねると、佐藤園長は「死んだ動物は園内の動物病院で飼育員が立ち会い解剖(かいぼう)する。キリンは大きいので獣舎(じゅうしゃ)で作業する。つらいことだがキーボーの死から学んだことが、ほかのキリンの命を救う」と力を込めた。

 芝原凛(しばはらりん)記者は、5月に雄のゴリラ「ビンドン」が急性腹膜炎(ふくまくえん)で死んだため、園からゴリラがいなくなり、キリンも雌の「リンダ」だけになったことを心配する。佐藤園長は「キリンは雄が来るのでリンダとの繁殖に取り組みたい」と答えたが、ゴリラは頭数が少なく、もう飼(か)えない可能性(かのうせい)もあるという。

 ▽心に生き続け

 佐藤園長は「動物園の動物にも野性(やせい)があり、襲(おそ)われないように多くは最後まで弱さを見せない」と動物の健康観察の難(むずか)しさ語り、「ビンドンはいつも麻袋(あさぶくろ)を枕(まくら)に寝(ね)ていた。死んだ動物たちの愛らしい表情(ひょうじょう)やしぐさを忘(わす)れない」と話した。生き物を飼うのが好きな中村葵(なかむらあおい)記者は佐藤園長の悲しげな顔が心に残った。

 その後、こども記者たちは飼育員らと慰霊祭に参加し、持参したキクの花を園内の石碑(せきひ)「どうぶつたちのおはか」にそなえ、手を合わせた。式典での「一緒(いっしょ)に過(す)ごした思い出とともに動物は私たちの心に生き続ける」という佐藤園長の言葉をかみしめながら。

 ●ハナコ「あっぱれ」 20年愛されたツシマジカ 飼育員に聞く

 今年、慰霊(いれい)された動物にツシマジカの雌(めす)「ハナコ」(推定年齢(すいていねんれい)25歳(さい)前後)がいる。19年7カ月飼育(しいく)され、8月に老衰(ろうすい)で死んだ。最後まで世話をした米崎(よねざき)まどか飼育員に話を聞いた。

 -動物を長生きさせる秘(ひ)けつは?(芝原(しばはら)記者)

 米崎 ツシマジカの寿命(じゅみょう)は20年前後。動物園には天敵(てんてき)がいないのでハナコは長生きしました。動物ごとに観察日記をつけていて、毎日見比(みくら)べて変わったことがないかチェックしています。動物がストレスをためない環境(かんきょう)をつくることも長生きにつながります。

 -ハナコの最後の様子を教えて。(中村(なかむら)記者)

 米崎 最後までよくえさを食べて、お客さんにあいきょうをふりまいてくれました。自分の子どもたちに囲まれておだやかに死にました。私も悲しいはずなのに「よく生きた、あっぱれ」のひと言でしたね。

 -飼育員をしていてうれしいこと、危(あぶ)ないことは?(永田(ながた
)記者)

 米崎 うれしいのは赤ちゃんが生まれ、親が育ててくれること。2015年にヒョウの「キララ」が生まれたときに担当(たんとう)でした。ヒョウの母親はストレスを感じると、子どもを食べたり、育てるのをやめたりすることもあります。獣舎(じゅうしゃ)の近くでは音を立てず、他の動物のにおいが付いた飼育員は近づかないよう気を使いました。動物にかまれることもあります。一番痛(いた)かったのはレッサーパンダ。えさの竹をやるのに手間取り、腕(うで)をかまれぶら下がられた。今も傷(きず)が残っています。

 -飼育員の仕事は大変ですね。(倉橋(くらはし)記者)

 米崎 かわいくても油断(ゆだん)してはだめ。動物は悪くない。私たち人間が気を付けるべきです。動物が病気になると交代で夜通し様子をみるなど、大変なこともありますが、動物が好きだから続けられます。

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=2016/10/19付 西日本新聞朝刊=

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