【きょうのテーマ】「本の迷宮」 裏側を探検 福岡市総合図書館(福岡市早良区)

新聞収蔵庫には、古い新聞が保管されていた
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どこまで続いている? 立ち並ぶ本棚に驚く
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天井のレールには本を運ぶ「自走台車」がついていた
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 ●129万冊 果てしなく続く本棚 映画フィルムも大切に

 蔵書数129万冊を誇る福岡市総合図書館(福岡市早良区百道浜)。「知」との出合いを求めて、昨年度は164万人の市民が利用しました。日ごろは入ることができない巨大図書館の「裏側」を、本が大好きな5人のこども記者が探検しました。

【紙面PDF】「本の迷宮」 裏側を探検 福岡市総合図書館

 ■過去の新聞保管

 「この図書館には本以外の資料もたくさんあります」。案内役の同館運営課企画係長の西山健太郎さん(38)は5人の先に立って歩きだした。「この部屋には皆さんに関わりのあるものが保管されています」

 西山さんがドアを開けると、ずらりと並ぶ棚に、大きなとじ込みが数多く収められていた。西山さんはその一つを開いた。赤い大きな文字で「8連勝 西武」と見出しがついた1981年6月1日付の西日本スポーツだった。

 新聞収蔵庫では1955(昭和30)年ごろからの西日本新聞や全国紙を保管している。「新聞は記事や広告を調べればその時代の空気がよく分かる」と西山さんは教えてくれた。板木優季記者は「たくさんの新聞が大切に保管されていた。新聞は貴重な資料なんだ」と感じた。

 ■フィルムの重み

 同館の特徴は、映像ホールを併設し、アジア映画を中心に約3千本の作品を集めていることだ。森陽太記者は「図書館の中に映画館があるなんてすごい」と興味津々。映像資料課学芸員の八尋義幸さん(57)はフィルム保管庫に案内し、「これが映画です」と35ミリフィルムが入った缶を持たせてくれた。重さ約2キロ。DVD世代の5人はずしりとした手応えに驚いた。

 近年、映画のデジタル化が進み、フィルムは消えつつある。「保存の点ではデジタル作品よりフィルム作品の方が優れている」と八尋さんは語り、「温度や湿度をきちんと管理すれば500年くらいは画質を保てる。みんなのお孫さんにもきれいな映画を見せられるよ」と笑った。

 アジアでは、多くの映画フィルムが上映終了後、倉庫に放り込まれてぼろぼろになり捨てられるという。城戸美咲記者は「この図書館にしかない世界でたった1本の映画もあるそうだ。市民の財産として大事にされている」と考えた。

 ■閉架書庫に驚き

 さまざまな本を保管している「閉架書庫」では想像を超える光景が広がっていた。「ここから奥を見てごらん」と西山さんが指さした先には、東西80メートル、南北60メートルの長さに連なる書棚があり、60万冊以上が収蔵されていた。池田小春記者は「本棚がどこまでも続いていて果てしない」とあぜん。天井にはレールがあり、本を載せて窓口に運ぶ箱型の自走台車が忙しく移動していた。

 注目すべきは本の量だけではなかった。西山さんが左から「界世年少」の文字が印刷された古い雑誌を見せてくれた。意味不明の書名にきょとんとする5人。「この図書館で一番古い本の一つで1895年に発売された『少年世界』です」という西山さんの言葉に吉田瑞希記者は「今の本とは逆に、題名が右から左に書かれていて一瞬何の本かわからなかった」と驚いた。

 西山さんは「資料性の高い古い本や数十万円する高価な限定本も図書館が所蔵することで多くの人に読んでもらえる」と話し、「目の不自由な人のための点字図書や朗読を吹き込んだカセットテープの貸し出しも行っている。すべての人に本の楽しみを提供するのが図書館の役割」と力を込めた。

 ■マナーの問題も

 同館では年間約1万3千冊の新刊を購入。図書資料整理室では職員やボランティアが保護用のビニールをカバーに貼る作業をしている。5人も自分の大切な本を持参し、定規を使って空気が入らないように工夫しながら作業を体験し、本を大事にする気持ちを強めた。

 その一方で、児童書を集めた「こども図書館」で司書の柏原友子さん(64)が見せてくれた本に5人はショックを受けた。心ない利用者によって食べこぼしでよごされたり、ページを切り抜かれたりした数冊の絵本を前に柏原さんは「図書館の本はみんなで読むもの。マナーを守ってほしい」と訴えた。吉田記者は「傷ついた本を見ると悲しくなる。この本を修理する人も同じ気持ちだろう。みんなの本を大切にしてほしい」と考えた。

 ●「本と人を結び付けたい」 「司書」の仕事

 たくさんある本の中から何を読むか? 迷ったときに頼りになるのが本を探す手助けをしてくれる「司書」さん。司書歴40年の柏原友子さん=写真=に話を聞きました。

 -司書を目指した理由は?

 「どちらかというと本を読まない子どもだった。でも図書室には教室とは違う、自由な雰囲気があり、通っているうちに自分で本を選んで読む楽しみを知った。成長して、本を選ぶ手助けをしてくれた人が『司書』だと知り、なりたいと思いました」

 -どんな仕事ですか?

 「本の管理が仕事の基本ですが、人と本を結び付ける仲立ちをするのが司書の一番大事な仕事だと思っています」

 -人とうまく結び付けるには?

 「例えば『家具の本を探している』と言われたとします。家具を作るのか、デザインを見たいのか、家に置く参考にしたいのかいろんな選択肢がありますよね。それをインタビューして、意中の本を絞り込んでいくことが大事です」

 -やりがいを感じるときは?

 「お探しの本そのものをすぐに出せたときはうれしいですが、本を選ぶのは皆さん自身。私たちのアドバイスで本を探してもらい、『この本だ』と出合えた喜びを味わってもらえれば、司書として最高に幸せです」

 -図書委員です。どうしたら本に興味を持ってもらえますか?

 「ニュースに敏感になり、旬の話題に沿って『今月は宇宙の本』とか特集を組めば、みんなの読みたい気持ちをかきたてられます」

 -司書になるには?

 「大学などで専門の授業を受けたり、通信教育で資格は取れます。日頃から書店や図書館を回って、並んでいる本の背表紙をながめるだけでも知識が付きます。かたよりなく本を知り、さらに自分が好きな本の世界があれば、いい司書になれますよ」

 ●わキャッタ!メモ

 福岡市総合図書館 同市の生涯学習推進の拠点として1996年に開館。映像ホール「シネラ」(246席)を併設。昨年度の貸出利用者数は約37万7000人で貸出冊数は約145万冊におよぶ。館内にある「こども図書館」では児童書や紙芝居など約13万6000冊を所蔵。定期的に絵本の読み聞かせを行う「おはなし会」も開いている。同図書館=092(852)0600。

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=2017/02/18付 西日本新聞朝刊=

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