「シルク・ドゥ・ソレイユ」 驚異のアクロバット 最新作「トーテム」の魅力探る

中国ごまを使ったアクロバット「ディアボロ」に挑戦
中国ごまを使ったアクロバット「ディアボロ」に挑戦
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「カラペース」に出演している宮海彦さん(左)に鉄棒の指導を受ける家永偲道記者
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鏡をちりばめた「クリスタル・マン」の衣装に触れてみた
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一輪車を使ったアクロバット「ユニサイクル・ウィズ・ボウル」
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 ●世界中から才能集う 常に練習、本番は思い切り

 カナダのエンターテインメント集団(しゅうだん)「シルク・ドゥ・ソレイユ」の日本公開最新作「ダイハツ トーテム」の福岡公演(ふくおかこうえん)が話題を呼(よ)んでいます。「生命の進化」を驚異(きょうい)のアクロバットで表現(ひょうげん)するパフォーマーたちの肉体技(わざ)と衣装(いしょう)の魅力(みりょく)を、シルクの舞台(ぶたい)を初めて見た3人のこども記者が取材しました。

【紙面PDF】「シルク・ドゥ・ソレイユ」 驚異のアクロバット 最新作「トーテム」の魅力探る

 吉岡楓(よしおかかえで)記者は糸を使って中国ごまを巧(たく)みに操(あやつ)る演目(えんもく)「ディアボロ」を見て「こまと人が一体になった、リズミカルで切れのいい動き」に圧倒(あっとう)された。出演者のトレーニングルームがある「アーティスト・テント」に3人が行くと、闘牛士(とうぎゅうし)風の赤い衣装(いしょう)をまとった「ディアボロ」のパフォーマー、セバスティエン・ニキャエズさん(ベルギー出身)が登場。「さあ、みんな挑戦(ちょうせん)してもらおう」とそれぞれにこまと糸を配った。

 ニキャエズさんは「こまの位置を常(つね)に自分の体と平行にするとうまく動かせる」とアドバイス。3人は失敗を繰(く)り返(かえ)しながらも「今の体の動きいいね。次はうまくいくよ」と励(はげ)まされ、飛ばしたこまをキャッチできるようになった。

 「常に練習して、本番では勇気をふるって思い切りよくやることがお客さんの感動につながる」というニキャエズさんの言葉に、花田麻央(はなだまお)記者は「何度失敗してもできるまで続ける、あきらめない心をもらった」と感じた。

 「シルク・ドゥ・ソレイユ」は、世界各国から出演者やスタッフが集まっており、日本人も活躍(かつやく)している。「トーテム」で最初(さいしょ)に披露(ひろう)される演目「カラペース」(甲羅(こうら))のパフォーマー兼(けん)コーチの宮海彦(みやうみひこ)さん(東京(とうきょう)出身)に話を聞いた。中国人やブラジル人など5人チームで演じる「カラペース」は、「カエル」をイメージしたメークと衣装に身を包(つつ)み、カメの甲羅の模様(もよう)のように複雑(ふくざつ)に組み合わせた鉄棒(てつぼう)を使うダイナミックなステージだ。

 「5歳(さい)で体操(たいそう)を始めた」という宮さんはテントに置かれた高さ2メートル70センチの鉄棒につかまり「大車輪」を見事に決め、3人の度肝(どぎも)を抜(ぬ)いた。宮さんは鉄棒の下に安全マットを敷(し)き、いたずらっぽく笑い「同じようにやって」と家永偲道(いえながしどう)記者を誘(さそ)った。鉄棒にぶら下がった家永記者は「とても高く感じた。鉄棒から鉄棒へと体を回転させて飛び移(うつ)る、宮さんの体力と精神力(せいしんりょく)はすごい」と思った。

 大学で経営学(けいえいがく)を学んだ宮さんは卒業後、青年海外協力隊に参加。パナマに派遣(はけん)され、現地(げんち)の子どもに体育を教えたりした。花田記者の「なぜシルクに入ったのか」という質問(しつもん)に宮さんは「競技(きょうぎ)ではなく、人を楽しませる娯楽(ごらく)としての体操の面白さを発信しながら、世界中を旅して仕事ができるからかな」と答えた。

 吉岡記者が「演目を見たお客さんに何を感じてほしいか」と聞くと、宮さんは「言葉や文化が違(ちが)う人間がワンワールド、世界は一つと信じて舞台(ぶたい)に上がっている。僕(ぼく)らのチームワークで人間と命の素晴(すば)らしさを伝えたい」と力を込(こ)めた。

 ●衣装は手作り リアルさ追求

 こども記者は華麗(かれい)なアクロバットに花を添(そ)えるカラフルな衣装(いしょう)にも注目した。「トーテム」では約750種類の衣装やアクセサリーが登場。衣装チーフのデボラ・リンデンさんは「舞台(ぶたい)に登場する衣装や小物はすべてカナダ・モントリオールの本社でデザイン。出演者(しゅつえんしゃ)の体形に合わせて、生地(きじ)の染色(せんしょく)から縫製(ほうせい)まですべて手作業で作っているの」と教えてくれた。

 「どの衣装が見たい?」とリンデンさんに聞かれた3人は「クリスタル・マン」と声をそろえた。クリスタル・マンは生命の起源(きげん)を象徴(しょうちょう)し、開幕(かいまく)と同時にスポットライトをあび、全身を輝(かがや)かせながら、天井(てんじょう)から逆(さか)さまに降(お)りてくる印象的なキャラクターだ。リンデンさんが取り出した衣装を見て驚(おどろ)いた。表面に約4500枚(まい)の小さな鏡やクリスタルがちりばめられていて、持つとずしりと重かった。

 「クリスタル・マンの衣装は一度洗(あら)うと乾(かわ)かすのに2日間かかるの」とリンデンさんはほほ笑み、「魚やカエルをイメージした衣装は、実物を基(もと)に色はもちろん、ぬれたような皮膚(ひふ)の質感(しつかん)まで再現(さいげん)している。そこまでリアルさを追求して初めて、生命の輝きを衣装で表現できる」と話した。家永偲道(いえながしどう)記者は「いろいろなスタッフの努力が集まり素晴(すば)らしい舞台を作っているんだ」と感心した。

 ▼ダイハツ トーテム福岡公演(ふくおかこうえん) 19日まで、福岡市東(ひがし)区の福岡ビッグトップ(筥崎宮外苑(はこざきぐうがいえん))。北米先住民の伝承(でんしょう)などを基(もと)に、生命の誕生(たんじょう)から人類の進化の過程(かてい)をアクロバットで表現(ひょうげん)。高さ2メートルの一輪車を使った「ユニサイクル・ウィズ・ボウル」や細長い板の上を跳(と)びはねて軽々と宙(ちゅう)を舞(ま)う「ロシアン・バー」など多彩な演目を披露(ひろう)する。先に上演された東京(とうきょう)、大阪(おおさか)、名古屋(なごや)の3会場では計100万人以上が来場した。3次元で映像(えいぞう)を投影(とうえい)するプロジェクションマッピングを使った演出も見ものだ。問い合わせは福岡公演チケットセンター=092(714)0159。

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=2017/03/04付 西日本新聞朝刊=

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