【きょうのテーマ】お年寄りの暮らし支える 特別養護老人ホーム 「よりあいの森」訪問

おばあちゃんとホットケーキを作るこども記者
おばあちゃんとホットケーキを作るこども記者
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外から見た「よりあいの森」の建物
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村瀬孝生さん
村瀬孝生さん
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 ●「その人らしい生活」 続けられるように

 人は年を取ると、体が不自由になったり物忘れが多くなったりします。福岡市城南区別府の特別養護老人ホーム「よりあいの森」は、お年寄りが最後まで自分らしく暮らせるように、お手伝いをしている施設です。こども記者4人が訪ねて、交流しました。

【紙面PDF】きょうのテーマ=お年寄りの暮らし支える

 ■普通の家みたいだ

 こども記者たちは「よりあいの森」で、施設長の村瀬孝生さん(52)から、お年寄り26人が暮らしていて、最高齢のおばあちゃんは104歳と教えてもらった。半数以上が90歳を超えていると知った吉岡楓記者は「私もそれくらい長生きできたらな」と思った。

 建物は木造2階建て。お年寄りは「ばんざい」「あっぱれ」「わっしょい」という名の三つのグループに分かれて生活している。村瀬さんが案内してくれた。

 初めて老人ホームを見学した本多真麻記者は「病院みたいな場所と思っていたけど、普通の家みたいだった」と驚いた。板木優季記者は、木材とたたみで床ができているという説明を聞き、スリッパなどをはく他の施設と違って「はだしでも快適に過ごせるようにしてある」ことに感心した。

 ■お風呂は職員と一緒

 104歳のおばあちゃんの個室を見せてもらった。クーラーも扇風機も設置されていた。体を動かさないお年寄りがクーラーの風に長く当たると体が冷えすぎるため、夏は扇風機の風や窓からの風を使い分けるそうだ。本多記者は「お年寄りの方たちが快適に暮らせるように工夫がたくさんしてある」と思った。

 鏡台には化粧品が置かれていた。村瀬さんから「100歳を過ぎても化粧水を顔につけていらっしゃった」と聞き、こども記者たちは笑顔を輝かせた。

 「よりあいの森」が大切にするのは、「その人らしい生活」をできるだけ続けてもらうこと。お風呂場には、お年寄りが湯船につかるのを補助する器具があったが、「普通の生活に近づけるため器具は使わず、職員も服を脱いでお年寄りと一緒に入る。時にはお年寄りが職員の背中を流してくれるそうだ。それは職員への感謝の表れだと思う」(志垣大和記者)。

 ■交流が楽しかった

 こども記者たちは、「ばんざい」グループのお年寄り8人と一緒にホットケーキを作って食べた。うとうとと眠りかけて職員に声をかけられる方、こども記者のエプロンをうれしそうに整えてあげる方など、いろんなおばあちゃんがいた。ホットケーキが焼けると広間に甘い香りが広がった。

 板木記者は「お年寄りの方と協力して作ったから、よりおいしく感じた。普通だとできない交流が楽しかった」と振り返った。

 「おばあちゃんたちは『料理もおいしく、職員さんも優しく接してくれ、毎日が楽しい』と言っていた」と志垣記者。吉岡記者は「私たちと話すだけで喜んでもらえてうれしかった」。

 ●施設長 村瀬さんにインタビュー 「お年寄りの世界はとても豊か」

 こども記者たちは、「よりあいの森」の施設長の村瀬孝生さん(52)にインタビューした。

 -誕生会などのお祝いはしますか?

 「メロンが好きな人にはメロンパーティーを開き、回転ずしが好きな人だと職員も一緒に店へ食べに行くなど、お年寄り一人一人に合わせたお祝いをします」

 -スタッフとして楽しいことは何ですか?

 「年を取った人には、それぞれの世界があります。例えば、おしっこに行きたいけど、それを恥ずかしくて言えないおばあちゃんが『婦人の滝が出る』と表現したり。その世界はとても豊かでおかしみがあり、僕は楽しく感じます」

 -お年寄りと接する上で一番大切なことは?

 「年を取ると自分の気持ちを言葉で言えなくなる人もいます。でも、表情で伝えることができます。ご飯を食べたいか、お風呂に入りたいかなど、こちらが一つ一つ尋ねて表情を読むというやりとりを、ていねいにやるのが大事ですね」

 -この施設で亡くなる方もいますか?

 「僕らは、人が年を取り寿命を迎えて亡くなることをありのままに受け止めて、立ち会います。人は『最後に死ぬ』んじゃなくて『最後まで生きる』ということをお年寄りの方たちに教えてもらいます。人生を全うされた方の死に立ち会うと、悲しみだけでなく、すばらしいなあ、という喜びも感じて、僕たちに思い出として深く残ります」

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=2017/03/15付 西日本新聞朝刊=

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