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【きょうのテーマ】平成筑豊鉄道運転したぞ! 「鉄の塊」動かす感動 安全への責任を実感

平成筑豊鉄道の制服姿で運転席に座る
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こども記者の運転で金田駅構内を走る列車
こども記者の運転で金田駅構内を走る列車
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金田駅の指令室。机の上にはダイヤが広げられている
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 「一度は本物の列車を運転したい」。そんな鉄道ファンの夢(ゆめ)を叶(かな)えてくれるのが平成筑豊(ちくほう)鉄道=本社・福岡(ふくおか)県福智町(ふくちまち)=が実施(じっし)している全国でも珍(めずら)しいイベント「列車運転体験」です。本社がある金田(かなだ)駅構内(えきこうない)の片道(かたみち)150メートルの体験用レールの上で、乗り物が大好きなこども記者9人が運転士の気分を楽しみつつ、安全で正確(せいかく)な運行が求められる責任(せきにん)の重さも実感しました。

【紙面PDF】きょうのテーマ 平成筑豊鉄道運転したぞ! 「鉄の塊」動かす感動 安全への責任を実感

 ■車体重量は30トン

 運転士経験豊富(けいけんほうふ)な今村良平(いまむらりょうへい)さん(36)と中村亮太(なかむらりょうた)さん(32)が体験コースに案内してくれた。使用するのは1991年に製造(せいぞう)され2010年まで走ったディーゼル車「304号車」だ。車体の重さは約30トン。今村さんがブレーキや車輪の構造(こうぞう)を説明し「この列車は250馬力で最高速度は時速95キロだが平成筑豊(ちくほう)鉄道は駅と駅の間が短いので75キロ以上出すことはない」と話した。

 304号車は「両運転台車」で前後に運転席があるのが特徴(とくちょう)だ。運転席に座(すわ)った佐藤博武(さとうひろむ)記者は「右にブレーキハンドル、左に加速用のマスターコントロール(マスコン)、足元の右に警笛(けいてき)、左にデッドマン…さまざまな装置(そうち)がある」と驚(おどろ)いた。「デッドマン」とは運転士が意識(いしき)を失った時に作動する安全装置で、運転中常(つね)にスイッチを踏(ふ)み込まないと警報(けいほう)が鳴り、非常ブレーキが掛(か)かる仕組みだ。

 中村さんの「安全運転もだが、停車時のドアの開閉など常にお客さんの安全に責任を持つことが大事」という言葉に9人は運転士の仕事の大変さを実感した。

 ■運転席の緊張感

 今村さんはディーゼルエンジンを作動させ、発車前に短く警笛を鳴らした。倉掛愛奈(くらかけまな)記者は「周りにいる人に『列車が出発するよ』と危険(きけん)を知らせている」と気付いた。まずは今村さんがお手本を見せる。コースには二つの標識(ひょうしき)があり、白い標識まで加速し、黄色の標識でブレーキを掛け150メートル地点で停車した。

 いよいよこども記者の番だ。西村律希(にしむらりつき)記者に今村さんは「列車は危険があっても左右に逃(に)げられない。ブレーキが命だから運転中はハンドルから手を離(はな)してはいけない」と指導(しどう)した。

 西村記者は警笛を鳴らしてブレーキを緩(ゆる)め、マスコンの目盛(めも)りを時速約15キロまで上げコースを走行した。 その後、全員が往復(おうふく)300メートルを走行。佐々木寛太(ささきかんた)記者は「ブレーキが難しかった。車体を少しずつ減速(げんそく)させる運転士さんの技術はすごい」。永井晨翔(ながいあきと)記者は「自分で鉄の塊(かたまり)を動かせて感動した」と興奮(こうふん)を語った。

 ■命を乗せている

 体験を終えたこども記者は金田駅の指令室を見学した。金田駅は車両基地(きち)も兼ねていて、指令室では駅に出入りする列車の信号を操作(そうさ)している。運行中の列車や接続(せつぞく)するJR九州の指令室と連絡(れんらく)を取り合うなど「鉄道の安全を守る心臓部(しんぞうぶ)」(今村さん)だ。板木優季(いたきゆうき)記者は「列車は命を乗せている。お客さんが安心して乗るために働く皆(みな)さんの工夫(くふう)や熱意が伝わった」。

 ●「健康と時間の管理が大切」 運転士 今村さんに聞く

 こども記者は運転士歴8年の今村(いまむら)さんに質問した。

 -なぜ運転士の仕事を選んだのですか?(森陽太(もりようた)記者)

 「小学生の頃(ころ)から鉄道が大好きで、1人で列車に乗ってあちこち遊びに行きました。大学卒業後、バス会社に就職(しゅうしょく)しましたが、平成筑豊(ちくほう)鉄道が運転士を募集(ぼしゅう)していると知り、試験を受けました」

 -列車運転にはどんな免許(めんきょ)が必要ですか?(向井友世(むかいともよ)記者)

 「動力車操縦者(そうじゅうしゃ)運転免許が必要です。動力の構造によって区分がありディーゼル車は『内燃車(ないねんしゃ)』。ちなみに蒸気(じょうき)機関車には専用(せんよう)の免許があり、一番取得が難(むずか)しいと言われています」

 -運転に必要な道具を教えてください。(西村律希(にしむらりつき)記者)

 「駅ごとの停車時間を秒刻(びょうきざ)みで入れた専用の時刻表(じこくひょう)とかばんに鉄道関係の法律書(ほうりつしょ)、車両の説明書、乗車券(じょうしゃけん)、懐中(かいちゅう)電灯(でんとう)などを入れて乗務(じょうむ)します。急な腹痛(ふくつう)用の薬を持って乗る運転士もいるようです。一番大切なのは車両のドアのかぎとブレーキハンドルですね」

 -えっ、ブレーキハンドルって外れるんですか?(全員)

 「車両の盗難防止(とうなんぼうし)で一日の走行が終わるとハンドルを外して保管(ほかん)します」

 -ヒヤッとしたことや、うれしいことは?(竹元美結(たけもとみゆ)記者)

 「事故(じこ)を起こしたことはありませんが線路に人や車が入ってきたときはヒヤッとします。あと遅刻(ちこく)する夢(ゆめ)を見るとどきどきします。お客さんから『ありがとう』と言われた時はうれしいですね。運転士は勤務(きんむ)時間も不規則(ふきそく)で体力的にきついので、励(はげ)ましの言葉をいただくと、よし頑張ろうと思います」

 -鉄道の仕事で大切なことはなんですか?(佐藤博武(さとうひろむ)記者)

 「健康と時間の管理です。鉄道は安全が第一。全社員が健康で時間を守ることが確実な運行につながります」

 ●わキャッタ!メモ

 ▼平成筑豊(ちくほう)鉄道 福岡(ふくおか)県筑豊地区のJR田川(たがわ)、伊田(いた)、糸田(いとだ)の3線路を引(ひ)き継(ぎ)ぎ、第3セクターとして1989年(平成元年)10月に開業した。3路線に35駅があり、2016年の利用者数は約162万人。門司港(もじこう)レトロ地区(北九州(きたきゅうしゅう)市門司区)を走る観光トロッコ列車「潮風(しおかぜ)号」も運行している。

 「列車運転体験」は10~25人までの小学3年生以上の団体客(だんたいきゃく)が対象。料金は1人5000円(昼食付き)。参加希望日の1カ月前の予約が必要。同社運転体験係=0947(22)1000。

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=2017/04/05付 西日本新聞朝刊=

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