九州の海 リアルに再現 新しくなったマリンワールド海の中道(上)「おさかな」班

泡(あわ)立つ荒波の中で泳ぐ魚を展示した「玄界灘水槽」
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水槽の管理など水族館のさまざまな仕事を見学した
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海と山のつながりが学べる「阿蘇 水の森」のコーナー
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質問に答える魚類課の福田さん
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■玄界灘、阿蘇…環境の大切さ 魚が教えてくれた

 生まれ変わった「海の世界」へようこそ-。昨年10月から改装(かいそう)工事で休館していた水族館「マリンワールド海の中道」(福岡(ふくおか)市東(ひがし)区西戸崎(さいとざき))が4月、半年ぶりにオープン。「九州の海」をテーマに魚の展示(てんじ)やイルカやアシカのステージの内容(ないよう)を一新し、あらためて注目されています。こども記者14人が「おさかな班(はん)」と「ステージ班」に分かれて同館を取材。その様子を2回に分けて掲載(けいさい)します。今回は「おさかな班」が「九州の海」の魅力(みりょく)を探(さぐ)りました。

【紙面PDF】新しくなったマリンワールド海の中道(上)「おさかな」班

 ●水槽に荒波再現

 リニューアルでは展示(てんじ)のテーマを「対馬暖流(つしまだんりゅう)」から「九州の海」に変更(へんこう)し、多様な海の生き物の生態(せいたい)と生息環境(かんきょう)をリアルに再現(さいげん)することに力を注いでいる。目玉の一つが3階に設置(せっち)された「玄界灘水槽(げんかいなだすいそう)」だ。

 高さ約5メートルの曲面ガラスを使用し、人工的に波をつくり、クエやスズメダイなど約200匹(ぴき)を展示している。アイデアを出した魚類課の福田翔吾(ふくだしょうご)さん(28)は「福岡(ふくおか)の玄界灘では季節風の影響(えいきょう)で荒波(あらなみ)が起こりやすい。厳(きび)しい環境の中でたくましく生きる魚たちの姿(すがた)を見て」と話した。

 倉橋凛子(くらはしりんこ)記者は「1分間ごとに500リットルの水が流れ落ちて波をつくる仕組みになっている」ことに感心し、川瀬光生(かわせみちお)記者は「海中の臨場感(りんじょうかん)が出ていた。生き生きと魚が泳ぐ姿に命の大切さを知った」という。

 深海をテーマにした展示も九州中心に一新された。上村晄大(うえむらこうた)記者は宮崎(みやざき)県日向灘(ひゅうがなだ)の水深約300メートルの海底で捕獲(ほかく)されたヒラアシクモガニなどに目を見張(みは)り「このコーナーの生き物を増(ふ)やして」と期待を寄(よ)せた。

 ●つながる森と海

 もう一つの目玉が「阿蘇(あそ) 水の森」だ(3階)。熊本(くまもと)の阿蘇地方に多い湧水池(ゆうすいち)の自然を再現。雨が湧(わ)き水となり、森を潤(うるお)しながら川から海へと流れ込(こ)む「水のつながり」を通じて環境の大切さを訴(うった)えている。中川智裕(なかがわともひろ)記者は、植物が生い茂(しげ)る様に「阿蘇の山中のようだ」と驚(おどろ)いた。

 水を象徴(しょうちょう)する植物として池にホソバミズゼニゴケなどコケ類を入れた。コーナーを企画した学習交流課主任の岡村峻佑(おかむらしゅんすけ)さん(34)によると4年前から産山村(うぶやまむら)(熊本県)に通い続け、役場の協力を得て現地で採取(さいしゅ)したコケを育てたという。岡村さんは「コケは水質(すいしつ)や水温に敏感(びんかん)。水温を14度に保(たも)たないといけないので育成環境を安定させるのが大変でした」と振(ふ)り返る。

 このコーナーでは九州に生息する淡水魚(たんすいぎょ)も展示。魚に詳(くわ)しく、数百種をスケッチしてきた来島知希(きじまともき)記者は絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ)のオヤニラミに注目。一説によるとオスが卵(たまご)を保護(ほご)する習性(しゅうせい)から「親がにらみを利(き)かす魚」とされたことが名前の由来という。「ほかの魚の卵まで世話をする点が面白い」とその姿を描(えが)いた=イラスト。

 ●海を守るサンゴ

 館内の水槽の多くにサンゴが入れてある。「奄美(あまみ)のサンゴ礁(しょう)」(2階)のコーナーでは鹿児島(かごしま)県の南の海に生息する美しいサンゴを展示。サンゴ礁が小さな魚の隠(かく)れ場所やえさ場となっていること、地球温暖化(おんだんか)による水温上昇(じょうしょう)でサンゴが死滅(しめつ)すると、魚も姿を消すことなどを伝え、同館が水槽内でサンゴを育て、奄美の海に戻(もど)す活動に取り組んでいることを紹介している。

 入江環(いりえたまき)記者は「海の生き物を守るために環境について考えなければ」、越智惺椛(おちせいか)記者は「海の美しさは当たり前ではない。『自然を大切にして』と魚から教えてもらった」と感じた。

■九州の海の多様性を見て 魚類課の福田さんに聞く

 同館で魚の研究や飼育(しいく)を担当する魚類課に勤務(きんむ)して6年目の福田翔吾(ふくだしょうご)さんに話を聞いた。

 -水族館で働きたい。何をすればいいですか?

 「子どもの頃(ころ)から魚が好きで、水産学部がある大学に進学し、卒業後、海洋調査船(ちょうさせん)に乗って経験(けいけん)や知識(ちしき)を身に付けました。研究などに必要なので英語はしっかり学んでおくといいですね」

 -展示(てんじ)が難(むずか)しい生き物は?

 「イカですね。メスの寿命(じゅみょう)は1年くらいで、オスはもっと早く死ぬ。当館では産卵(さんらん)の周期が異(こと)なるアオリイカ、コウイカ、ヤリイカなどを交代で展示して、常(つね)に見てもらえるように工夫しています」

 -九州にはあちこちに干潟(ひがた)がありますが、特に有明海(ありあけかい)(佐賀(さが)ほか)の干潟にムツゴロウなど珍(めずら)しい魚が多いのはなぜですか?

 「太古の阿蘇山(あそさん)の大噴火で降(ふ)った火山灰(かざんばい)が干潟に堆積(たいせき)し、独自(どくじ)の環境(かんきょう)の中で生き物が育ってきたから。新展示では錦江湾(きんこうわん)(鹿児島(かごしま))や豊後水道(ぶんごすいどう)(大分(おおいた))など各県を代表する海ごとに水槽(すいそう)を分けて生き物を紹介(しょうかい)しているので、九州の海の多様性(たようせい)をぜひ見てほしい」

 -これから挑戦(ちょうせん)したい仕事は?

 「もっと海に出て、深海魚など九州にいるはずがないと思われていた生き物を展示したい。九州の海をもっと深く、楽しく紹介できるように頑張(がんば)ります」

 ●わキャッタ!メモ

 ▼マリンワールド海の中道 福岡(ふくおか)市東(ひがし)区西戸崎(さいとざき)。魚類など350種約3万点の生物を展示(てんじ)。7日までは「夜のすいぞくかん」として午後9時半まで営業(えいぎょう)。入館料は高校生以上2300円、中学生1200円、小学生1000円、4歳(さい)以上600円。休館は2月の第1月曜とその翌日(よくじつ)のみ。問い合わせは同館=092(603)0400。

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=2017/05/03付 西日本新聞朝刊=

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