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【きょうのテーマ】世界遺産ラスコー展 なぞが多い2万年前の壁画 九州国立博物館で

本物の洞窟のような壁に2万年前の絵が再現されている
本物の洞窟のような壁に2万年前の絵が再現されている
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展示されているマンモスの牙は手でさわることができる
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クロマニョン人の模型は生きているようだった
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 約2万年前の壁画(へきが)を見てタイムスリップした気分になれる展覧会(てんらんかい)が、福岡(ふくおか)県太宰府(だざいふ)市の九州国立博物館で開かれています。「世界遺産(いさん)ラスコー展 クロマニョン人が見た世界」(9月3日まで)です。こども特派員(とくはいん)5人が取材し、古代のなぞについて考えました。

【紙面PDF】きょうのテーマ 世界遺産ラスコー展 なぞが多い2万年前の壁画 九州国立博物館で

 ■本物を精巧に再現

 約2万年前の壁画は、フランスのラスコー洞窟(どうくつ)という、地下に自然にできたトンネルのような空間に描(えが)かれている。今回、展示(てんじ)されているのは本物を精巧(せいこう)に再現(さいげん)した模型(もけい)だ。こども特派員たちは、九州国立博物館の河野一隆(かわのかずたか)文化財(ぶんかざい)課長(50)の説明を聞きながら会場を見て回った。

 描かれた動物は、馬、牛、シカ、バイソンなど。赤や黒などの石を細かく砕(くだ)き、絵の具のようにして描いたそうだ。浦川蓮(うらかわれん)特派員は「一つ一つがとても上手で、観察力がすごい」と思った。模型は3Dプリンターなどを使って作られていて、上田侑茉(うえだゆうま)特派員は「照明が暗くなると、絵(の線刻(せんこく))が浮(う)かび上がり、分かりやすかった」。

 ■氷河期に生きた人々

 暗い洞窟の中で、どうやって絵を描いたのだろう。河野さんによると、「ランプを使っていたそうだ。実際(じっさい)に洞窟の中からランプが発見されたらしい」(小宮衣織(こみやいおり)特派員)。ランプといっても、石製(せい)の皿のようなもの。動物の脂(あぶら)を使って火をともしていたという。

 描いたのはクロマニョン人と呼(よ)ばれる古代人。なぜクロマニョン人というのかといえば「マニョンさんという人の洞窟から最初に骨(ほね)が見つかったから。洞窟は地元の言葉で『クロ』なので、クロマニョン人になった」と教えてもらった(魚住志帆(うおずみしほ)特派員)。

 会場には、クロマニョン人の等身大の復元模型(ふくげんもけい)もあった。塙小桜(ばんこはる)特派員は「女性(じょせい)は貝がらのアクセサリーをつけるなど、おしゃれをしていた。現代人(げんだいじん)と違(ちが)って体の毛が濃(こ)かったのは、当時は氷河期(ひょうがき)でとても寒かったからだと思った」。

 ■不思議な「トリ人間」

 特派員たちがそろって興味(きょうみ)を持ったのは「トリ人間」の絵だ。動物は600頭以上描かれているのに、人の絵は一つだけで、頭が鳥のような形になっている。

 上田特派員は「本当にいたのか、想像(そうぞう)で描いたのか分からないが、面白い」と思った。河野さんが「お祭りなどをする呪術師(じゅじゅつし)みたいな人ではないか」と説明するのを聞き、魚住特派員は「日本でいう(古代の女王)卑弥呼(ひみこ)みたいな人かな」と考えた。

 そもそもラスコーの壁画は何のために描かれたのだろう。狩(か)りの成功を願ったのか、それとも…。河野さんは「現代のわれわれに何かメッセージを伝えたかったのかもしれない。ミステリアス(なぞめいた)な感じを味わってほしい」と来場を呼びかけている。

 ▼ラスコー洞窟(どうくつ) フランス南西部のモンティニャック村にある洞窟。1940年に地元の少年たちが発見した。地下にあって、全長約200メートル。約2万年前にクロマニョン人が描(えが)いた馬、牛、シカなどの壁画(へきが)が残っている。79年に世界遺産(いさん)に登録され、現在(げんざい)は閉鎖(へいさ)されている。

 ●絵を描くのは命がけだった? 九州国立博物館 河野文化財課長に聞く

 こども特派員(とくはいん)たちは、ラスコーの壁画(へきが)について、九州国立博物館の河野一隆(かわのかずたか)文化財(ぶんかざい)課長に質問(しつもん)した=写真。

 -2万年も前の壁画なのに、なぜ今もきれいに残っているのですか?

 河野「1940年に少年たちが洞窟(どうくつ)に入って見つけるまで、誰(だれ)もそこに入ることがなく、植物が生えるなどして汚(よご)れなかったからです。また、石灰岩(せっかいがん)の洞窟なので壁画の表面が薄(うす)い膜(まく)で守られたようです」

 -なぜクロマニョン人が描(えが)いたと分かるのですか?

 河野「洞窟から出てきた石器の形が、クロマニョン人がいた2万年前の石器の形だったからです」

 -洞窟は奥(おく)が深いので、息が苦しくなりませんか?

 河野「(照明などに)火を使っているので、酸素(さんそ)がだんだんなくなって、息が苦しくなったと思います。絵を描くのは命がけだったかもしれませんね」

 -なぜ動物の絵をたくさん描いているのですか?

 河野「分かりません。動物の絵はすごく上手なのに、人間の絵(トリ人間)は下手です。これもなぞの一つです」

 -ラスコー洞窟は発見後、観光客が押(お)し寄(よ)せてカビが発生したこともあり、閉鎖(へいさ)されているそうですね。

 河野「はい。今はどんなに偉(えら)い先生が来ても、中は見せないことになっています」

 ▼世界遺産(いさん)ラスコー展(てん) クロマニョン人が見た世界 9月3日まで(月曜休館)、福岡(ふくおか)県太宰府(だざいふ)市の九州国立博物館。約2万年前に描(えが)かれた洞窟壁画(どうくつへきが)を実物大で再現(さいげん)し、彫刻(ちょうこく)や狩猟(しゅりょう)道具なども展示(てんじ)。入場料は小中学生600円、高大生1000円、一般(いっぱん)1600円。問い合わせはNTTハローダイヤル=050(5542)8600。

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=2017/08/19付 西日本新聞朝刊=

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