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【おしごと拝見】パイロット 長谷川千春さん(44) 日本航空

スイッチや計器などが設置されたコックピットで整備士に機体の状態を報告する長谷川千春さん(左)
スイッチや計器などが設置されたコックピットで整備士に機体の状態を報告する長谷川千春さん(左)
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フライトを終えてインタビューにこたえる長谷川さん
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飛行機の離陸に向けて準備を進める人々の様子を見学した
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飛行機が通る「空の道」を示す経路図
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 ●大切なのはコミュニケーション能力 まだ少ないが女性も活躍

 大きな飛行機にお客さんを乗せ、大空を飛び回るパイロット。男性(だんせい)のイメージがあるけれど、実は女性も活躍(かつやく)しているそうだ。日本航空(にほんこうくう)(JAL)の女性パイロットで福岡(ふくおか)市出身の長谷川千春(はせがわちはる)さん(44)に会いに行った。

【紙面PDF】おしごと拝見 パイロット 長谷川千春さん(44) 日本航空

 たくさんの飛行機が行き交う福岡(ふくおか)空港。昼すぎ、長谷川千春(はせがわちはる)さんが乗った東京(とうきょう)・羽田(はねだ)からの飛行機が、予定より少し早く着いた。お客さんが降(お)りた後の機内へ長谷川さんを訪(たず)ねると、整備士(せいびし)さんに機体の状況(じょうきょう)を報告していた。

 「飛行機はパイロット1人では動かせない。パイロットにとって一番大事なのはコミュニケーション能力(のうりょく)」と長谷川さんは話す。長谷川さんが操縦(そうじゅう)するような旅客機は、機長と副操縦士とよばれるパイロット2人が乗る。長谷川さんは副操縦士だ。客室乗務員(じょうむいん)(CA)や整備士、離着陸(りちゃくりく)を管理する管制官(かんせいかん)などもいて、飛行機を安全に飛ばすには協力が欠かせない。

 パイロットの仕事は「準備(じゅんび)が大事」と長谷川さん。フライトの前に気象や出発・目的地の空港周辺の地形などをしっかり頭に入れて、大きな雲があった場合のさけ方などをシミュレーションしておかねばならない。「風に乗れば、燃料(ねんりょう)をたくさん使わず効率(こうりつ)よく飛べますしね」とも言う。

 あこがれの仕事だが、勤務(きんむ)時間は不規則(ふきそく)で、何よりお客さんを無事に運ぶというプレッシャーは大きい。ストレスをためないことも必要で、長谷川さんのリフレッシュ方法はなんと草むしり。「無心に草をむしっていると心がすっきりする」と笑う。

    ◇   ◇

 実は長谷川さん、もともとはCAを目指していた。でも学生時代の就職(しゅうしょく)活動の時期に募集(ぼしゅう)がなかったそうだ。パイロットを目指す決意をして航空大学校へ入り、勉強し直した。「当時、大学校の同級生で女性(じょせい)は2%ぐらいだった」と振り返る。

 現在(げんざい)、JALグループのパイロット約2500人のうち女性は1%足らず。男性ばかりの職場(しょくば)で働くのは大変ではないのだろうか。長谷川さんは「気をつかうことはあるけれど、慣(な)れれば同じ仲間。それにほかの航空会社にも女性パイロットが増(ふ)えてきたし」と笑う。

 長谷川さんは6歳(さい)と3歳(双子(ふたご))の子どものお母さんでもある。2度目の出産後は1年半で仕事に戻(もど)った。パイロットにふさわしい健康状態(じょうたい)かどうかを調べる「航空身体検査(けんさ)」では妊娠(にんしん)13~26週(4~7カ月ごろ)の間は乗務でき、JALの場合は「本人が希望し、医師(いし)が認(みと)めれば妊娠中でも乗務できる。もちろん妊娠中は飛ばないという選択(せんたく)もできる。私(わたし)は子育てにそなえて休みました」と長谷川さん。

 仕事に戻った後はほかのパイロット同様、早朝や深夜、泊(と)まりがけのフライトも、周りの助けを得ながらこなしているそうだ。「大変だけどやりがいがある」と話す長谷川さんの今の目標は、機長になることだそうだ。

(下野聖矢(しものせいや)記者、溝添日向子(みぞぞえひなこ)特派員(とくはいん))

 ●コックピットはスイッチがいっぱい オーロラが見えることも

 長谷川(はせがわ)さんが「ここから見える景色は格別(かくべつ)」というコックピットの中に今回、私(わたし)たちも特別に入れてもらった。

 コックピットには二つの操縦席(そうじゅうせき)。その周りには数え切れないほどのスイッチがあり、天井(てんじょう)にまでも付いていた。操縦席の前には小さな画面のようなものもいくつか付いていて、表示(ひょうじ)はすべて英語だった。

 操縦席は、身長が低い人が座ると前方が見づらそうだった。「飛行機は外国製(せい)で、外国人パイロットが操縦するようにつくられていますからね」と長谷川さんが教えてくれた。長谷川さんも学生時代に訓練で使った飛行機の操縦席が身長に合わなかったため、座布団(ざぶとん)をしいて訓練していたそうだ。

 コックピットの窓は「機内で一番大きい」と長谷川さん。それでも私たちにとっては思ったより小さかった。長谷川さんが仕事で好きなことの一つは、この窓から見える景色だという。「オーロラや流星群(りゅうせいぐん)を見ることもあります」と笑った。 (吉武愛実(よしたけまなみ)記者、四元陽菜(よつもとはるな)記者)

 ●わキャッタ!メモ

 ▼パイロットになるには 日本で旅客機のパイロットになるにはいくつかの道がある。(1)航空会社の自社養成パイロットとして入社試験を受けて採用(さいよう)される(2)航空大学校(本部・宮崎(みやざき)市)や私立大学のパイロット養成コースなどでライセンスを取得後、航空会社に入る-などだ。(1)の場合、4年制(せい)大学卒業以上の学歴が必要。長谷川(はせがわ)さんによると、英語はある程度(ていど)勉強しておいた方がいいそうだ。

【紙面PDF】おしごと拝見 パイロット 長谷川千春さん(44) 日本航空


=2017/09/23付 西日本新聞朝刊=

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