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「ハチドリ隊」ベトナムで植林 中高生ら20人が苗木350本

植林活動に参加したハチドリ隊員ら。前列右端は浅野哲美さん
植林活動に参加したハチドリ隊員ら。前列右端は浅野哲美さん
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マングローブの苗木を植えるハチドリ隊員
マングローブの苗木を植えるハチドリ隊員
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 マングローブの植林活動を通して、中高生に環境(かんきょう)問題について理解(りかい)を深めてもらおうと、西日本新聞社は「第9回西日本新聞ハチドリ隊」を8月9日から5日間、ベトナム・ホーチミンに派遣(はけん)しました。福岡(ふくおか)、佐賀(さが)、長崎(ながさき)各県から中高生18人とハチドリ隊経験者(けいけんしゃ)の大学生2人が参加。現地(げんち)で植林を行う浅野哲美(あさのてつみ)さんの指導(しどう)を受け、ベトナム戦争で壊滅的(かいめつてき)な被害(ひがい)を受けたカンザー地区のマングローブ林の再生(さいせい)を目指し、苗木(なえぎ)350本を植えました。また、戦跡(せんせき)や戦争証跡(しょうせき)博物館なども訪(おとず)れ、戦争と平和について考えました。参加者の声を紹介(しょうかい)します。

【紙面PDF】「ハチドリ隊」ベトナムで植林 中高生ら20人が苗木350本

 ●マングローブの成長楽しみ

 ぬかるんだ土に足をとられ、少し歩いただけでどっと疲(つか)れが襲(おそ)う。シャベルで掘(ほ)る土は、水を多く含(ふく)んでいて、とても重い。足は動かさなかったら、どんどん土に埋(う)まっていく。照り続ける太陽とぬかるんだ地面が、僕(ぼく)の水分と体力を吸(す)い取っているようだ。

 1メートルほどの苗木(なえぎ)を地に植え、体からあふれ出る汗(あせ)をぬぐった。さっきまで弱々しく見えた苗木は、地に植えた瞬間(しゅんかん)から力強く見えた。

 最初のうちは1本の苗木を植えるのに1分もかからなかったが、作業が進むと疲労(ひろう)のせいで3倍以上もの時間がかかるようになった。仲間も言葉数が減(へ)り、Tシャツににじむ汗がどんどん広がった。2時間ほどかけて、全員で約350本の苗木を植えた。両足は悲鳴(ひめい)をあげ、長靴(ながぐつ)とズボンは泥の餌食(えじき)となり、Tシャツは汗で変色していた。

 約50年前、ベトナム戦争で米軍が枯(か)れ葉剤(はざい)をまき、約4万ヘクタールあったマングローブは壊滅(かいめつ)した。しかし、現地の人が植林を始め、約40年間で大部分が回復(かいふく)したそうだ。僕は植林活動の大変さを実感した。

 昨年のハチドリ隊が植林した場所に行くと、1年前に植えられたマングローブが成長し、力強く生き生きとしていた。

 僕らが植えた苗木も1年で、ここまで成長すると思うと、うれしくなった。

(佐々木飛来(ささきひらい)、福岡教育大付属福岡中2年)

 ●見渡す限り……緑

 マングローブは、複雑(ふくざつ)に絡(から)まりながら根を張(は)り、河川の氾濫(はんらん)などを防(ふせ)ぐことから「自然の防波堤(ぼうはてい)」ともいわれるそうだ。

 ベトナム戦争で失われた約4万ヘクタールのマングローブ林。多くのボランティアの協力で3万ヘクタール以上を復活(ふっかつ)させたという。植林の後、展望台(てんぼうだい)から見た景色は圧巻(あっかん)で、見渡(みわた)す限(かぎ)り、一面のマングローブの緑だった。

 今回同行してくれた3人のベトナム人大学生に感謝(かんしゃ)の気持ちを伝えたい。

(西田美紅(にしだみく)、福岡・久留米工業高専2年)

 ●戦争証跡博物館で平和かみしめ

 戦争証跡(しょうせき)博物館には、目を背(そむ)けたくなる地獄絵(じごくえ)のような写真が数多くあった。米軍がまいた枯(か)れ葉剤(はざい)によって、今でも苦しんでいる人が何万人もいるそうだ。

 米軍はなぜ、日本に原爆(げんばく)を落とし、その後にベトナムで枯れ葉剤をまくような残酷(ざんこく)なことができたのだろうか。私(わたし)たち若(わか)い世代が戦争について深く知り、考えることが必要だと思った。私は平和という幸せをかみしめることができた。

(小村朱莉(こむらしゅり)、佐賀・武雄青陵中2年)

 ベトナム戦争に特別な関心を持たずにハチドリ隊に参加した。地球温暖化(おんだんか)が深刻(しんこく)になる中、マングローブの植林に参加し、少しでも役に立てたらという動機だったからだ。

 しかし、ベトナム戦争の悲惨(ひさん)さを伝える証跡(しょうせき)博物館を訪(おとず)れ、考えが一変した。ベトナム戦争を知っていれば、植林する時の気持ちが全く違(ちが)ったものになると思った。今回、ずしりと心に残る貴重(きちょう)な体験となった。

(佐々木(ささき)ひより、福岡・香住丘高2年)

 ●激戦地・クチのトンネルで

 ベトナム戦争の激戦地(げきせんち)だったクチには、ベトナム人によって掘(ほ)られたトンネルがある。小さなくわを使って手で掘り、当時は全長約250キロもあったそうだ。

 トンネルに入ると、中は狭(せま)く前かがみになって、ぎりぎり通れるくらいだった。トンネル内には病院や会議室、キッチンもあり、米軍の侵入(しんにゅう)に備(そな)えた落とし穴(あな)もあった。厳(きび)しい戦争の中で、決して屈(くっ)しなかったベトナム人の粘(ねば)り強さを感じた。

(浜野優二(はまのゆうじ)、福岡・中村学園三陽中1年)

 ●その他の参加者

石橋(いしばし)映見(えみ)(佐賀・武雄高1年)
大川(おおかわ)伊吹(いぶき)(福岡・輝翔館中教校2年)
折井(おりい)陽(あきら)(福岡工業高1年)
喜内(きない)瞭(あきら)(福岡・照葉中2年)
下神(しもかみ)輝信(てるのぶ)(長崎・喜々津中1年)
角(すみ)花里菜(かりな)(福岡・輝翔館中教校3年)
田中(たなか)敦也(あつや)(福岡工業高3年)
坪根(つぼね)慎一郎(しんいちろう)(福岡・福間東中1年)
西田(にしだ)楓茄(ふうか)(福岡・嘉穂高付属中2年)
福田(ふくだ)みのり(長崎・山里中3年)
日野(ひの)翔太(しょうた)(福岡・学業院中2年)
宮崎(みやざき)有希奈(ゆきな)(福岡・百道中1年)
弓削田(ゆげた)千種(ちぐさ)(福岡・鞍手高2年)

 ▽ハチドリ隊経験者

田中(たなか)美綺(みき)(九州大4年)
山口(やまぐち)真実(まみ)(千葉大2年)

 隊員のみなさんの敬称は略しました

 協力・ベトナム航空、九州ベトナム友好協会

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=2017/10/21付 西日本新聞朝刊=

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