【おしごと拝見】関門海峡海上交通センター S字の海峡で交通整理 必要な情報を船に

運用室では7~8人がチームになって海や船を見守っている
運用室では7~8人がチームになって海や船を見守っている
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出合さん(中央)に海図について教えてもらった
出合さん(中央)に海図について教えてもらった
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センターの屋外部分から関門海峡を見た
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多くの船が行き交う関門海峡。手前が門司、奥が下関。海峡の右側が瀬戸内海
多くの船が行き交う関門海峡。手前が門司、奥が下関。海峡の右側が瀬戸内海
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運用管制官の副島さん(手前)
運用管制官の副島さん(手前)
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 たくさんの船が行き交う海の交通安全を守る仕事がある。海上保安庁の「海上交通センター」だ。潮の流れが速いことで有名な関門海峡を見守る北九州市門司区の「関門海峡海上交通センター」を訪ねた。

【紙面PDF】おしごと拝見=関門海峡海上交通センター S字の海峡で交通整理

 海ぞいに立つ白いタワーのような建物に入ると、関門海峡海上交通センター次長の出合好美さん(56)が迎えてくれた。「13階建てで、一番上には船の動きを確認するレーダー関連の機械があります」と中を案内してくれた。

 5階の屋外部分に行くと、北九州市と山口県下関市にはさまれた狭くてS字形に曲がった海が見渡せた。関門海峡だ。両市をつなぐ関門橋も見えた。潮の流れは、最も速いときで時速約20キロにもなるそうだ。ここの航路(海の道)で一番狭いという関門橋の下は幅500メートルしかない。ここを1日約500隻の船が通る。「交通量が多く事故などの危険が高い場所に、海上交通センターがあるんです」と出合さん。ほかに全国に6カ所あるそうだ。

 センターの主な仕事は、船が安全に航路を進めるように、天気や潮の流れなど必要な情報を集め、船に乗っている人に伝えること。インターネットやラジオなどを使って発信するほか、通行中の船に個別に注意を呼び掛ける。船と直接やりとりする役割の職員を「運用管制官」という。事故や衝突などの危険がある船を無線などで呼び出し、注意を促したり助言したりしている。

 4階の「運用室」と呼ばれる部屋に入れてもらった。モニター画面がたくさんあり、無線がとぎれることなく続いていた。職員さんが忙しそうに働き、英語で話す声も聞こえてきた。「関門海峡を通る船の約4割が外国船ですから」と出合さんが説明してくれた。

 関門海峡は春先から夏にかけて霧が発生しやすい。視界500メートル以下になると運航禁止になるルールもある。その場合、船に海峡の外側で待機してもらうそうだ。禁止を解除すると待っていた船が一斉に航路に入ってくるため、出合さんは「このときがセンターで最も大変なときの一つ。交通整理に追われます」と話した。
(由田(よしだ)龍之介記者、米倉大貴記者、米倉滉貴(ひろき)記者)

 ●船とのやりとり 粘り強く 運用管制官・副島由香さん

 海上交通センターの仕事の中でも、船に乗る人と直接やりとりする運用管制官。女性も活躍しており、副島(そえじま)由香さん(44)はその一人だ。

 事故を防ぐためには、船のトラブルなどを早く見つけることが大事で、副島さんは「急に速度が落ちた船などは、気をつけて見ています」という。

 外国船とのやりとりは英語だ。とはいえ高い英語力はいらず、必要なのは海や船にまつわる「海事英語」。副島さんは運用管制官になるときに研修を受けた程度だそうだ。「初めは本当に通じるかな、と思った」けれど「たくさんの人と話せるので楽しい」と仕事の魅力を語る。

 一方で英語を話せる人が乗っていない船も中にはあり「粘り強く何度も語りかけます」。センター職員の中には中国語や韓国語を話せる人もいて、協力しながら対処することもある。

 海の安全を守るため、センターは24時間体制。職員の勤務時間は朝~夕方と夕方~朝までの交代制だ。海上保安官の女性の割合はおよそ0・5%だが、副島さんは「男女の扱いも同じなので働きやすい」と笑顔だった。

(小柳里桜(りお)記者、高倉千紗子記者)

 ●わキャッタ!メモ

 ▼海上保安官になるには 高校や大学を卒業後、海上保安大学校や海上保安学校の試験を受け、入学するのが主な道。どちらも海上保安庁の教育機関。海上保安官の仕事は幅広く、海上交通センターのほか、映画や漫画の「海猿」で知られる「潜水士」や、海の調査なども役割の一つ。

【紙面PDF】おしごと拝見=関門海峡海上交通センター S字の海峡で交通整理


=2017/12/20付 西日本新聞朝刊=

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