劇団四季 「リトルマーメイド」 舞台裏を取材 かつら、衣装…スタッフの情熱が支える

かつらを入念に手入れする床山スタッフ
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アリエル役の衣装を取材。劇団四季ならではの工夫があった
アリエル役の衣装を取材。劇団四季ならではの工夫があった
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 劇団(げきだん)四季のミュージカル「リトルマーメイド」が、福岡(ふくおか)市博多(はかた)区のキャナルシティ劇場(げきじょう)で上演(じょうえん)されています。童話「人魚姫(ひめ)」を原作にしたディズニーのアニメ映画(えいが)を舞台化(ぶたいか)した作品。8月に開幕(かいまく)した福岡公演では、これまでに約14万人の観客を動員しています。人気作の舞台裏(うら)を歌とお芝居(しばい)が大好きなこども記者4人が取材。主役・アリエルを演じる俳優(はいゆう)さんにも会ってきました。

 カーテンコールの熱気もさめやらぬ中、こども記者4人が楽屋を訪(たず)ねると、ヘアメークを担当(たんとう)する床山(とこやま)の芳賀有紀子(はがゆきこ)チーフらが、廊下(ろうか)で念入りにかつらの手入れをしていた。ヘアアイロンなどを使った、丁寧(ていねい)で手際(てぎわ)のいい作業に目を見張(みは)った。

 かつらは人毛で、「リトルマーメイド」では約60枚(まい)を使用する。「アリエルなど主要な役の場合は、俳優(はいゆう)さんの頭に合わせて作っている」と芳賀さんが教えてくれた。公演(こうえん)が終わるごとにかつらを整え直して次の公演に備(そな)える。髪(かみ)を下ろしたタイプのアリエルのかつらだけでも、手入れに30分はかかる。2公演ある日は「仕事の合間におにぎりぐらいしか食べられないくらい忙(いそが)しい」と芳賀さんは笑った。

 俳優の髪形は役柄(やくがら)で決まっている。床山のスタッフは俳優本人に似合(にあ)うようにボリューム感を出したり、生え際(ぎわ)が自然に見えるように考えたりしながら準備(じゅんび)する。「髪形やかつらがぴったりだと、俳優さんがより気持ちを高めて舞台(ぶたい)に上がれるようになる」。それが良い舞台につながると芳賀さんは考える。

 リハーサル室に案内されると、アリエル役が水中の場面で着るドレスがあった。マネキンの足元から広がる「ひれ」を見て、俳優が空中で演技(えんぎ)する「フライング」の場面を思い出した。

 衣装(いしょう)を担当する笹川貴美香(ささがわきみか)チーフによると、ひれの長さは1・6メートル。ドレスの生地は海外から取り寄(よ)せた絹(きぬ)で「フライングがより美しく見えるように、厚(あつ)さなどが考え抜(ぬ)かれている」という。間近で見ると、ひれの色が上から下へ徐々(じょじょ)に薄(うす)くなっている。衣装の色に深みが出て、より舞台映(ば)えする効果(こうか)があるそうだ。「リトルマーメイド」は世界各地で上演されているが、この衣装の色は劇団(げきだん)四季独自(どくじ)のアイデアだという。

 「リトルマーメイド」で使用される衣装や装身具(そうしんぐ)は約500点。上演中の破損(はそん)に備えて、衣装担当は修復(しゅうふく)用の道具を入れた「針缶(はりかん)」を持って舞台裏(うら)で待機する。衣装を楽しみに劇団四季の公演に足を運ぶファンも多いという。笹川さんは「舞台では衣装を着けた俳優さんだけでなく、私(わたし)たちの仕事も見られている」と表情(ひょうじょう)を引き締(し)めた。舞台を支(ささ)えるスタッフの情熱(じょうねつ)に触(ふ)れ、感動はさらに深まった。

 ●アリエル役・若奈まりえさんに聞く 「運命は変えられる」

 アリエル役の俳優(はいゆう)の一人、若奈(わかな)まりえさんに公演(こうえん)の魅力(みりょく)を聞いた。

 -劇団(げきだん)四季を目指した理由は?

 子どもの頃(ころ)から歌や踊(おど)りが大好き。四季の「キャッツ」を見に行って、上演中、口がぽかーんと開きっぱなしになるくらい感動。同じ舞台(ぶたい)に立ちたいと思った。

 -せりふを覚える方法は?

 台本を声に出したり、文字だけで読んだり、いろんなやり方で覚える。アリエルの性格(せいかく)を理解(りかい)し、自分の役以外のせりふを読んで「アリエルなら次にどう言う、どうする」と考えながら覚えると、より表現(ひょうげん)が深まる。

 -泳ぐ姿(すがた)をイメージした「フライング」の場面。ワイヤで吊(つ)られたまま演技(えんぎ)するのは大変そうだ。

 空中で歌うのは初めての経験(けいけん)だったので、バーにぶら下がって声を出す練習をした。ダイバーの動画を見て、体のどこを使って泳いでいるのかを研究。気持ちよく泳いでいるイルカの動きもよく見て演技の参考にした。

 -アリエルのどんな性格を大事に演じている?

 どんな困難(こんなん)にも立ち向かう意志(いし)の強さ。何を言われてもわが道を行く。好きなことに一直線で頑張(がんば)る。私(わたし)に似(に)ている部分もあると思いながら演じている。

 -特に好きな場面は?

 海底の彫像(ちょうぞう)に座(すわ)って歌う「パート・オブ・ユア・ワールド」の場面。アリエルの言いたいことが全部詰(つ)まっている。

 -ロングラン公演で、体調や声のためにやっていることは?

 しっかり食べて、たくさん寝(ね)ること。かぜをひかないように、手洗いやうがいも大事。

 -俳優としてうれしいことは?

 お客さまからの拍手(はくしゅ)が最高のご褒美(ほうび)。この公演で挑戦(ちょうせん)したフライングもそうだが、苦労した場面ほど、うまくできるようになったときの喜びは大きい。

 -「リトルマーメイド」にはどんなメッセージがある?

 運命は変えられる。アリエルのように夢(ゆめ)をあきらめず頑張る人の背中(せなか)を押(お)せるように、この役を大事に演じていく。

 ▼劇団(げきだん)四季「リトルマーメイド」 11月4日まで、福岡(ふくおか)市博多(はかた)区のキャナルシティ劇場(げきじょう)で上演(じょうえん)。3~6月分のチケットを販売(はんばい)中。S席1万800円など。劇団四季予約センター(午前10時~午後6時)=(0120)489444。問い合わせは劇団四季福岡オフィス=092(292)1160。


=2018/01/06付 西日本新聞朝刊=

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