【おしごと拝見】仏壇作り 福岡県八女市 「漆工房 岩弥」で体験 職人が分担 伝統受け継ぐ

近松さんに教えてもらいながら金箔を鉛筆に押す体験をした
近松さんに教えてもらいながら金箔を鉛筆に押す体験をした
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漆を塗る前の下地をほどこす作業も体験した
漆を塗る前の下地をほどこす作業も体験した
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八女伝統工芸館に展示されている、高さ6・5メートル、幅3・8メートルの仏壇
八女伝統工芸館に展示されている、高さ6・5メートル、幅3・8メートルの仏壇
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仏壇に金箔を押す職人さん
仏壇に金箔を押す職人さん
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漆の魅力、アクセサリーに
漆の魅力、アクセサリーに
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 あなたの家には仏壇(ぶつだん)があるかな? じっくり眺(なが)めたことがない人もいるだろうけれど、一つの仏壇を作るにはたくさんの工程(こうてい)があり、職人技(しょくにんわざ)がつまっている。仏壇作りの伝統(でんとう)が受け継(つ)がれる福岡(ふくおか)県八女(やめ)市を訪(たず)ね、その工程をになう「漆工房(うるしこうぼう) 岩弥(いわや)」の仕事をのぞいた。

【紙面PDF】おしごと拝見=仏壇作り 福岡県八女市 「漆工房 岩弥」で体験

 僕(ぼく)たちが最初に向かったのは、八女(やめ)市の八女伝統(でんとう)工芸館。八女の仏壇(ぶつだん)作りなどについて学ぶことができる施設(しせつ)で、近くに店を構(かま)える「岩弥(いわや)」の漆(うるし)職人(しょくにん)、近松敏夫(ちかまつとしお)さん(56)が迎(むか)えてくれた。

 「そもそも仏壇って何か知っとる?」と近松さん。亡(な)くなった家族や先祖(せんぞ)に手を合わせるところかな…。「仏壇はお寺に行かなくても家庭でお参りできるように作られたもの。いわば、お寺のミニチュア版(ばん)」と教えてくれた。仏壇作りが八女で栄えたのは、山と川があり、豊富(ほうふ)な材木を川から運べたからだそうだ。

 仏壇ができるまでには大きく八つの工程(こうてい)がある。(1)スギやヒノキで仏壇の本体を作る(木地作り)(2)仏壇の屋根や柱など細かい部分を作る(3)花や鳥などの図柄(ずがら)を彫刻(ちょうこく)する(4)金具を作る(5)漆を塗(ぬ)る(6)金箔(きんぱく)を「押(お)す」(7)金粉などで漆の表面に絵や模様(もよう)をつける(8)組み立てる-だ。八女ではそれぞれの工程に専門(せんもん)の職人さんがいて、たくさんの工房(こうぼう)が分担(ぶんたん)して一つの仏壇を作り上げている。完成までに最低でも半年かかるそうだ。

 漆職人の近松さんの担当は(5)と(6)。漆は木からとれる自然の塗料(とりょう)で、つやがあるのに落ち着く感じがする。早速、近松さんを含(ふく)め2人の職人さんが働く工房を訪(たず)ねた。

 「実は漆を塗る前の作業が大変なんです」と近松さん。木地の表面を丈夫(じょうぶ)に滑(なめ)らかにするため、魚の皮や骨(ほね)が原料のゼラチンを主成分とする「にかわ」などを下地として塗り重ねる。そして漆を塗る。漆はほこりに弱く、湿度(しつど)や温度によっても変化するため、作業はとても気を使うそうだ。

 次は金箔だ。職人さんは「はる」ではなく「押す」というらしい。僕たちも鉛筆(えんぴつ)に金箔を押す体験をさせてもらった。

 金箔は手でこすると消えてなくなり、驚(おどろ)いた。鉛筆にはろうと、少し力を入れただけで破(やぶ)れ、力を抜(ぬ)くとしわが寄(よ)った。できあがると、鉛筆表面の「HB」などの刻印(こくいん)の隙間(すきま)にもきれいに密着(みっちゃく)していた。こんなにも扱(あつか)いが難(むずか)しい金箔を手際(てぎわ)よく押す近松さんたちの作業は、まさに職人芸だった。

 ●漆の魅力、アクセサリーに

 近松敏夫(ちかまつとしお)さん(56)の店では仏壇(ぶつだん)のほか、漆塗(うるしぬ)りのアクセサリーを売っている=写真。色鮮(あざ)やかなペンダントや髪(かみ)飾(かざ)りなどがあり、仏壇とは違(ちが)った漆の魅力(みりょく)を感じられる。

 アクセサリーは、切り出した木材に漆を塗って作る。仏壇に使う漆はほとんどが黒だが、アクセサリーは赤や黄色、青など色鮮やかだ。木でできているから、大きさの割(わり)に身に着けても軽く感じる。

 近松さんの家は、おじいさんの代から続く職人(しょくにん)一家。「自分もこの仕事に就(つ)くんだろうと思って育った」といい、高校卒業後は6年間、京都(きょうと)の漆職人のもとで修業(しゅぎょう)もした。「1人で作業ができるようになるには10年かかる」そうだ。これまでに家庭用だけでなく、寺の大きな仏壇や佐賀(さが)の祭り「唐津(からつ)くんち」の曳山(ひきやま)の修理(しゅうり)も手がけてきた。

 長い間、お兄さんと一緒(いっしょ)に店を営(いとな)んでいたが昨年、今の自分の店を開いた。「新しいことをやってみたい」とアクセサリー作りを始めた。「漆は生きている」と近松さん。自然の塗料だから、環境(かんきょう)や時間とともに色もつやも変化する。「そんな漆の魅力を気軽に楽しんでほしい」と笑った。

 ●わキャッタ!メモ

 ▼八女福島(やめふくしま)仏壇(ぶつだん) 江戸(えど)末期の1850年ごろに製造技術(せいぞうぎじゅつ)が築(きず)き上げられ、発展(はってん)。1977年、法律(ほうりつ)に基(もと)づき国が指定する「伝統的(でんとうてき)工芸品」になった。制作(せいさく)は一部を除(のぞ)いて手作業で、それぞれの工程(こうてい)に伝統技術が受け継(つ)がれている。伝統的工芸品の標準的(ひょうじゅんてき)な仏壇はおよそ200万円。

【紙面PDF】おしごと拝見=仏壇作り 福岡県八女市 「漆工房 岩弥」で体験


=2018/01/17付 西日本新聞朝刊=

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