【きょうのテーマ】特産黒大豆に込めた思いは 「筑前クロダマル」 福岡県筑前町

収穫されたばかりのクロダマル
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コンバインを使ってクロダマルを収穫
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「クロダマルは町の宝」と語る生産者の興膳さん(右)
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みそ作りを体験した
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 ●黒くて丸い「町の宝」 特産品で地域づくり

 美しくのどかな田園風景が広がる福岡(ふくおか)県筑前町(ちくぜんまち)は農業が盛(さか)んな地域(ちいき)です。白大豆の生産で知られる同町が新たな特産品として生産に取り組んでいるのが黒大豆「筑前クロダマル」です。小さくても光る「町の宝(たから)」の魅力(みりょく)、食と地域づくりのつながりを取材しました。

【紙面PDF】きょうのテーマ 特産黒大豆に込めた思いは 「筑前クロダマル」 福岡県筑前町

 ■最初は3人で生産

 「筑前(ちくぜん)クロダマル」を販売(はんばい)する筑前町の農産物直売所「ファーマーズマーケットみなみの里」では、施設(しせつ)の隣(となり)の畑でも栽培(さいばい)している。生産組合代表の興膳清治(こうぜんきよはる)さん(64)が収穫(しゅうかく)の様子を見せてくれた。コンバインから取り出されたクロダマルを手のひらに載(の)せた木原萌(きはらもえ)記者は「堅(かた)くてつやがあってきれい。豆の“宝石(ほうせき)”だ」と驚(おどろ)いた。

 クロダマルは7月中旬(ちゅうじゅん)から種まきが始まり、8月下旬に開花、10月中旬に枝豆(えだまめ)になり、11月下旬から12月上旬に収穫される。同町では2009年から興膳さんら3人が本格的(ほんかくてき)な生産に取り組んだ。当初の作付面積は約4・6ヘクタール、収穫量7・5トンだったが、現在(げんざい)では26・3ヘクタール、25トンに拡大(かくだい)。生産者も22人に増(ふ)えた。興膳さんは「クロダマルが“町の宝(たから)”だと胸(むね)を張(は)れる」と誇(ほこ)らしげに話した。

 ■料理メニュー考案

 同町は05年3月に2町が合併(がっぺい)して誕生(たんじょう)した。食の魅力(みりょく)を発信できる町にしようと、09年4月に「みなみの里」が開業。特産品の柱として選ばれたのが、温暖(おんだん)な九州で育てやすいように品種改良された「クロダマル」だった。「みなみの里」の蘇木雅浩(そのきまさひろ)館長(57)は名前の由来を「黒くて田んぼでできる丸い豆だから」と説明した。

 生産拡大を図(はか)る一方で、中村学園大(福岡(ふくおか)市)と協力して試食会などを行って「筑前クロダマル」の名を広めた。料理メニューも考案し、味と見た目にもこだわった調理レシピをホームページで紹介(しょうかい)した。

 クロダマルには血管の浄化(じょうか)や骨粗(こつそ)しょう症(しょう)に効果(こうか)があるとされる成分も豊富(ほうふ)と聞いた川路菜月(かわじなつき)記者は「おばあちゃんにクロダマルを使った料理を作ってあげよう」と考えた。

 ■努力の味かみしめ

 館内には、消費者や生産者のアイデアから生まれた約80種の商品が並(なら)ぶ。地元に住む倉掛愛奈(くらかけまな)特派員(とくはいん)によると「豆腐(とうふ)やかりんとう、ドレッシングなど、加工品が豊富(ほうふ)でおいしいのが人気の秘密(ひみつ)」という。蘇木館長は「農業を志(こころざ)す若者が増える地域(ちいき)づくりにもつなげたい」と力を込(こ)めた。

 こども記者たちは、「みそ」の作り方を大塚育子(おおつかいくこ)さん(70)に教えてもらった。「お客さんが『おいしいものがたくさんある町だね』と喜んでくれるのが何よりもうれしい」とはつらつと語る大塚さんの表情(ひょうじょう)に「これがクロダマル効果(こうか)なのか」と驚いた。

 下野聖矢(しものせいや)記者は、おみやげにもらったクロダマルを黒豆ごはんにして味わい「農家の人が手塩にかけて作った努力が実を結んだ味。甘味(あまみ)がある」と感じた。上杉里歌(うえすぎりか)記者は「特産品を作ろうと町の人たちが一つの願いでつながっていた。私(わたし)も地域のために何かやろう」と考えた。

 ●キッチンカーで移動販売 被災地でも活躍

 シロクマの親子のかわいい絵が描(えが)かれた車が駐車場(ちゅうしゃじょう)に止まっていた。同館自慢(じまん)のキッチンカー「mamma(まんま)」だ=写真。絵は倉掛特派員(くらかけとくはいん)の兄で製パン部門で働く勇翔(はやと)さんがデザインした。

 同館の福丸未央(ふくまるみお)企画戦略室長(きかくせんりゃくしつちょう)は「“ママ”と素材(そざい)のおいしさをその“まんま”味わってほしいと、この名前にした」という。筑前町(ちくぜんまち)周辺は福岡(ふくおか)県内で農業が盛(さか)んな地域(ちいき)。他の直売所にはない魅力(みりょく)を打ち出そうと、トラックを改造(かいぞう)した車内に調理設備(せつび)を備(そな)え、夏は果物や野菜を使ったかき氷、冬はぜんざいなどを移動販売(いどうはんばい)する。車内に入った白石哲士(しらいしさとし)記者は「家の台所の半分くらいの広さの中にいろいろな道具が収(おさ)められている」と感心した。

 昨年7月の九州豪雨(ごうう)のときには、被災(ひさい)した朝倉(あさくら)市の子どもたちにクロダマルで作ったあんこを使ったかき氷を振(ふ)る舞(ま)うなど活躍(かつやく)した。森田珠央(もりたみお)記者は「『みなみの里』の人たちの優(やさ)しさが伝わった。クロダマルはいろんな人に愛されている」と感じた。

 ●わキャッタ!メモ

 ▼ファーマーズマーケットみなみの里 福岡(ふくおか)県筑前町(ちくぜんまち)三並(みなみ)。町と出荷(しゅっか)組合などが出資(しゅっし)した株式(かぶしき)会社が運営(うんえい)。出荷者約400人が新鮮(しんせん)な野菜や加工品を納品(のうひん)している。「筑前クロダマル」は10月に10日間ほどしか販売(はんばい)されない枝豆(えだまめ)も人気。食堂も併設(へいせつ)。第3水曜は休み。みなみの里=0946(42)8115。

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=2018/02/10付 西日本新聞朝刊=

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