九博、野外博物館実現へ セラミックスで展示複製

火炎土器(左奥)を3次元計測し、石こうで再現した実物大の複製。九州国立博物館は同様の複製を、セラミックスで作る技術を新たに確立した
火炎土器(左奥)を3次元計測し、石こうで再現した実物大の複製。九州国立博物館は同様の複製を、セラミックスで作る技術を新たに確立した
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 九州国立博物館(福岡県太宰府市)が、文化財の複製を屋外に展示する「野外ミュージアム」の実現に向けて動きだした。野外では、天候変化に耐えられる複製が不可欠。九博は文化財を3次元計測し、耐久性が高いセラミックスで実物大の複製を作る技術を新たに確立した。22日からの企画展で、セラミックスで作った火炎土器(縄文時代)の複製を初公開する。

 野外ミュージアムでは、もともと野外にあった文化財を複製し、自然な状態で展示する。来館者が複製に触ることもできる。「博物館全体の魅力が高まる」(三輪嘉六館長)と期待されている。九博の敷地内への設置が考えられる。土器など小型の文化財だけでなく、石碑や古墳など大型の文化財も再現できれば、大分県の臼杵石仏や中国の兵馬俑(へいばよう)、好太王(広開土王)碑などの複製を置くことも可能になる。

 九博は現在もエックス線CTスキャナーと3次元計測器で文化財を測定し、そのデータをもとに立体像を作る「3次元プリンター」で石こう製の複製を作成し、研究・保存に活用している。文化財をシリコーンで型取りする従来法に比べ、精巧に作れる上に、文化財を傷めない。縮小・拡大も自在にできる。国内の博物館でこの技術があるのは九博だけという。


 ただ、石こうの複製は雨や風、温度変化などで劣化し野外展示に適さない。仮に展示しても維持・管理の負担は大きい。九博は2年前、絵画の複製を陶板で作っている大塚オーミ陶業(大阪市)と共同研究を始めた。九博の3次元計測と、同社の平面複製の技術を合わせセラミックスの立体複製の製作法を確立した。

 複製の対象にしたのは、新潟県津南町の道尻手(どうじって)遺跡で出土した火炎土器。高さ33センチ、直径は10~33センチ。「複雑な模様を再現し、将来につながる技術を確立する」(九博の今津節生・博物館科学課長)狙いがある。

 石こうと異なり、セラミックスは焼き固めると縮小する。九博は収縮率を計算し、実物の1・17倍の大きさで石こうの複製を作成。同社はその型枠を製作し、セラミックスで複製を作り直す。細かい部分は職人の手作業で再現。土器の色に合わせて上薬を塗り、数回焼いて完成させる。

 三輪館長は「野外ミュージアムの実現に向けて一歩進んだ。技術的な裏づけをもとに関係機関と調整していきたい」と話している。


=2013/01/01付 西日本新聞朝刊=

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