【耕運記】食品リサイクル 循環目指し7割飼料に

食品ごみを飼料に再生利用する工場
食品ごみを飼料に再生利用する工場
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食品ごみと容器などを選別する作業
食品ごみと容器などを選別する作業
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 例えば福岡市では毎日、200トンを超えるという。飲食店、スーパー、百貨店などから出る事業系の食品ごみ。こうした加工や調理で生じたくず、食べ残し、売れ残りを減らし、同時に再生資源として生かそうというのが食品リサイクル法だ。施行から13年、再生利用される用途のうち「飼料」が7割を占める。福岡市で唯一の食品リサイクル工場を訪ねた。

 円筒形のタンクが工場に横たわる。床には製造済みの飼料を詰めた500キロ入りの布袋が並ぶ。大手飼料メーカーに引き渡されるという。

 九州大伊都キャンパスに程近い同市西区太郎丸。今津湾に注ぐ弁天川河口沿いに環境エイジェンシー(松田奈津美社長)はあった。

 食品ごみは百貨店、スーパー、飲食店などの契約先から保冷車など特別な車両で運ばれる。車は2枚のシャッター扉を通過して工場に入る。臭いや音を外部に漏らさないようにするためだ。容器やビニールなどを手作業で取り除いて、さらに機械で異物を選別した後、粉砕する。

 タンクは140度の蒸気で水分を飛ばす減圧乾燥の工程。これで元の15%の重さになる。完成した飼料はおがくずのようだ。臭いはほとんどなく、手に取るとさらっとしている。

 食品リサイクルに7年前乗りだした同社は、1日の処理量10トンのプラントに加え今年5月、新たに同28トンを増設した。1日当たり10~14トンが持ち込まれる。プラントは脱脂機も併設、取り出した油分でボイラー燃料の5分の1を賄う。トレイなどのプラスチックも再生用に分別し、雨水も利用する。「循環型社会に向けて徹底して取り組みたい」(安井竜二専務)という。

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 ごみ処理の最終的責任は自治体が負う。同市は年間約28万1千トン(13年度)の事業系ごみを25年度までに20万トンに削減する目標を掲げる。食品ごみは約2割を占め、削減に向けてこうした施設整備を支援する補助事業(予算額6700万円)を進める。同社の新プラントも対象になる予定だ。

 食品リサイクル法は01年に施行。事業所がごみ減量のほか、再生利用に努めることなどを定める。民間にとっては回収・処理費の負担など余分なコストが必要だが、それでも取り組むメリットは何だろうか。

 コンビニチェーンのローソンは福岡市内でも10月からリサイクルを開始。118店舗(11月末現在)で売れ残りの弁当などを飼料化に回す。「企業として環境保護に関する法令順守は使命。企業・店舗価値を高めることにもつながる」(同社省エネ・環境推進部)と話す。

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 再生利用される用途は肥料やメタンなどの燃料もあるが、飼料が72%を占める。背景には、飼料自給率26%(12年度)を38%(20年度)まで引き上げたい国の意向がある。

 食品ごみなどの利用率20%以上など一定基準を満たした飼料は「エコフィード」として認証される。これを使った豚肉、総菜パンなどの畜産物を認証する制度もある。いずれもリサイクル飼料の利用拡大と関心を高めるための仕組みだ。

 食品リサイクルを地域で循環させている例がある。鹿児島県霧島市の農業生産法人「源気ファーム」は地元の大手企業、飲食店などから食品ごみを回収。独自の黒こうじ発酵液体飼料を生産して自社の養豚場で使う。育てた豚は回収先をはじめ、関連会社を含む飲食店などに出荷している。

 こうした循環の輪は再生利用された物が使われることで初めて回る。再生品を使うことは市民の役割の一つだ。小さい輪を少しでも大きく太くしていきたい。


=2014/12/03付 西日本新聞朝刊=

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