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親と一緒に暮らせない 社会的養護の子どもたち 当事者の声知って フォーラムで訴え

フォーラムで体験を語るIFCAフォスターユースの若者たち
フォーラムで体験を語るIFCAフォスターユースの若者たち
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 ●「生きづらいことばかり」 自立後も相談できる場を 実親の情報、どう提供 
 「子どもの権利条約」を日本が批准して20周年を迎えるのを記念したフォーラム「フォスターケア(社会的養護)と子どもの権利」が11月22日、東京都内で開かれた。NPO法人「SOS子どもの村JAPAN」(本部・福岡市)が主催。児童養護施設や里親家庭で暮らした経験のある若者たちが、当事者の立場からケアや制度の改善を訴えた。

 「生きづらいことばかりだった」。星子良枝さん(21)は、生後すぐに乳児院に預けられ、児童養護施設や里親家庭で育った。施設の職員や里親と信頼関係を築けず、友人にも自分の抱える背景や悩みを話せなくて、ずっと孤独だった。

 親の病気や貧困、虐待などで親と暮らせない子どもは全国で約4万6千人。この日は、日米共同で児童福祉の向上を目指すNPO法人「International Foster Care Alliance」(IFCA、本部・米シアトル)の「フォスターユース(社会的養護の当事者)」というプロジェクトで活動する若者3人が、体験を語った。当事者が声を上げることで、よりよい支援制度に変えていこうと約1年前から活動している。

 佐藤智洋さん(20)の夢は外交官。希望する大学へ通うため、高1からアルバイトをして、返済不要の奨学金制度を必死で探した。今春、無事に希望の大学へ進学できたが、周囲には経済的な理由で進学をあきらめる人や、学費が払えず退学してしまう人もいた。

 滝沢政美さん(27)も「手っ取り早くお金になるからと水商売をしたり、悪事に手を染めたりする例もたくさん見てきた」と語る。社会的養護は通常18歳で解除されるが、20歳までは未成年のため、賃貸契約や携帯電話、クレジットカード契約などさまざまな場面で保証人が必要になる。佐藤さんは「そのたびに親類を頼るなど苦労し、時間がかかった。制度を変えてほしい」。滝沢さんは、悩みを抱えて孤立している人が多いことに触れ「自立後も相談できる場所が必要。ユースが支える仕組みをつくりたい」と力を込めた。

 実親に関する情報提供のあり方についても、意見が交わされた。滝沢さんは、17歳のときに児童相談所へ問い合わせたが、知りたい情報は全く得られなかった。「自分自身を知りたいという根源的な欲求。もう少しアクセスできるようにしてほしい」。一方、星子さんは高校生になったある日、突然親ときょうだいの名前と住所を書いた紙を渡されて戸惑った。「私の人生はこの1枚の紙切れかと思うと悲しかった。大人になって知りたいと思ったときに、きちんと教えてほしかった」と振り返った。

 フォーラムではSOS子どもの村JAPAN理事で、九州大大学院教授の松崎佳子さんが、開村5年目を迎えた「子どもの村福岡」の現状などを説明。東日本大震災をきっかけに東北への支援がスタートし、12月19日に「子どもの村東北」が開村することも報告し、支援を求めた。

 松崎さんは「市民一人一人が社会的養護を地域の課題として取り組んでいけるように情報発信し、子どもと家庭を支えるいろんなネットワークもつくっていきたい」と話した。


=2014/12/06付 西日本新聞朝刊=

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