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マリンバ「認知症予防に」 講師の田代さん 母が発症…感謝込め

音楽教室でマリンバを教える田代佳代子さん(右)。レッスンは雑談に花が咲き、和やかな空気で進む
音楽教室でマリンバを教える田代佳代子さん(右)。レッスンは雑談に花が咲き、和やかな空気で進む
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 福岡市・天神の音楽教室「ヤマハ天神センター」。向かい合わせた二つのマリンバ(木琴)を挟み、生徒の女性(65)に講師の田代佳代子さん(54)=福岡県久留米市=は満面の笑みで拍手した。「よくできました!」。部屋の外でレッスンの順番待ちをしていた女性(66)は7年前からの生徒。「小学生のころ習った木琴をもう一度たたきたくなった。ぼけ防止にもなるかなと思って」。通う理由をこう話してくれた。

 マリンバ奏者の田代さん。小1から近所の音楽教室で始めた。ピアノも同時に習ったが「マリンバの方が断然楽しかった」。中学生のころ「マリンバで生きていく」と決意。東京の音楽大学を卒業後、プロの奏者として10年間活動したが、長女の出産を機に帰郷した。以来、九州各地で演奏会を開きながら音楽教室でマリンバを教えている。

 そんな田代さんは4月、「音楽で脳トレ」と題したセミナーを開いた。主に高齢者を対象にした教室で、6月からは2カ月に1回のペースで定期的に開いていく予定だ。

 きっかけは、2月に入会した70歳前後の女性との出会いだった。「夫が亡くなり子どもは遠くにいる。家にこもっているとぼけてしまう。昔習った木琴でもたたいてみようかと」。ひらめいた。マリンバは両手にばちを持ってリズム良く鍵盤をたたくので脳を刺激するはず。中高年は子どものころ学校で木琴を習い、親しみもある。認知症の予防になるのではないか‐。

 母の存在も大きかった。共働きの自分に代わり、家事や3人の子どもたちの世話をしてくれた明るい母は3年前、認知症と診断された。夕食を食べたばかりなのに「ご飯はまだ」と催促する。夜は頻繁にトイレに行く。会話が通じない。大好きだった母にイライラする一方、しかめっ面を崩して瞬間笑うことがあると「好きなマリンバを続けてこられたのも母のおかげ。恩返ししないと」と思い直す。今も自宅で介護の日々だ。

 「母にしてやれなかったことを、セカンドライフを生きようとする人たちと一緒に頑張りたい」。脳トレセミナーには田代さんのそんな思いが込められている。6月は19日午後2時と3時からの2回(各45分)。受講料は3240円。問い合わせはヤマハ天神センター=092(741)4865。


=2015/06/02付 西日本新聞朝刊=

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