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同性婚 人権救済申し立てへ 274人「不利益生じる」

川口弘蔵さん
川口弘蔵さん
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 同性婚を法的に認めないのは人権侵害に当たるとして、同性愛の人たちが日本弁護士連合会(日弁連)に人権救済を申し立てる準備を進めている。配偶者控除や相続権がないなど不利益が生じているとして、現在274人(12日現在)が申立人に名を連ね、九州でも福岡、長崎、熊本から手を挙げる人が出てきた。「性的指向を理由に生きる選択肢が制限されない社会になってほしい」と声を上げる。

 活動の中心を担うのは、弁護士でつくる同性婚人権救済弁護団。日弁連は申し立てを受けた後、調査し、人権侵害の恐れがあると判断した場合、国に法制化を求める要望や勧告を行う。

 同弁護団九州・沖縄地区代表の森あい弁護士(熊本県)は「同性婚をしたい人や支持する人がどれくらいいるか、見える形で示すことが法制化の第一歩。それぞれの立場で考えてもらいたい」と語り、申立人のほか、ホームページで賛同の署名も募っている。

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 日本で同性婚が認められていないのは、「婚姻は両性の合意のみに基づく」とする憲法24条などが根拠になっているとみられる。同性カップルが役所に婚姻届を提出しても「不適法」などとして不受理とされてきた。

 このため同性カップルは、財産の相続権がない▽所得税の配偶者控除を受けられない▽公営住宅に入居しにくい‐といった状況に置かれている。相続権などを遺言や任意後見契約で得る方法もあるが、行政書士の中橋優さん(北九州市)は「代替手段でカバーできるのは、異性の夫婦に保障される権利のごく一部」と指摘する。

 この24条について、憲法の専門家はどう見ているのか。九州大の南野森教授(憲法学)は「男女の平等を目的とした条文で、同性婚には触れていないというのが一般的な理解。改憲ではなく、民法改正などで対応できるとする解釈もある」と指摘する。こうした解釈が、今回の活動の根拠となっている。

 日弁連が国に法制化を勧告したとしても、法的強制力はない。ただ、南野教授は「法律の専門家集団からの問題提起は、政府に積極的な対応を促し、同性婚をめぐる訴訟などで後押しする力になり得る」とみる。

 申立人の受け付けは15日まで。申し立ての際に提出する署名は7月3日が締め切り。同弁護団のホームページ=http://lgbt.sakura.ne.jp/lgbt/humanrights/。問い合わせは森弁護士=0967(22)5223。

 ■「存在を認めて」 申立人・川口さん

 熊本市在住で同性愛者の川口弘蔵さん(32)も申立人の一人だ。「生まれ育った国で婚姻を認められることは、存在を認められること」。今回の申し立てを、そう意義づける。

 小学校高学年から恋愛対象は男性だった。一方、男女が結婚して子をつくり、家庭を築くのが当たり前と教えられてきた。テレビでは「おかま」と呼ばれて笑いの的にされる。「枠に当てはまらない自分は異常」と思い、心に隠してきた。

 17歳のころ、好意を寄せた同性の友人に思いを伝えた。友人は「おまえが好きになったやつ(自分)が異性を好きなだけ。話ならいつでも聞くよ」。自分自身を認められない気持ちもあっただけに、受け入れられて目の前が開けた。今では男性同性愛者の支援団体「KK」で代表を務め、同性のパートナーもいる。

 それでも「枠の外」にいる思いは消えない。「形にこだわらなくても」と言われても、それ以前に選択肢を与えられていない現状がある。例えば、相手が事故に遭って意識不明になっても、法律上の夫婦でなければ面会の権利すらない。

 そんな中、東京都渋谷区が4月から同性カップルを「結婚に相当する関係」と認め、パートナーとして証明書を発行する条例を施行した。既に約20カ国が同性婚を合法化しており、5月には「西欧で最も保守的」といわれてきたアイルランドでも認められた。

 「今、声を上げないと後悔する」。国内外の変化に突き動かされ、申立人に加わった。「将来のビジョンを描けることは、生きる力につながる。異性愛が前提の社会では同性愛者がいないものとされ、不平等が生まれている。申し立てが、この不平等を解消する流れになってほしい」と願う。


=2015/06/13付 西日本新聞朝刊=

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