【和食力】「食育保育園」映画に 玄米食やみそ造り 記録 監督VINさん 「はなちゃん」きっかけ

高取保育園で給食の様子を撮影するVIN OOTAさん
高取保育園で給食の様子を撮影するVIN OOTAさん
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玄米、納豆、みそ汁などが並ぶ給食
玄米、納豆、みそ汁などが並ぶ給食
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 玄米和食の給食やみそ造りなどユニークな食育で知られる高取保育園(西福江園長、213人)=福岡市早良区=のドキュメンタリー映画が製作される。監督は、食を改め病気を乗り越えた体験を持つ映像作家のVIN OOTAさん(54)=東京都。同園の卒園生を主人公にした映画「はなちゃんのみそ汁」(12月公開予定)のスタッフとしてかかわったのがきっかけだった。VINさんは「食の大切さを感じてもらい、みそ造りを始める人が出てきてくれたらうれしい」と話している。

 同園は1968年の開園以来、食にこだわり、和食中心の給食を提供してきた。雑穀入り玄米、いりこだしが基本のみそ汁、毎日欠かさない納豆…。給食で使うみそは年長組の園児が毎月約100キロずつ仕込む。はだしの園庭マラソンや近くの野山での野外体験などで「感性やたくましさを養い、生きる力を育む」という保育理念は、全国から注目され視察が絶えない。

 食の大切さや家族のあり方を描いた「はなちゃんのみそ汁」では、がんを患った安武千恵さんが33歳で亡くなる寸前まで一人娘のはなさん(12)に食を中心に生きるすべを教える。千恵さんの生き方を変えたのが同園のみそ造りや食育。まさに同園が原点だった。

 VINさんも30歳のとき大病を患い、玄米と野菜を中心にした食事などで体質改善を図りながら健康を取り戻したという。以来、食に関心を持つようになった。今年「はなちゃんのみそ汁」に製作スタッフとして参加、千恵さんのことを知り「自分のことのように共感した」。福岡市でのロケの合間に同園を訪れ「背筋がぴんと張った正座姿の子どもたちが先生の話を一心に聞く」様子などに心を奪われ「その美しい空気、健やかな光を丸ごと伝えたい」と、同園のドキュメンタリー映画の製作を決めた。

 ドキュメンタリーは「いただきます~みそをつくるこどもたち」(仮題)。今月初旬の取材では、給食や昼寝の場面を撮影。園児が玄米をおいしそうに頬張る様子や、完食して空になった食器などをカメラに収めた。

 土着の文化や地球と共生する生き方に引かれるというVINさんは、世界各地の伝統文化を映像に記録してきた。同園にも、西欧文化が席巻する以前の日本の伝統、風土に合った価値観を感じ、その象徴がみそ造りなのだという。「和食がおいしくて健康に良いと世界に注目されているように、日本文化の普遍性や精神性もまた世界に通じる。未来につなぐ宝として海外にも伝えたい」と、作品に込めた思いを説明する。

 「はなちゃんのみそ汁」の原作者で、今回のドキュメンタリーの製作プロデューサーを務める千恵さんの夫、安武信吾・本紙編集委員は「みそ造りが現代の日本にもたらすものは何か。園児の姿を通して伝えたい」。事務局の製作実行委員会の代表で、食材を丸ごと調理するホールフード料理家のタカコナカムラさんは「日本人の子育ての原点を次世代につなぐバトンに、映画がなってほしい」と話している。

 8月上旬にクランクイン。四季ごとに1週間程度ずつ取材する計画。撮影・編集など全てVINさん自身が手掛ける。来春には完成する予定で、自主上映会や食育講演会などを通して公開する方針だ。


=2015/09/16付 西日本新聞朝刊=

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