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口唇口蓋裂に理解を 家族の思い 本に

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武田康男さん
武田康男さん
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 唇や上顎が開いた状態で生まれる先天性疾患「口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)」への理解と支援の輪を広げようと北九州市の歯科医師、武田康男さん(66)が編者を務め、文集「人生の贈り物」を自費出版した=写真。武田さんが出会った患者の家族たちに、わが子の問題と向き合う心の動きや、子育ての歩みや愛をつづってもらった。「わが子の疾患に悩むほかの多くの家族の心にも届けばうれしい」という。

 口唇口蓋裂は500~700人に1人の割合で発症するとされる。母親のおなかの中にいる段階で診断されたり、産後すぐに赤ちゃんへの処置が必要になったりと、母親や家族のショックは大きい。生後数カ月で手術を受けたり、授乳がうまくいかなかったりするものの、治療や療育によって改善できるケースが多い。

 武田さんは同市立総合療育センターで34年にわたり、口唇口蓋裂などの子どもたちの歯科医療と、家族の心のケアに取り組んできた。現在は同市門司区の新小文字歯科クリニックを拠点に、歯科医療の面から親子の心身を支える「いのちのケアセンター」を開く。

 文集は2章構成。第1章は、武田さんや口唇口蓋裂の赤ちゃんに関わってきた産婦人科医や言語聴覚士らが寄せたメッセージが並ぶ。第2章には、53の家族が口唇口蓋裂のわが子が20歳になったときに贈りたい言葉や、同じ疾患の子を授かった家族への励ましの言葉が掲載されている。

 「私たちに何か悪いところでもあったのか、自分たちを責めました」「楽しみで仕方なかった子どもの誕生が、育てられるだろうかなど(出産)予定日が怖くてたまらなかった」-。家族の文集は、子どもの疾患を告知された衝撃や出産への不安もありのままに記す一方で、命を授かる尊さや子どもとともに歩む日常を愛情たっぷりにつづっている。

 なかには「(一時は)普通に産んであげられなくてごめん」と思ったものの、「人それぞれ違うのに、どこを指して普通というのだろう」と、多くの人の子育てや生き方に通じる普遍的なメッセージもある。

 武田さんは「誰にも人生の出発は選べないが、そこから歩み始めた子どもと家族の姿を伝えたい」としている。83ページ。希望者には1部千円で分ける。


=2015/09/18付 西日本新聞朝刊=

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