西日本新聞電子版 1周年記念プレゼント

家事代行 外国人受け入れ 年内にも特区 神奈川、大阪で 女性の負担減 普及へ公的補助必要

香港の家事代行サービスで働く外国人労働者の状況について語る葉沛渝さん
香港の家事代行サービスで働く外国人労働者の状況について語る葉沛渝さん
写真を見る
ベアーズ専務高橋ゆきさん
ベアーズ専務高橋ゆきさん
写真を見る

 家事代行サービスへの外国人労働者の受け入れが国家戦略特区の神奈川県と大阪府で年内にも解禁される。家庭内の家事負担を軽くすることで女性の経済的自立と社会進出を後押しするのが狙い。国は先行事例を検証しながら将来的には全国へ広げたい考えだが、共働き世帯を中心に歓迎の声がある一方、外国人労働者の搾取や人権侵害につながらないか懸念する意見もある。

 外国人労働をめぐっては、国はこれまで家事労働者の在留資格を原則として認めてこなかった。例外だったのが、外交官や外国人富裕層の家庭で働く場合と日本人と結婚するなどして、もともと在留資格を持っている場合だ。

 「女性の活躍推進」を掲げる政府は、2014年初頭から家事代行サービスでの外国人受け入れを打ち出してきた。9月1日には国家戦略特区改正法が施行され、特区内の日本人家庭で外国人家政婦が働くことができるようになった。

 改正法に基づく指針では、外国人の活用はフルタイムの直接雇用に限定。期間は最長3年で日本人と同等以上の報酬を支払う。勤め先での住み込みを禁止し、受け入れ企業が住居を確保するほか、必要な研修を行うことなどを盛り込んでいる。

    §    §  

 家事代行大手の「ベアーズ」(東京)は、年内にもフィリピンで現地法人を立ち上げ、来日前に日本語の研修などを行った上、年明けから家事ヘルパーのスタッフ派遣を計画している。

 同社専務の高橋ゆきさん(46)は、20年前に香港で働いていたとき、フィリピン人家政婦のおかげで仕事と子育てを両立できた経験がある。「日本で共働き世帯が増える中、家事代行の需要はどんどん伸びている。今後暮らしのインフラになれば、必ず人材が足りなくなる」と指摘する。

 経済産業省が設置した「家事支援サービス推進協議会」が1月に取りまとめた報告書によると、家事代行サービスの既存利用率は3%だった。同省は12年度の市場規模は約980億円だが、今後利用増が見込めるとして将来は6倍の6千億円に成長すると試算する。

 ただ、教育費や渡航費を負担し、給料の水準を保つとなれば、利用価格に転嫁しない限り、事業として成り立たせるのは難しい。高橋さんは「家事代行サービスが普及するためには、(子育て世帯が利用費に充てられる)クーポン券の支給や税控除など国の支援が必要」と訴える。

    §    §  

 1970年代から外国人の家事労働者を受け入れている香港。国際家事労働者連盟アジア地域コーディネーターの葉沛渝(イプピュイユ)さんによると、労働人口の1割を占める33万人がフィリピンやインドネシアなどからの家事労働者で、8世帯に1世帯が雇っている計算になるという。

 賃金や休暇が保障されるなどアジアの他国と比べて待遇はいいが、住み込みのため雇い主から暴力を受けたり、仲介業者から法外な手数料を取られたりする被害が後を絶たないという。葉さんは「家庭という密室の中だけに目が届きにくい。早期発見や防ぐための監視の仕組みが必要だ」と訴える。

 葉さんは、今回の日本の取り組みについて「特区という形で行われるため、労働環境などについての国の責任があいまいになるのでは」と懸念。導入にあたっては、国際労働機関の家事労働者の権利を守る条約を批准すべきだと指摘している。


=2015/10/10付 西日本新聞朝刊=

→電子版1周年記念!1万円分賞品券やQUOカードが当たる!!

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]