避難所 女性の視点を 更衣室は男女別に トイレに照明と錠 性犯罪防止へ巡回 熊本地震

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 熊本地震の避難所で、女性であるが故の不便や性犯罪などへの不安が課題となっている。避難所が男性を中心に運営される傾向が強い中で、「女性の視点」を取り入れた支援が求められている。

 「避難所のトイレに生理用品を捨てる所がない」(熊本県益城町・16歳女性)

 「仮設トイレは体育館の外で、電灯もなくて怖い」(熊本市・16歳女性)

 「着替えるときは避難所から歩いて15分ほどの家に戻る」(同市・30代女性)

 「女性だけの家族なので防犯面から車で生活をしている」(同町・69歳女性)

 現地取材した記者によると、熊本市内では、車中泊をする人が集まった小学校の運動場で、車のドアを開けようとする複数の不審者が目撃され、警察を呼ぶ騒ぎになった。女性が追いかけられる被害もあり、夜間は校門を閉鎖するなど警戒を強めている。

 女性たちの不安を和らげようと、NPO法人ピースウィンズ・ジャパン(広島県)は17日、益城町内に女性専用テントを設置した。20日夜は6組13人の女性が宿泊した。

 このような課題は、阪神大震災や東日本大震災でも指摘されてきた。だが避難所では「命があるだけでもありがたい」と、改善を求めにくい状況があるという。

 東日本大震災で被災者の集団移転を受け入れた栃木県は、2013年に男女の違いに配慮した防災ハンドブックを作成した。

 震災当時は避難所の管理責任者がほとんど男性だったことから、女性や子ども、高齢者、障害者らのニーズも踏まえて、イラストのような避難所設営を提案した。

 「異性の視線が気になる」との声を受けて、物干し場や更衣室を男女別に設置。生理用品や下着は女性担当者が配布する。間仕切りも使って単身女性や女性のみの世帯、子育てや介護中の世帯向けのエリアを用意する。

 仮設トイレは安全で行きやすい場所に設け、男女別にして照明や錠を取り付ける。入浴設備は利用時間を男女で分け、出入り口に受付係を置く。女性や子どもに複数で行動するよう呼び掛け、就寝場所や女性向けエリアを巡回するなど性犯罪を許さない環境をつくる。

 ハンドブックでは、「女性は当然のように、一日中炊きだしや片付けに追われた」との声もあり、「男は仕事、女は家庭」という性別役割分担意識の問題点を指摘。食事の準備や片付け、乳幼児や高齢者の世話、清掃やごみ処理のほか、男性に負担が偏りがちな行政との連絡調整なども、男女を問わず、できる人で共同作業するよう促した。

 同県担当者は「避難所では多様な人たちがそれぞれの困難に直面する。性的マイノリティーなども含め、少数派への配慮が必要だ」と話している。


=2016/04/23付 西日本新聞朝刊=

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