西日本新聞電子版 1周年記念プレゼント

「いのちをつなぐ 食を見つめる」テーマ 鹿児島市で9月映画祭 4カ国の8作品上映

写真を見る
「ふたりの桃源郷」の一場面
「ふたりの桃源郷」の一場面
写真を見る

 オーガニックと聞いてまずイメージするのは無農薬、有機栽培の農産物だろう。その名を冠した映画祭がある。9月9~11日、鹿児島市で開かれる「国際オーガニック映画祭」。今年で9回目を迎える。

 上映されるのは食、環境、有機農業を取り上げた日本、米国、スウェーデン、オーストラリアのドキュメンタリー映画8作品だ。

 「有機農業について、すんなり関心を持ってもらえると思って」。映画祭を始めた理由を、主催のNPO法人鹿児島県有機農業協会の常務理事、大和田世志人(よしと)さん(66)が振り返る。

 大和田さんは30年以上前、脱サラして有機農業を始めた。子どもがアトピー性皮膚炎だったことから、体にいい食べ物を与えたいと思った。ところが思うような食材が手に入らない。ならば自分で作ろう、と就農を思い立った。

 農業を始めると環境に目が向いた。化学肥料を使えば知らず知らず環境汚染に加担することになるのではないか。そんな思いから無農薬野菜を生産する県内の農家で組合をつくり、1999年には発起人の一人として協会を設立した。

 協会は地域と暮らしに根ざした有機農業を目指す。活動の一環で毎秋、有機栽培の農産物などを販売するイベントを開き、その中で映画祭も生まれた。生産者と消費者をつなげるアイデアだった。

    ◇      ◇

 映画祭には県外の参加者も集まる。福岡県筑紫野市の主婦は昨年、自然食品の店で映画祭のちらしを見かけ、2日間で全7本を見た。「虫も寄ってこないトウモロコシって何? 生物にとっての毒があるってことでは」。映画に出てきた作物に恐怖を覚えた。「子孫に何か影響があったらどうしよう」

 以来、買い物するときは必ず食品のラベルを見て原材料や添加物を確かめる。「自分たちには命をつなぐ役割があるはずだから」。食をきっかけに命のつながりを考えた。

    ◇      ◇

 「作品を通して生きる上で見失っていたものに気づかされ涙した」と語るのは、実行委員の一人、久保聡史(あきふみ)さん(52)。

 開墾した山奥で暮らす年老いた夫妻と、その家族を25年にわたって追いかけた作品「ふたりの桃源郷」。2人の日々の営みを淡々と映し出す。「『土があれば生きていける』とつぶやく夫、2人を支える娘たちにそれぞれの生き方が浮かび上がる。誰もが積み重ねてきた人生の選択を省み、明日からの選択を再考するのでは」。人生を一歩ずつ刻む意味と家族同士のつながりが染み入ってくるのだろう。

 上映作品から共通して感じられるのは自然界の命のつながり。映画祭は、そこに自分が関わる心地よさや豊かさに気づくきっかけになるかもしれない。

 そもそもオーガニックとは組織化や、つながりを意味する単語から派生した言葉。映画祭のテーマでもある。

 「いのちをつなぐ 食を見つめる」

 ●国際オーガニック映画祭 in KAGOSHIMA2016

 9月9~11日、鹿児島市呉服町のガーデンズシネマ。共通前売り券は1100円(1作)、全作通し券は3300円。当日料金は一般1800円など作品によって異なる。19日午前10時半からは「特別上映&講演会」が鹿児島県歴史資料センター黎明館(れいめいかん)で。NPO法人鹿児島県有機農業協会=099(258)3374。


=2016/08/24付 西日本新聞朝刊=

→電子版1周年記念!1万円分賞品券やQUOカードが当たる!!

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]