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運転能力 チェックしよう 高齢者の事故防止策 「今の自分」を知るため

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 高齢運転者による事故が相次いでいる。運転をやめたいと思っても、公共交通の便が悪い地域も多い九州ではなかなか難しい。最低限の運転を続けるとしたら、どんな事故防止策があるのだろうか。

 「運転をやめた方がいいのは分かっている。でもやめられない」。福岡県筑紫野市の民生委員日野浄子さん(67)の周りでは、運転について悩む高齢者が急増している。

 高齢化した郊外の団地では80代、90代で運転している人も多いが、スーパーの立体駐車場の出口で逆走しそうになったなど、ひやりとした体験を持つ人も多い。だが、最寄り駅が遠く、バスの便数も少ないため、買い物や病院などに行く手段がなく「やめられる環境がない」のが実情だ。

 高齢者の集まりで免許返納を呼び掛けようとしたが「生活手段を奪うことになる」との反対が大きく、断念した。

 雨天時や夜間は運転しない、軽自動車に乗り換えた、遠出しないなど、それぞれができる範囲で事故防止を心掛けているようだが、日野さんはいつ大きな事故が起こってもおかしくないと感じている。

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 NPO法人高齢者安全運転支援研究会(東京)の中村拓司事務局次長(59)=福岡県出身=は「公共交通が未整備な郊外や地方では、高齢者の日常生活にも運転が不可欠。高齢者が身体能力や認知能力の衰えを正確に把握できる機会を提供し、個々に合わせた注意喚起や指導が必要」と指摘する。

 同会は、危険な運転につながる軽微な異常「運転時認知障害」を早期発見し、なるべく運転が続けられるような予防を呼び掛けている。チェックリスト(抜粋版)=表=で3項目以上当てはまる人は注意が必要で、専門医の受診も検討しよう。詳細な30項目のチェックリスト(5項目以上で要注意)は同会のホームページで閲覧できる。

 事故防止にはまず、自らの運転能力の低下を自覚し、運転時に緊張感を持つこと。半年から1年に1回、家族や知人に同乗してもらったり、ドライブレコーダー(車載カメラ)で自らの運転を点検したりすることも重要だ。

 運転にはハンドルを回す腕力、アクセルやブレーキを踏む脚の筋力、前後左右を見渡す首の柔軟性が必要。ラジオ体操などを続け、こうした力の維持を心掛けよう。ウオーキングやダンスなどの運動と、計算やしりとりなどの認知課題を組み合わせた「コグニサイズ」などの認知症予防も、運転能力維持に有効という。

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 一方で、高齢者の能力低下を補う技術も進歩している。車線をはみ出したり、前方車に近づき過ぎたりすると警告する機能がある自動車や商品も登場しており、積極的に活用したい。

 同乗者が道案内すれば運転に支障がない人、焦ったり急いだりすると運転操作を失敗しがちな人もいる。「高齢だから一律に運転をやめさせるのではなく、個々の環境や実態に合わせたきめ細かい対策が必要。例えば、運転できる地域や条件を限定した免許があってもいい」と中村さん。

 運転のやめ時はどう見極めるか。中村さんは「ひやりとする体験を繰り返したり、客観的な同乗者が危ないと判断したりしたら、やめた方がいい。ただ、運転者本人が納得することが大切」と話している。


=2016/12/01付 西日本新聞朝刊=

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