ホームレス 進む高齢化・長期化 人数減少 だが統計に表れない人も 事情さまざま 息の長い支援を

 路上や公園などで寝起きする人たちを支援する「ホームレス自立支援法」の期限が今夏、2027年まで10年間延長された。厚生労働省の調査では03年に約2万5千人だったホームレスは5534人に減り、九州でも同様の傾向にある。ただ高齢化と長期化は新たな課題で、ネットカフェに寝泊まりする人など統計に表れない人たちも相当数に上るとみられている。

 1日夜、福岡市中心部の公園に60代前後の男性3人が集まっていた。ジーンズにポロシャツといった軽装。みんな帽子を深くかぶっている。そこへ市民団体「福岡おにぎりの会」の会員たちが現れ声を掛けた。

 「お久しぶりです」

 1996年からホームレス支援を続ける会の月1回の活動日。「安価だけどおなかが膨れる」スティックパンやレーズンパンと、お菓子とバナナを手渡す。「最初は受け取ってくれなかった。時間をかけてようやく頼ってもらえるようになったんです」とメンバーの山崎博之さん(53)。しばらくの雑談の後、3人はほかに薬と上着を受け取り、その場を離れた。

 理事長の郡島俊紀さん(60)は「心細いときに声を掛けてもらえるよう、息の長い支援を続けることが必要なんです」と語った。

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 厚労省の全国実態調査では、65歳以上のホームレスの割合が、昨年10月時点で42・8%と初めて4割を超えたことが分かった。路上での暮らしが10年以上続く人も03年調査の6・7%から34・6%に増えている。

 行政や民間の取り組みは一定の成果を上げてきた。しかし調査結果は、既存の支援制度で対応しきれない人たちが路上に残され年老いている現実を指し示す。

 福岡市の場合、巡回相談員が公園などで路上生活者を把握すると、自立支援施設に一時的な入所を促し、本人と面談を重ねて生活保護の申請や就労準備、住宅確保、福祉施設への入所などを世話する。ただこうした支援策は万能ではない。

 週3日、建設現場で働きながら路上生活を送る男性(65)は「身内に連絡されたりする生活保護の手続きには抵抗がある」と話す。

 巡回相談を担う福岡県社会福祉士会の小倉裕美子さん(48)は「今も路上に残る人の中には知的障害や認知症が疑われる人もいて、施設の集団生活が難しい場合もある。過去に障害に配慮のない画一的な支援を受けたり担当職員が代わったりしたことがきっかけで支援を拒む人もいる」と言う。

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 国の調査は必ずしも実態を反映していないという指摘もある。調査対象は主に公園や河川敷で暮らす人で、ネットカフェや深夜営業の店で過ごす人たちの実態把握は十分ではない。

 実際、福岡市の自立支援施設の新規入所者数は過去5年間300人前後で推移し、減少傾向にはない。生活自立支援課の後藤ゆかりさんは「家に住めなくなって間もない人や夜間営業の飲食店などで過ごしていた人の入所が、最近は常に一定数を占める」と言う。

 「熊本地震の後は、復興事業で市内に流入した人が、住み込みの仕事を終えた後にホームレスとなるケースが散見される」と言うのは熊本市保護管理援護課の今村和也さん。今後は被災の影響による生活困窮者の増加も懸念されている。

 全国で生活保護を受給している高齢者世帯は86万世帯を超え、貧困層は拡大を続けている。今後は高齢になってからホームレスになる人が増える危険もある。

 北九州市で支援活動をするNPO法人「抱樸(ほうぼく)」の奥田知志理事長(54)は「この問題は誰にとっても人ごとではない。重要なのは福祉支援の充実。施設を全て個室にしたり、障害や介護の専門知識があるスタッフを育成・増員し、障害のある人や高齢者に対応した支援の充実を早急に考えるべきだ」と話している。

 ▼ホームレス自立支援法 2002年8月施行。10年間の時限立法だったが、12年に5年、17年に10年延長された。ホームレスの自立に向けた取り組みを国や自治体の責務と明記。全国調査を実施し、支援方針や事業計画を策定することを定める。17年の九州各県のホームレス数は福岡270人(前年比30人減)、佐賀6人(同3人減)、長崎2人(同2人減)、熊本23人(同1人減)、大分12人(同2人増)、宮崎3人(増減なし)、鹿児島15人(同5人減)。


=2017/09/23付 西日本新聞朝刊=

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