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マミートラック 悩む子育て女性 復帰後のキャリア、どう築く 「過剰な配慮」を転換 働き方に選択肢を

社内で打ち合わせする「ホワイトプラス」の田中雅子さん(左)
社内で打ち合わせする「ホワイトプラス」の田中雅子さん(左)
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 育児休業から職場復帰した後、どのようにキャリアを築いていくか-。子育て中の女性の多くがぶつかる壁だ。バリバリ働きたくても、残業ができなかったり、子どもの病気で仕事を休んだり。出世コースから遠ざかる「マミートラック」を抜け出せず、悩む事例も少なくない。ただ最近は人手不足などを背景に、時短勤務でも管理職に登用する企業が現れるなど、子育て中の女性のキャリアアップを後押しする動きも出てきた。

 今日も、住所録を打ち込むだけで1日が終わった。「あんなに仕事が楽しかったのに。今は、なぜここに私がいるんだろうって感じ」。東京都内の子ども用品店で働く女性(32)は、マミートラックに陥った一人。2歳と1歳の子を育てながら、午後4時までの短時間勤務で働く。

 大学卒業後、三つの会社で商品企画に携わり、ヒット商品も生み出した。だが6月、2年半ぶりに復職して任されたのはこれまでの経歴とは全く異なる営業事務の仕事だった。見積書の作成や倉庫の整理などで、1時間もあれば終わってしまう内容。他に業務がないかを探す毎日だ。

 会社に何度も「元の担当に戻してほしい」と訴えたが状況は変わらない。「頑張れば挽回できるチャンスさえ与えられないなんて」。今は転職を考えている。

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 育児休業の延長や短時間勤務に残業免除。育児との両立支援策は大企業中心に充実してきたが、周囲が責任ある仕事を任せない「過剰な配慮」は、本人のやる気を奪う結果にもつながってきた。

 大手菓子メーカー、カルビー(東京)は、こうした支援策の方向転換に取り組んだ企業の一つだ。トップダウンで女性登用を進め、女性管理職の比率は2010年の5・9%から17年には24・3%に。うち4割は子育て中で、時短勤務中の人もいる。

 「当初はうちも、将来のキャリアを描けないという女性社員は多かった」。同社の新谷英子・ダイバーシティ委員長は振り返る。

 仕事への意欲を高めるキャリア研修を実施し、無駄な会議や長時間労働をなくして、自宅や外出先で働く「モバイルワーク」など柔軟な働き方も取り入れた。

 新谷さんは「夕方4時には退勤する執行役員など、活躍する女性が次々出てきたことで、みんなの意識も変わってきた」と話す。早期復帰への感謝金や、時短からフルタイムに戻った場合の一時金支給制度も導入している。

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 育児のために働き方を変えても、キャリアを生かしてやりがいのある仕事をしたい-。人材派遣会社「ビースタイル」(東京)が12年に始めた「時短エグゼ」は、そんな希望をかなえるサービスだ。管理職や専門職を経験した女性を、通常より高い時給で中小企業にパートとして派遣する。

 宅配クリーニングを手掛ける「ホワイトプラス」(東京)の田中雅子さん(49)は、時短勤務で人事部門のリーダーを務める。時短エグゼを利用し、週3日のパートで派遣されたのがきっかけで社員になった。「経営に関わる面白い仕事ができるのが魅力」と語る。

 長女(11)を出産後は、IT企業で管理職として働いていた。家に仕事を持ち帰ることや、帰宅が午後10時を回ることが日常茶飯事の生活に疑問を感じ、子どもと向き合う時間を大切にしたいと退職。小学校入学を機に今の仕事に就いた。

 田中さんは「結婚、育児、介護など、ライフイベントで男女問わず働き方が変わる時代。柔軟に対応できる、さまざまな選択肢がもっとあればいい」と話している。

 ▼マミートラック(母親コース) 労働時間や労働量に融通を利かせる働く母親のキャリアコースの一つ。仕事と育児の両立がしやすくなる一方、結果的にファストトラック(出世コース)を諦めざるを得ず、働く意欲を失った女性が退職していく現実もある。


=2017/10/14付 西日本新聞朝刊=

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