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前へ、車輪の一歩 障害者も 誰かを支えることができる 車いす交流会企画 池さん 「私たちにも役割が必要」

「1人で買い物に出掛けるのも好き」と話す池幸さん
「1人で買い物に出掛けるのも好き」と話す池幸さん
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交流会のチラシ
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 車いす利用者のつながりを深める「車椅子100人超交流会」が23日、福岡市で初めて開かれる。実行委員の池幸(みゆき)さん(35)も当事者の一人。「障害者は人に支えられるだけでなく、誰かを支えることもできる」と話す池さんに、企画の狙いを聞いた。

 交流会は車いす利用者の牧原伸之さん(39)や池さん、障害者向けの服をデザインする鈴木綾さん(41)=いずれも福岡市=が呼び掛けて企画した。牧原さんは32歳で交通事故に遭い、歩けなくなったが、池さんは先天性。同じ車いすでも置かれた状況は異なり、悩みや情報を共有する機会はほとんどない。家にこもりがちになり、何かを「やりたい」「やれる」という可能性にふたをしている人も多いことから、交流の場を設けることにした。

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 「私自身も、障害者は守ってもらえるのが当たり前と思っていた」。池さんは親や先生、友だちに支えられて通常学級に通い、順調に短大へ進んだ。だが卒業すると将来の夢ややりたい仕事が見つからず、自宅に引きこもるように。障害者の雇用促進のためにつくられた会社に就職してみても、上司は「いてくれれば給料を出す」という姿勢だった。仕事にやりがいを感じられず、ただ出勤する日々。「社会に出たけど、役割を持てずにいた」

 そんな池さんを変えたのは、「私も誰かの役に立てる」という小さな手応えだったという。

 ある女性をお茶会に呼んだ時のこと。普段は人に車いすを押してもらっていた彼女が、池さんに話し掛けようと、初めて自分の力で前に進んだ。たった10メートルほどの距離なのに「できた!」と大喜びする顔を見て、池さんも「踏み出すきっかけをつくれた」とうれしくなった。「障害があると自分のことで精いっぱいになりがち。でも、誰にでも『役割』が必要なんだ」と実感した。

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 ところが、池さんが道に迷っている人を助けようと声を掛けると、逆に「大丈夫ですか」と聞かれてしまう。健常者にも「車いすだから助けてあげなきゃ」という意識が根付いていると気付いた。

 そこで交流会では、日本財団パラリンピックサポートセンターの講座を開くことにした。視覚障害のある田中利樹さんを講師に、アイマスクや白杖(はくじょう)を使って目が見えない状態を体験するほか、さまざまな障害者とのコミュニケーション方法、高齢者など多様な人々に配慮する「ユニバーサルマナー」を学ぶ。

 池さんは「人はみんな違っていて、困っている人を助けるのは当然のこと。2020年の東京五輪・パラリンピックに向けても、いろんな人への寄り添い方を知ってほしい」と参加を呼びかけている。

 ●「交流会」23日午前10時から福岡市で

 ◆車椅子100人超交流会◆

 23日午前10時~午後4時、中央区天神2丁目のレソラNTT夢天神ホール。午前は田中利樹さんの講座。午後はディスカッション「障害者タブーをぶちまけろ!」やバリアフリーファッションショーなど。参加料は午前の部、午後の部が各3500円。全日程参加は5400円(昼食付き)。ローソンチケット、「車椅子100人プロジェクト実行委員会」のフェイスブックなどで申し込む。問い合わせは事務局のメール=100units.wheelchairs@gmail.comへ。


=2017/11/11付 西日本新聞朝刊=

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