食卓彩る多機能鍋 素材やデザイン 料理が楽しい

【ロースト】縁の溝が密閉性を高めるポイントになっているロースト土鍋
【ロースト】縁の溝が密閉性を高めるポイントになっているロースト土鍋
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【蒸し鍋】穴が開いた中ぶた付きの蒸し鍋
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【カーボン】福岡三越(福岡市)の売り場に並ぶカーボンポット。楕円形のデザインがかわいらしい
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【バーミキュラ】鋳物ホーロー鍋を包む外側の専用ポットヒーターでタイマー調理するバーミキュラのライスポット
【バーミキュラ】鋳物ホーロー鍋を包む外側の専用ポットヒーターでタイマー調理するバーミキュラのライスポット
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 土鍋が活躍する季節になった。近年は煮込むだけでなく、食材の水分を生かす無水調理ができたり、素材やデザインを追求したりしたこだわりの鍋が目立つ。火加減や調理時間を指先一つで制御できる高級品もあり、多機能な鍋が料理の楽しみ方を広げている。

 まずは土鍋の長所をおさらいしておこう。創業1832年の伊賀焼窯元、長谷(ながたに)園(三重県伊賀市)の「土鍋コーディネーター」竹村謙二さん(64)によると、土鍋はその温まりにくさにおいしさの理由がある。肉や野菜は40~60度で酵素が働き、食材のうま味や甘味が増す。土鍋での調理はその温度帯が長く、自然とおいしくなるというわけだ。

 そんな特徴を生かしつつ形状を工夫したのが同社の「ロースト土鍋」(1万2960円)。福岡市・天神の岩田屋新館で見せてもらった。土色の平らなふたを取ると縁に溝がある。「そこに食材の水分がたまることによって密閉され、食材の水分が対流して蒸し焼きになります」と竹村さん。通常は難しい空だきも可能で、専用の金網を敷けば、あぶりや焼き芋もできる。

 竹村さんのお薦めメニューは「鶏肉と玉ネギのロースト」。塩もみして1時間置いた骨付きもも肉2~3本、玉ネギ1個(6等分)、ニンニク、ケイパー、塩を入れ、オリーブ油を回しかけて強めの中火で10分、中火で10分、火を止めて20分で出来上がり。鍋の3分の1ほどたまる水分に食材のうま味が凝縮され、その汁ごといただける。無水調理の醍醐味(だいごみ)だろう。

 穴が開いた中ぶたがセットの「蒸し鍋」(1万800円から)もある。お湯を沸かして、中ぶたの上に食材を置けば、穴から蒸気が出てくる。土鍋の遠赤外線効果もあって一味違う蒸し料理が楽しめるという。

 全国を料理講座で回る竹村さんは「受講生が、鍋に食材を入れたらおしまいという簡単さに驚き、出来上がりの『料理した感』とおいしさに感動します」と鍋の力を実感している。

    ◇   ◇

 素材にこだわったのはカーボン鍋。「カーボンポット」(7万5600円)は、高圧と3千度の焼成を繰り返した炭素体ブロックから削り出した。炭火焼きのような遠赤外線効果が「鉄の5倍以上」あり、内部からも食材を温めるのが特徴。高い熱伝導率は焼きむらを防ぐという。

 この調理器具を生み出したのは、モーター用部品や半導体などの精密加工品などを手掛ける穴織(あなおり)カーボン(大阪府高槻市)。初代社長が自作のカボーンプレートで社員と焼肉を楽しんでいたといい、おいしく焼ける特徴に注目し調理器具の分野に進出した。切削技術を生かし手作業で仕上げる鍋は、密閉性の高さだけでなく、各種デザイン賞を受賞した楕円(だえん)のユニークな形状も魅力だ。

 同社によると「カリッと焼けた表面に対し、ふっくら軟らかく中の方が焼ける火の通りの面白さが料理人に好評だった」という。

    ◇   ◇

 鋳物ホーロー鍋の国内ブランド「バーミキュラ」からは、タイマーで簡単に調理できる鍋が登場した。「ライスポット」(8万6184円)の商品名通り、ご飯をおいしく炊けるよう専用のポットヒーターをセットにした。中火、弱火、極弱火、保温の4段階に火加減を調節でき、保温は30~95度まで温度設定ができる。

 岩田屋新館の売り場担当、有吉彩さん(36)のお気に入りはローストビーフ。ブロック肉を焼いて、すりおろした玉ネギとニンニク、赤ワインを入れる。あとは保温の70度で1時間に設定。「待つだけで最高の味が楽しめます」

 決して安価ではないけれど、各社の技術と工夫が凝縮された鍋は、食卓に温かみと彩りを添えてくれそうだ。


=2017/12/06付 西日本新聞朝刊=

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