みんなの指は何本ですか 手足には、いろんな形があるんだよ NPOが啓発絵本出版へ

 ●違うことって、かわいそうなこと?

 手足の指って、5本とは限らないんだよ-。NPO法人Hand&Foot(東京)は、人によって生まれつきいろいろな指の数や形があることを知ってもらおうと、草の根の啓発活動に取り組んでいる。メンバーの一人、智原美沙さん(41)=福岡市=に思いを聞いた。

 テレビゲームに熱中していたのは美沙さんの次男、滉(こう)君(5)。コントローラーを操っていた両手を止めると、「見る?」と左手を出した。右のような長い指はなく、赤ちゃんの足みたい。「親指」のあたりに小さな爪がある。

 障害者手帳には「左全手指欠損」と書かれているが、生まれつきなので障害や欠損の自覚はあまりない。「ボタンも留められるし、鉄棒もできる。やり方が少し違うだけ」と美沙さんは話す。

 ところが成長とともに、モヤモヤする場面が増えてきた。保育園の友だちが「滉君の手、何で小さいと?」と聞くと、親が慌てて「ごめんなさい」と遮る。じろじろ見てささやき合う子たちもいる。「コソコソ言われるとからかわれてるみたい」と滉君も不満げだ。

 美沙さんによると、同じような障害のある子が幼稚園の入園を「前例がない」と断られたケースもあるという。「先生でさえ、どう対応したらいいか分からない。『普通』でいいんですけどね」

    *   *

 他の子と「違う」ことを子どもにどう話すか。周りに聞かれたら何と説明するか。聞かれることもつらいという親や、親族から責められたり、自分を責めたりする母親もいる。そうした悩みや情報を共有しようと「Hand&Foot」は2013年、先天性の四肢障害者や家族で結成した。会員制交流サイト(SNS)や交流会で親交を深め、メンバーは4年間で440家族を超えた。

 昨年9月にはNPO法人の認証を受けて絵本作りに乗り出した。同法人理事長浅原ゆきさん(32)=東京=の三女と同じ、右手の指が3本の女の子が主人公。そんな子に出会ってもびっくりしないでほしい。存在を知ってもらうことで差別や偏見をなくしたいという思いを込めて、メンバーで筋書きを話し合った。

 浅原さんは「手足に限らず、人と違うことに悩んでいる人たちに『人と違うのはかわいそうなこと?』と問いかけたい」と語る。

    *   *

 滉君の手を見て戸惑う子がいたとき、美沙さんは自分から話し掛けるようにしているという。

 「びっくりした? 初めて見たろ? (指のない子も)結構いるとよ」

 「へーそうなんだ」

 「じゃ何で『普通』は5本やと?」

 「えー分からん!」

 こんな会話が、「普通」とは何かを考えるきっかけになるはずだ。美沙さんは「多くの人と違うのはかわいそう、という意識を植え付けるのは大人たち。その前に絵本で伝えられたら」と話している。

    ◆   ◆

 絵本はイラストレーターえがしらみちこさん=福岡市出身=が絵、作家で育児アドバイザーのLICOさんが文を担当し、センジュ出版から2018年の刊行を目指している。同法人サイトで絵本作りを応援する事前登録(購入予約は別)を受け付けており、登録が1千人に達したら出版日が決まる。問い合わせは同法人=info@hand-and-foot.com=まで。


=2017/12/12付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]