中高生3割「死にたいと思ったことがある」 久留米大 2万2000人に調査 思春期に減る家族の会話 戸惑う親たち

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思春期向けQ&A小冊子は、目立たないよう表紙がノート風に作られている
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 小児科専門医の永光信一郎・久留米大医学部准教授らの研究グループが、中高生計約2万2千人を対象に思春期の意識調査を実施したところ、約3割の中高生が「死にたいと思ったことがある」と回答したことが分かった。

 調査は厚生労働省の研究事業として、2016年11~12月、関東、東海、関西、九州の中学生1万3280人、高校生9134人を対象に、抱えている悩みの種類や相談先、家庭での会話量や睡眠、ゲームをする時間など29項目を尋ねた。

 「死にたいと思ったことがありますか?」という問いには、「ときどき」と答えた生徒が5254人(約24%)に上り、「常に思う」、「過去に試みた」と答えた生徒を合わせると中高生全体の3割を超えた=グラフ(1)。

 抱えている悩みの種類(複数回答)は「将来の進路」が最多の約64%。次いで「成績」約57%、「身体(身長・体重・体形)」約41%の順で多かった。こうした結果を分析すると、悩みの数が多いほど「死にたい」と回答した生徒の割合が高まり、悩みが10以上あると回答した生徒(144人)では7割を超えることが分かった。

 家庭で会話する機会が少ないほど「死にたい」と思ったことがある生徒の割合が高まる傾向も明らかになった。親子の会話を「いつも(している)」と答えた生徒(1万2962人)のうち「死にたい」と思ったことがあるのは約26%だったのに対し、会話が「まったくない」と答えた生徒(296人)では約60%に上った=グラフ(2)。中学、高校生の間で、こうした傾向に大きな差はなかった。

 永光准教授は「『死にたい』と思ったことがある層が、これほど多いとは思わなかった。調査結果からは家庭の力の重要性が見て取れるが、思春期の子を持つ親への支援は手薄で学校に頼り切っているのが現状。まずは、子どもたちに加え『何を話せばいいか分からない』と戸惑う親たちに対する情報発信を増やす必要がある」と話している。

 調査結果の詳細は、厚労省「健やか親子21」のホームページで見られる。

 ●聞けない悩み、専門家が答えます Q&A小冊子

 久留米大は、今回の中高生意識調査の結果を受け、医師や保健師、心理士などの専門家が、思春期の悩みや疑問に答える小冊子「Adolescence(思春期)~わからないことがここにある。」(B5判、36ページ)を作成した。

 調査では、異性関係や性交渉などの悩みは、親よりもインターネットの掲示板などを相談先としている生徒が多いことが分かった。今回の研究代表者の永光信一郎准教授は「周りには聞きづらい心や体のことを、誤った情報を得る前に知っておいてもらいたい」と、全国の専門家27人に呼び掛けて作成した。

 「朝どうしても起きられない」「親がうざい」「友達から『死にたい』と言われたら」「何歳からセックスできるの」など32項目をQ&A形式でまとめた。

 3万部を発行。現在一般向け配布はしていないが、大学のホームページからダウンロードできる。「久留米大」「Adolescence」で検索。

 問い合わせは同大医学部小児科学講座=0942(31)7565。


=2018/01/13付 西日本新聞朝刊=

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