面会交流 広がる自治体支援 個別の事情 まとまりにくく 難しい事前取り決め DVなど問題も

セミナー「子どもからのお願い」で面会交流について語り合う参加者たち=昨年12月、福岡市南区(写真の一部を加工しています)
セミナー「子どもからのお願い」で面会交流について語り合う参加者たち=昨年12月、福岡市南区(写真の一部を加工しています)
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 離婚などで別居している親と子どもが、定期的に会う「面会交流」。子どもが親の愛情を確認できる貴重な機会だが、夫婦間の関係などから会えない親子もおり、自治体が支援する動きが広がっている。ただ、家族の問題に一定以上は踏み込めない、行政の限界もある。

 福岡市で先月、面会交流をテーマにしたセミナー「子どもからのお願い」が開かれた。主催した福岡ファミリー相談室(同市)の支援員らのほか、30~40代の女性当事者6人が参加し、日頃の思いを口にした。

 「離婚が成立する前で、取り決めの話をする余裕がない」「面会交流をしているが子どもが、再婚を期待しているようで心苦しい」

 セミナーは2005年から毎年行っており、今回初めて、自治体職員を呼んだ。福岡県と県内3市の職員が参加し、「当事者の生の声を聞けてよかった」「面会交流支援の必要性を改めて感じた」と語った。

 セミナーを企画した元家庭裁判所調査官で同相談室支援員の村瀬八也さん(73)は、自治体職員に「行政の支援が必要だと認識してほしかった」と狙いを語る。「行政が支援することで、経済的なメリットはもちろん、利用者が必要性を理解し、安心して支援を受けられるようになる」と期待する。

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 同居親が子どもを支援員に託し、支援員が別居親に子どもを渡す「受け渡し」や、支援員が交流時間を共に過ごす「付き添い」など、面会交流時に第三者が関わる動きが広がっている。国は12年度、こうした面会交流支援を実施する自治体に補助する事業を開始。16年度は8自治体に上り、九州では北九州市と熊本県が行った。

 北九州市は、事業をNPO法人「北九州おやこふれあい支援センター」に委託。同法人は13年から独自に事業を行ってきたが、委託がスタートした16年10月から、利用者は原則1年間、無料で利用できるようになった。同市子育て支援課は「まずは経済的な理由で支援が受けられない事態をなくしたい」という。

 一方、熊本県は13年12月から事業を開始したが、熊本地震の発生や支援の難しさから、17年度以降は「休止」している。同県子ども家庭福祉課は「支援を開始してから夫婦の紛争が再開したり、子どもが嫌がったりという例もあった」と支援の難しさを指摘する。

 そもそも、この国の補助事業は「面会交流の取り決めを行っていて、合意がある」父母が対象。厚生労働省が行った16年度全国ひとり親世帯等調査では、「取り決めをしている」と答えたのは、24・5%にとどまっており、対象は限定的だ。熊本県は「紛争が再開したとき、行政がどこまで介入すべきかという課題もあり、支援員が経験を積みスキルを身に付ける時間も必要だ」、北九州市も「行政は夫婦の紛争を仲介する機関ではないため、合意までは裁判所や弁護士を通じて行ってもらうしかない」と行政の限界も指摘する。

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 同調査では、面会交流を「行っている」が32・0%、「行ったことがある」が18・7%に対し、「行ったことがない」が44・4%に上る。面会交流の協議は夫婦に任され、まとまらない場合、裁判所に申し立てる「調停」や、裁判所が面会交流の内容を決定する「審判」で取り決めるようになっている=図。しかし、協議のテーブルにすらつかない、つけない夫婦も少なくないようだ。ドメスティックバイオレンス(DV)などのケースもある。

 法務省は先月、養育費や面会交流に関するパンフレットを作成した。子どもの成長にとって面会交流が必要な理由を解説し、離婚前に交流の内容を取り決めるよう記している。

 福岡市で開かれたセミナーも啓発が大きな目的だ。村瀬さんは「子どもは寂しいそぶりを親に見せないもの。夫婦の別れを親子の別れにしてはいけない」と語り、今後も面会交流の必要性を訴えていくという。


=2018/01/30付 西日本新聞朝刊=

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