10代の「ネット駆け込み寺」に 相談窓口まとめたサイト 「Mex」 悩みを支援団体へつなぐ

福岡市での説明会で、支援団体・機関の登録を呼び掛ける森山誉恵代表
福岡市での説明会で、支援団体・機関の登録を呼び掛ける森山誉恵代表
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相談種別に色なども変え見やすく構成されたMexのサイト。ふりがなを付ける機能もある
相談種別に色なども変え見やすく構成されたMexのサイト。ふりがなを付ける機能もある
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 悩みのある10代が、信頼できる支援者につながるよう、相談窓口をまとめたウェブサイトが注目されている。NPO法人3keys(スリーキーズ、東京)が運営する「Mex(ミークス)」。誰に相談したらよいか分からない10代と、彼らとの接点を増やすことに難儀する支援団体をつなぐ、ポータルサイトとしての役割を担おうとしている。

 同法人は、児童養護施設などの子どもたちに対し、学習支援事業などを行っている。学生時代に同施設での学習ボランティアをしていた森山誉恵代表(30)が2009年に活動を始め、11年にNPO法人化した。

 子どもの貧困や孤立などがクローズアップされ、さまざまな支援団体が立ち上がるが、10代がアクセスしやすいスマートフォン用サイトを持っていない団体が多い。一方、10代も今の自分に必要な支援について十分な情報を持っておらず、SNS(会員制交流サイト)などで相談相手を求め、適切な支援に結びつきにくい実態もある。子どもと触れ合う中で、両者がすれ違っている状態に気付いた森山代表らが16年4月、Mexを立ち上げた。

 Mexはスマホに対応している。「家族・学校」「犯罪被害」「からだ・こころ」など六つのカテゴリーから該当するものを選んだ後、住む場所や希望する相談方法など条件を入力すると、自分に合った支援団体の情報が表示される。フリーワードでの検索も可能で、「死にたい」「いじめ」「妊娠」「勉強」などが多いという。

 東京エリアで始まったサービスは、昨年6月からは全国版へと拡大した。掲載されている支援団体・機関は約160カ所に上る。サイトには月に1万人以上が訪問し、実際に相談につながった例は2500件を超える。ただ、九州は福岡県6カ所が最多で、各県1~2カ所にとどまっている。

 森山代表は「10代は、大人にとってのテレビくらいの信頼感をスマホに持っている」とスマホで接点を持つ重要性を語る。「死にたい」と質問サイトに書き込むと「死ねば」と回答が帰ってくるなど、インターネット上は必ずしも安全な場所ではないとし、「中高生のオンラインの駆け込み寺にするために、掲載団体を増やし知名度を上げていきたい」と話している。問い合わせは、同法人のメール=mex@3keys.jp=で。

 ●福岡の窓口「ここライン」増える件数 心のつながりは着実に広がっている

 Mexに掲載されている福岡の相談窓口「ここライン」は、新規相談が月1~11件だったのが昨年10月の掲載以降は月十数件に上り、県内外からの相談も舞い込むなど、着実に10代たちとのつながりを広めている。

 「ここライン」はNPO法人「そだちの樹」(福岡市)が運営している。例えば、児童福祉法は18歳未満が対象など、子どもと大人の間にいる20歳前後の若者は、公的支援を受けにくい。同法人は、こうした居場所がない若者を社会につなぐ活動をしている。

 2012年に虐待を受けた少女のシェルターの運営を開始。現在、シェルターは補助金カットによる運営難で休止しているが「ここライン」での相談受け付け▽相談でつながった10代の生活支援▽児童養護施設の退所児の支援‐などを行っている。

 相談は「親に殴られ続けている」など深刻な事例から、ただ一言「死にたい」というメールが届くなどさまざまで、常勤のケースワーカー2人が対応する。弁護士が親と交渉したり、親権停止申し立ての手続きをしたりする例もあるという。

 ただ他の支援団体と同様、当事者に窓口の存在を知らせるのが課題だった。Mexが対象地域を全国に広げると知り、すぐに登録した。弁護士の安孫子健輔事務局長は、悩みを吐き出しながら気持ちを整理している相談者などの事例を挙げ「深刻なケースを支援につなぐのが狙い。Mexなどから『気持ちを受け止める場が存在する』というメッセージを10代に送り続けることも重要」と話している。

 ここライン=092(791)1673(平日午前10時~午後8時)。メールでの相談はサイトから。

=2018/02/13付 西日本新聞朝刊=

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