“紅友”96人 絆深める 福岡市で紅皿のつどい

喜びや感謝を語る受賞者。(右から)井上クニさん、武井美恵子さん、山内千晶さん
喜びや感謝を語る受賞者。(右から)井上クニさん、武井美恵子さん、山内千晶さん
写真を見る
仲むつまじい荒川芳夫さん(左)とコハルさん。「コハル我が命」としたためた短冊は、コハルさんの部屋に大切に飾られている
仲むつまじい荒川芳夫さん(左)とコハルさん。「コハル我が命」としたためた短冊は、コハルさんの部屋に大切に飾られている
写真を見る

 女性読者による本紙投稿欄「紅皿」の投稿者と愛読者が交流する「紅皿のつどい」が3月23日、福岡市・天神で開かれた。福岡、佐賀、長崎、鹿児島各県から96人が参加し、“紅友”の絆を強めた。

 紅皿の集いは2014年から毎年開かれ、今年で5回目。会場では、17年の投稿計2276通の中から年間紅皿賞に選ばれた井上クニさん(96)=福岡市東区、武井美恵子さん(62)=福岡県筑紫野市、山内千晶さん(47)=同=の3人が表彰された。

 息子が日曜大工で棚を手掛けてくれた一幕を、ユーモアを交え温かい視点でつづった井上さんは「賞を頂いてうれしさとびっくりで毎日にこにこしている」と語った。施設で暮らす両親の様子を、「2人は恋人」と題して書いた武井さんは「『寿命が延びる』と父が喜んでいた」と報告。闘病中に見届けた娘の卒業式への思いを記した山内さんは、娘から「お母さんが頑張って生きてきたご褒美だね」と祝ってもらった、と涙ぐんだ。

 本紙くらし面で「おひとりサマンサ」を連載しているコラムニストのトコさんによるトークイベントや、朝刊一面コラム「春秋」担当者の講演などもあった。

 ●年間紅皿賞受賞作に登場 荒川芳夫さんとコハルさん コハル我が命 よしお 90代夫婦 増す恋人度

 年間紅皿賞を受賞した「2人は恋人」(昨年2月28日付朝刊)で、投稿者の武井美恵子さん(62)は、施設に入居する90代の両親が恋人のように仲むつまじい、と書いた。インフルエンザ対策で2人が数日面会できず、再会したときに涙を流した様子には、思わずほろり。武井さんによると施設でも有名な夫婦という。そうだ、2人に会いに行こう!

 佐賀県基山町。ケアハウスで暮らす荒川芳夫さん(95)が出迎えてくれた。そこから渡り廊下で続く老人保健施設にコハルさん(92)は入居する。芳夫さんと一緒に、コハルさんの部屋におじゃました。

 そばに寄るなり、芳夫さんはコハルさんの頭をなでる。その髪も毎日、芳夫さんがくしを通す。部屋にはコハルさんの好きな犬の写真がびっしり。芳夫さんが雑誌などで見つけては飾る。

 「1日に最低3回、多い日は7、8回会いに来ます」と芳夫さん。コハルさんが夕飯を食べなかったと聞き、深夜にまんじゅうを手に通ったことも。「空腹だろうと思って。寝顔を見て安心して部屋に戻っていたら、職員さんに見つかって注意されましたけど」

 2人が出会ったのは戦時中。海軍航空隊に勤務していた芳夫さんが、下宿先の旅館の娘だったコハルさんを見初め、1945年1月に結婚した。終戦後、芳夫さんは会社を経営しコハルさんは主婦に。福岡市南区で暮らし、1男3女に恵まれた。現在は孫7人、ひ孫は9人いる。

 コハルさんが脳梗塞で倒れたのは15年前。半身まひと認知症が進み、在宅介護の後、11年前にこの施設に入居した。芳夫さんも2年前から、隣接するケアハウスに暮らす。

 在宅介護はつらい時期もあったというが、武井さんは紅皿で、両親の様子をこうつづった。「今や2人は、余計なものは全て取り払われて、愛情だけでつながっている」。その純度は、今も日に日に増している。

 芳夫さんは語る。「コハルの横におりたい。110歳くらいまでは引っ張っていきたいですね」

 みなさん、2人はやっぱり恋人でしたよ!

=2018/04/03付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]