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離婚後も親子 子どもを第一に考えて 二つの講演会から

「片親疎外の子は別れの悲しみと、会いたいけれど会いたくないという同居親の顔色をうかがう矛盾した状況にある」と指摘する青木さん
「片親疎外の子は別れの悲しみと、会いたいけれど会いたくないという同居親の顔色をうかがう矛盾した状況にある」と指摘する青木さん
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「ハーグ条約ができた1980年代は親権の侵害という解釈だったので、連れ去った親と連れ去られた親が対立的構図に立つことになった」と分析するレビン小林さん
「ハーグ条約ができた1980年代は親権の侵害という解釈だったので、連れ去った親と連れ去られた親が対立的構図に立つことになった」と分析するレビン小林さん
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 ■新訳男女 語り合おう■ 
 離婚をめぐり、子どもが一方の親に会えなくなる「片親疎外」の問題が後を絶たない。両親に会えないことが子どもにもたらす影響と、制度上の課題について1月、二つの講演会があった。

 ●別居親拒絶 「子どもの心理は複雑」

 「片親疎外が子どもに与える影響は深刻。子どもを第一に考える長期的視点が必要です」。19日、福岡市。講師を務めた大正大教授の青木聡さん(45)=臨床心理学=はそう強調した。

 講演会は家庭裁判所の元調査官らでつくる福岡ファミリー相談室が主催した。青木さんはひとり親家庭を調査した経験を踏まえ「片親疎外にある子には自己肯定感や信頼感の低下、抑うつ傾向、依存症など悪影響が出やすい」と分析。同居親から別居親に対する中傷などマイナスのイメージを吹き込まれると、子ども自身が正当な理由なく別居親へ強い拒絶反応を示すこともあるという。

 乳幼児と9~12歳が最も影響を受けやすく、別居親を拒絶するときは「表面的な言動だけでなく、心の中で何が起こっているのかを慎重に判断しないといけない」と強調した。

 2011年に民法改正で協議離婚時に養育費や面会交流の明文化が義務づけられた。ただ、課題も残る。青木さんは「日本は単独親権のままで、離婚時に子どもの奪い合いになり、夫婦の別れが親子の別れになりがち」と指摘。調停や裁判中に一方の親が無断で連れ去り、裁判所が別居期間を「養育環境の継続性を重視する」として追認し、連れ去り親に親権を認めるケースも常態化している。

 「元配偶者を排除せず、ビジネスライクに新しい関係を構築すること。当事者任せだけでなく、円滑な面会交流のための制度づくりも肝要です」。米国では、離婚後も夫婦が子育ての時間と情報を共有するよう、行政がコーチングする仕組みもある。青木さんは「親同士の感情より、子どもを最優先にしてほしい」と呼び掛けた。

 ●ハーグ条約「連れ去りの抑止力に」

 国際離婚についても議論が活発化している。政府は4月1日、国境を越えた子どもの連れ去りに関する「ハーグ条約」に正式加盟する。1月31日には福岡県筑紫野市男女共同参画推進課主催の講演会があり、九州大大学院法学研究院客員教授のレビン小林久子さん(65)=紛争管理=が条約の有効性と課題について語った。

 ハーグ条約は、一方の親が国境を越えて16歳以下の子を連れ去った際、原則、元の居住国に戻した上で監護権を決めるよう定める。現在90カ国が加盟。日本では外務省内に新設される「中央当局」が窓口となる。

 レビン小林さんはまず「国外に連れ去った親による『連れ去り勝ち』の状況を回避できる。連れ去りは子どもの生活環境を変えることになり、影響が大きい」と条約の有為性を評価した。

 一方で、子どもが元の居住国に返還された場合、連れ去った親と連れ去られた親の対立が激しくなりかねない。レビン小林さんも「(一方が子どもに会えれば、もう一方が会えないという)ゼロサム状態になりやすい。監護親は連れ去った親の面会交流を拒否できる」と課題を指摘する。

 そこで日本は「国際家事調停制度」の整備を検討。専門調停員を交え、離婚後の監護権や面会交流について「子の最善の利益」を最優先に考え、合意が他国でも効力を持つことを目指している。

 「どちらが良い・悪いではなく、両者が納得できる離婚後の親子関係を共有すべきだ。グローバル化とは、国際的に共有できる制度の枠組みと行動基準を持つこと」とレビン小林さん。こうした国際的な枠組みづくりは、国内の面会交流のあり方にも影響を及ぼすだろう。


=2014/02/15付 西日本新聞朝刊=

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